トーナメントに勝ち抜くには、まず戦力が必要になる。厚い選手層が背景にないと、過密日程と負傷者続出によって、どこかで思わぬ敗戦に追い込まれる。レギュラーを固定して戦うG大阪には、連戦による過密日程がこたえた。中2日で天皇杯の決勝が行われると、ほとんど休息する時間がない。12月のトヨタカップに出たことは、プラスにもマイナスにも働く。最大のメリットは、マンチェスターUと果敢に戦った事実だろう。日本サッカーの真髄を世界にアピールできたことは大きかった。守って耐え抜くアジア式サッカーでなく、積極的に攻めて、マンチェスターを崩すサッカーができたことが高く評価された。G大阪には当然の出来事なのに、過去のアジアサッカーでは成し遂げられなかった課題を克服できたことが刺激を与えている。
Jリーグでは、G大阪の弱点が研究され尽くしているので、相手側は序盤から攻勢に出てくる。G大阪相手に守っていると、一方的な攻勢にさらされて終わってしまう。逆に1点を取ってしまえば、前に出てくるG大阪を攻略しやすい。防御がG大阪の弱点であることは共通認識になる。そこで、G大阪側は前半には守りを固め、失点しない作戦に出た。これはトーナメントに勝ち抜く知恵だろう。前半は動きを抑えて、相手が疲れるのを待つ作戦を取る。連戦の消耗を考慮した作戦を取らないと大敗を喫する。
横浜戦も、柏戦も、前半は相手側に攻められている。それに耐えて前半に失点しなければ、G大阪式持久戦の効果が出てくる。横浜と柏は攻め続けたが、ついに1得点もできなかった。持久戦を意識したときのG大阪は普段と違ってなかなか失点しない。その代わり、攻撃的な場面を少なくなる。相手が攻めあぐねて、疲れるのを待つ作戦は効果的だった。柏の要だったフランサと李は攻めの威力を発揮できずに、ボールにさえ満足に触れない状況が続いた。体力を温存したG大阪は延長戦では有利になる。それが柏の狙いのPK合戦に持ち込めなかった理由になる。こういう負けない粘りのサッカーをものにしたG大阪は、厳しい日程で大きく成長したと言うしかない。
柏が1得点でも入れると、圧倒的に有利になっただけに石崎監督は無念だったろう。疲れがたまって動きが鈍ると、柏に点が入る可能性が少なくなる。PK戦が意識され始めたとき、播戸がシュートを決めて勝負は決した。しぶとくパスを続けるG大阪のポゼッションサッカーの術中にはまって、終盤に柏が攻め切れなかったことが悔やまれる。フランサと李のコンビは絶妙なのに、ボールを渡さない工夫をするのがG大阪の知恵だろう。こういう緊張した場面になると、柏の選手たちもタフさと精神力を発揮することも理解できた。
それにしても、過密な連戦の続いたG大阪は、春からのリーグ戦で苦労することが予想できる。簡単には癒すことのできない重い疲労を蓄積させてしまった。春キャンプや開幕への備えを慎重にしないと、厳しい局面が待っているはずである。それをG大阪は無事に乗り超えられるだろうか。
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