MATRIX7

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2009.01.12
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カテゴリ: 国際経済


 派遣社員は契約期間がある。普通は半年か、1年の契約を結ぶ。期間が短い理由は、仕事が長続きしないことにある。三河の派遣社員は、半年で50%がやめていく。1年を全うできるのは少数に過ぎない。2年目の契約を交わす人はさらに少ないので、新たなメンバーが続々と送られてくる。ビデオは昨年度の取材なので、最盛期の様子を示している。それでも、ほとんどが仕事をやめてしまうというのを見ても、派遣業務が厳しくつらい仕事だと理解できる。派遣社員をパートと同類だと思っていたことは愚かだった。考えてみると、自動車メーカーは「派遣切り」をすることはなかった。黙っていても、ほとんどの派遣社員は1年で辞めていく。これが三河の実態である。
 朝7時に仕事は始まる。工場で8時間労働をこなして、寮やアパートに帰る。住宅は派遣会社が工場近くに準備する。家賃は無料なこともあるし、1万円程度でも借りられる。ただし、3人部屋に耐えねばならない。個室を確保できるのは恵まれた人らしい。昼と夜の2交代制で工場は稼動するから、勤務時間が異なると、互いに眠りを邪魔する。寝ている同居者を起こさない心遣いが必要という。
 昼と夜の工場勤務は1週間ごとに交代する。1週目が昼ならば、2週目は夜勤になる。8時間の時差があるので、2交代制の自動車産業に働くことはつらい。工場に着くと体操をしてから、担当部門に配置される。目の前にカウンターがあり、今日の目標が示されている。2列目は生産実績。3列目は残りの数になる。目標を達成できないと残業をしてこなさねばならない。つまり、目標は必達であり、達成せずに帰宅は許されない。8時間立ちっ放しで作業するから、相当タフでないと勤まらない。わずか1週間で逃亡する人間が出るのも無理はない。
 最後まで頑張るのは、家族持ちの地方出身者になる。彼らは月25万円の収入のほとんどを家族に仕送りしてしまう。やめたくても、やめられない人々を集めてくるのが派遣会社の役割になる。まさしく出稼ぎといったほうがふさわしい。それでも、2年目の契約をするかは迷うという。精神的にも肉体的にも限界に達している。3年仕事を続けると正社員にという話は奇跡だろう。ブラジル人たちは大部屋の集団生活に耐えられるから、三河の工場の重要な担い手になっていた。今では、彼らの多くがブラジルに帰国してしまった。
 今度の派遣切り騒動で、派遣契約をしてはいけないことが全国に知れ渡った。家族が派遣社員になろうといえば、皆止めるだろう。それは「いつ首になるかもしれない」という不安からだったが、真相は別にある。普通の人間には、とうてい耐えられないような過酷な勤務が派遣なのである。工場側としては、正社員とまったく同じノルマをこなし、給料は半分以下の契約社員を大事にすべきだった。今後は派遣社員を集めるのが難しくなるだろう。新聞を読むと、ほとんどの派遣社員は契約延長を希望しているのに、メーカー側が切り捨てたという話になっているけれど、それは甘い。逃亡や脱走が日常的な派遣労働者の実態を取材すべきだろう。そうしないと、未来社会はとてつもなく暗くなってしまう。






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Last updated  2009.01.12 12:00:37
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