ブラウンGPには、スペアマシンがない。それどころか、予算不足によってパーツさえも満足にそろっていない。バトンは更新すべきパーツを再利用して、急場をしのいでいるという。いずれ、予備のパーツがすべて消耗したとき、戦闘力は大幅に低下する。新たな開発やパーツの購入には資金が欠かせない。ロス・ブラウンの技術によって、マシン開発に成功しても、組織の実態は弱小チームと同じになる。新たな大物スポンサーを獲得しないと、年度途中で脱落する危険がある。 レースで勝つためには資金が必要になり、資金を得るにはレースで勝たねばならない。ところが、ルノーのブリアトーレ親分が不満を爆発させたことで、ブラウンに危機がぼっ発してしまった。各チームは年間30億円から50億円の賞金をエクレストンからもらうことができる。ホンダも35億円前後を受け取れることになっていたので、ブラウン側も受け取る権利を主張している。しかし、ブリアトーレがブラウンへの配分に反対したことによって、賞金を受け取れるかどうかは不透明になった。ホンダチームの遺産を受け取るには、投票で70%の賛成を得なければならない。受け取れないと、後半戦の予算に影響を与える。
ホンダは工場や風洞や土地をロス・ブラウンに総額1ポンドで譲ったという。他に参戦費用なども支払ったから、事実上無償で組織を手に入れたことになる。うまくスポンサーが獲得できて、必要経費を工面できるとチームとして成功できる。資金が不足して、開発が遅れたりすると成績は下がっていく。有利なのは1年限りなので、その間に体制を固めないと長続きはしない。レッドブルとブラウンの成功は、ワークス側の反発を呼び、論争の行き先には分裂や解体が待っている危険がある。ブリアトーレが噛みついたのは、その第一歩に過ぎない。ブラウンGPが勝つことは、ワークスの敗北を意味する。それに耐えられる人間は限られているのさ。