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2007/07/08

『アジアンタムブルー』大崎善生

テーマ：本日の１冊(3698)

カテゴリ：書籍・雑誌

Adiantum Blue

『アジアンタムブルー』大崎善生

愛する人が死を前にしたとき、あなたは何ができますか？

繊細な枝と葉がゆらゆらと、ふんわりと

清楚で趣のある植物

アジアンタム

その可憐なフォルムに惹かれ、育てたことも…。

ほどなく、枯らしてしまいました←やっぱり！

この植物、結構育てるのが、難しいみたいです。

外で天日に当て過ぎても枯れ、屋内でも難しく、

根だけでなく、葉にも水分が必要。

－水不足で葉のひとつひとつががちりちりに丸まり、

それを繰り返すとやがては枯れてしまう。

アジアンタムのブルー＜憂欝＞

「憂鬱の中から立ち上がったアジアンタムだけが、生き残っていく」
　　　　　　～最愛のパートナー葉子の言葉より

『アジアンタムブルー』
大崎善生

いかにも「泣かせます」的な作品は、苦手なくせに、

少し、「泣いちゃうかな？」なんてことも思いつつ読み進めました。

どこにでも居そうな、それでいてとても特殊な…。限りなく優しい登場人物たち。

主人公は、多くの人たちから、潤いを与えられ、

生き続ける。

“死”ではなく、“生”が描かれています。

寄せては返す波のように、ゆるやかに淡々と物語が進みます。

そして、ラストはその波がほんの少しだけ、

大きくなります。

ほんの少しだけ…。