球根

きいろ



黄色が好きだった。子供の頃、黄色はお星様の色と決めていた。だからあの頃好きだった黄色はレモンイエローだ。なせだか夜空に光っているお星様はいつもパステルカラーだった。何億光年の彼方にあって、自分の立つ地上に届くのは砂粒みたいに小さくて弱い光のはずだけど。お絵描きしているときのお星様はこんな ☆ 尖った角を持っていて、でも不思議と鋭くはない優しげな星だった。妖精でも住んでいそうな「お星様」だった。舐めたら蜂蜜の味がしただろう。それから少しだけ大きくなった私は「お絵描き」をしなくなり、あの優しい色に対する気持ちを失った。
 今の私を引き付けるのは、鮮やかな真黄色。やまぶき色に限りなく近い、強烈な黄色だ。自分も相当気を張っていなければ、迫力に負けて目を伏せてしまいそう。なんて明るくて、なんて眩しくて、なんていとおしい色なんだろう。突然心奪われた。一目惚れ、っていうやつだ。
 太陽のせいだ。黄色を見ると太陽を思う。太陽のことを思うと勇気づけられる。彼女は言った、「太陽を背負って生まれてきたかった」。太陽を背負って生まれる。その言葉は夢のようで、あまりにも理想通りで。頭がくらくらするほど、求めていた。欲しくて欲しくて、喉から手が出るくらい欲しくて、必死にあがいていた。きっと手に入ると信じていた。生まれてきたときには背負っていなくたって、これから見つければいい。なのに彼女は無理だと言う。太陽を背負っている人は生まれつき太陽に選ばれている、なんて。あきらめた風に言われて反発した。私は探す、私はあきらめない、私は私の太陽をつかまえる、嫌われてもこっちから背負いに行ってやる、って。
 あれから。探しても探しても見つからないのか。すぐそこに見えているのに手が届かないのか。それとも初めから太陽なんて存在しなかったのか。太陽はつかまらない。私は黄色を愛し続ける。

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