しろねこの足跡

しろねこの足跡

しろの旅立ち



しろはきっと、おじょうさんが本当のオトナになるのみることができないでしょう。
おじょうさんはこのあと、きっともっとつらいことがおこってくるでしょう。

いままでは、いじめや仲間はずれですんでいましたが、きっと高校生になったおじょうさんは、恋を覚えるでしょう。

恋はおじょうさんに、きっと8割の苦痛と1割の動悸と残りであわ立つ切なさを与えるでしょう。
しろがシマを待ち焦がれたように、おじょうさんもだれかをみつめていくのでしょう。

生きていく間で、他人との感情を交えずにすごすことはできそうにありません。時に、誰も信じられないような思いをすることだってあるでしょう。
信じた人に裏切られることもあるでしょう。肉親だって自分の味方をしてくるとはかぎりません。
でも内向的なおじょうさんが、夢と意思をもって、ようやく起き上がりだしたのです。
しろはそれを見届けただけで、よかったと思いました。

そして、ちびしま。
しろはもう恋をしたあのシマにはあえそうにないですけど、このちびしまにあえて、仔猫をいつくしんで、母ねこの代わりができてしあわせ、しろにもネコの幸せが最期に訪れた。

おじょうさん、おじょうさん、人生はわるいことばかりじゃないよ、きっと。
しろだって、ママねこに捨てられて、このお家にもらわれてきたんだよ。おじょうさんは自分のこと、まじめなだけが取り柄な、つまらない女の子と卑下している。でもしろに一番やさしかったのはおじょうさん。
泣いたらなでてくれ、そばにいても、いなくてもいつも「しろ、しろ」ってしろを探してくれた。

ちびしまもおうちにいれてくれた。
しろは愛情に不足のない時間をすごしてきたよ。

おじょうさん、おじょうさんは家族でしあわせになることをひどく理想化しているよ。
おじょうさん、家族は血のつながりだけではないよ。
おじょうさん、しろだっておじょうさんの家族だよ。
ちびしまだってしろの仔猫。みんなの家族。
おじょうさんだってたくさん、しろやちびしまのことを思い、心痛めて、切なくなっていた。

家族って、血がつながっているなんて大きな問題ではないよ。どれだけ一緒に、ご飯をたべたり、月をみたり、おふとんでくるっとなったり・・・

しろはおじょうさんとずっと家族だったよ。
しろはおじょうさんが大好きだったよ。

おじょうさん、おじょうさん・・・

ちびしま・・・



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