Show Case

Show Case

September 22, 2005
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カテゴリ: 【ミュージカル】
@帝国劇場

CAST(Wキャストのみ):
トート  内野聖陽
フランツ 鈴木綜馬
ルドルフ 井上芳雄
ちびルド 塩野魁土

行ってきました井上ルド初日!
いやー、感慨深かったですね、色々と。

とりあえずその井上ルドルフの感想から。

なんというか、「闇に染まったルドルフ」とでも言いましょうか。初演の時のあの不安定で繊細なルドルフとは全然違う、「なんだ、ルドルフって皇帝の資質をちゃんと持ってたんじゃん」て感じのしっかりした印象。(パクルドと方向性は違うけど)
井上ルドにはカリスマ性があったと思う。そしてそれは多分、この皇太子が果てしなく孤独だからだと思う。子どもの頃に親から受けて当然の愛情を受けず、宮廷で大人の確執や思惑を見て育ったルドルフが、真っ直ぐに育つわけがない。そんで、父親と溝がある以上は心のどこかで「自分が国王に」って野望があって当然なんですよね。
で、民族主義に走る国民を見て絶望するルドルフの心が、もう一人の自分=トートを呼ぶ。トートはルドルフの中の闇をどんどん広げていく。「闇が広がる」を聞いてそう改めて感じたのは井上ルドルフの表情からかな。曲が始まった時と終わったときじゃ別人だもの。「皇帝ルドルフ」として立ち上った時の野望に満ちた表情がとにかく印象的だった。「ハンガリー国王」を夢見るシーンも同じく。
このシーンでルドルフを説得する革命家が今日は熱かった。ルドルフを「唆す」のではなく、ルドルフを希望として見ているような。藤本エルマーの「♪れんぷぉ~~~~~~~ぅ!」も力強い(笑)革命家たちにとって「皇帝」になりうるカリスマだったんじゃないかな。
そして革命は失敗し、父に見捨てられ、ルドルフにとっては「同じ魂を持つ者」であり、闇の中の唯一の光であるエリザベートにも見捨てられ、「ママも僕を見捨てるんだね…」とつぶやいた瞬間、ルドルフの心は闇に染まる。
マイヤーリンクという孤独な檻の中で闇は狂気に変わり、歪んだ笑顔で自殺するルドルフ。
最後の笑顔怖かったなー。もうなんの救いもないくらい果てしない孤独って感じ。浦井ルドのように恍惚としてるわけでもなく、孤独を自覚して自分の意志で自殺したパクルドとも違う。なんだろう、ほんっとに救われない魂な感じの表情だった。
エリザ見て泣くことってほとんどないんだけど、今日はマイヤーリンクで泣けて仕方なかったよ…なんて悲しいルドルフなんだ。
で、井上ルドと一路エリザを見てると本当に「鏡同士」なのにびっくり。どちらも救いがたい孤独の中にいて、エリザにとってトートが分身であったように、ルドルフにとってもトートが分身なんだろうなと、素直に納得できてしまいました。「ママは僕の~」では縋り付くような涙目のルドルフを見て一路さんも感慨深かったのか、目がかなり潤んでらっしゃいました。でも泣いたら場面ぶちこわしなので気張ったのか、いつにも増してうつろで無表情。これがまた切なさ倍増。
そうそう、井上くんはダンスの合間に結構「ハッ!」とか「ウワッ!」とか声出しててとても臨場感がありました。動きも丁寧で綺麗でしたよ。それから、クリスとヴォルフで慟哭を経験(笑)したせいか、表情が豊か。かなりしっかり演技プラン作ってきたんじゃないでしょうか。

内野閣下はですね、「闇が広がる」聞いて「初演をこのコンビでやったとき、高音出なくて手に汗握ったのよね…」とか思うとまた感慨が…。どちらも堂々としてるし、歌声はちゃんと重なってるし、ほんっとに上手くなったなぁと。


一路皇后様も成長した息子の姿が感慨深かったようで、カーテンコールで涙してましたね。前回見た12日よりも声の調子が良くなってて素晴らしかったです。

今期初見の綜馬閣下は相変わらずノーブルで素敵でした。シシィと出会うシーン、禅さんよりもさらに「最初っからヘレネは眼中にありません」度が高くて、シシィの一挙一動に笑ったり、驚いたりしてるのが印象的でした。前からあんなにあからさまだっけ?
悪夢のシーンで取り乱しても失われない高貴さがなんだか悲しいですね。彼はあくまで皇帝なんだなと。
あと、やっぱりゾフィーと決別するシーンの手にキスするところは泣けますね…。寿ゾフィーと綜馬閣下はとても「親子」な感じするよ。

その他、今日はギターの人が熱かった気がする。あんなにギュンギュン鳴らしてたっけ?

暗転した瞬間袖にダッシュする綜馬さんがちょっとツボだった(笑)

カーテンコールで寿さん、塩野ルドと三人で出てきた瞬間に割れんばかりの拍手。キャストもヒューヒューとはやし立て、客席大盛り上がり。
通常のカテコに続いて3人で登場。スタンディングの場内を見て涙ぐむ井上ルドを見つめる皇后&閣下の目が優しいこと優しいこと。
場内アナウンスを打ち消す拍手に再び幕が開くと皇后様&閣下が。なんだか不自然にジリジリ前に出てくるなーと思っていたら、ぱっと左右に別れた瞬間「ばぁ~!」とばかりに両手を挙げて二人の後ろから立ち上る井上ルド(笑)
1回幕が降りた時に結構泣いていたようで、内野閣下が「えーんえーん」と泣きまね。それを見た井上ルドが「やめてくださいよー!」とばかりに軽く蹴り。いつも皇后様の手にするようにキスしようと見せかけて齧り付こうとする閣下。そんなこんなしてるうちにまた泣けてしまったらしい井上ルドを「おいで!」とばかりに抱き締めて、がっつり抱擁。
こちらも泣いていた皇后様に、最後はルドルフがしっかりと抱きついたところで幕、でした。

とにかく、プレッシャーは大きかったと思います。1幕でルドルフが出てるアンサンブルシーンもいなかったし、稽古期間短くて不安だったんじゃないかしら。
でもその不安を役にぶつけてしっかり昇華した感じでした。
人間って成長する生き物なんだなー。帝劇で主役としてセンターに立った人の存在感てすごいんだなーと、改めて思った次第。

次回は千秋楽。ホント楽しみです!





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Last updated  September 22, 2005 07:15:18 PM
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