あれもこれもいいなぁ

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琥珀と宮澤賢治




 宮沢賢治は岩手県出身の文学者であり、童話など多くの作品をこの世に残しました。しかし、生前自費出版された童話集「注文の多い料理店」や、詩集「春と修羅」は全く売れず、賢治は農業を通して自分の理想とする世界を探求し、生誕の地、岩手県に理想郷「イーハトーブ」を築くことを夢見ていましたが、志半ばで病に倒れ37歳の若さで亡くなり、平成8年8月27日、生誕百年を迎えました。

 賢治の死後、賢治文学は世界的に注目されるようになり、世界各地の多くの人々の間で愛読されています。琥珀はその賢治の理想郷「イーハトーブ」の特産品であり、賢治にとってお気に入りの宝石の一つでした

賢治は幼少の頃から大の石好きで、「石っこ賢さん」と家族や知り合いにいわれるほどでした。また、盛岡高等農林学校(現・岩手大学農学部)で鉱物を専門に学んだこともあり、宝石や鉱物に詳しい知識をもっていました。その影響もあり、賢治文学には多くの宝石が登場します。空や太陽・月・星・海などを様々な宝石にたとえています。それは、宝石の持つきらびやかさというより、自然の作り上げた原石の美しさや、不思議な色合い、原石を磨いたときに耀きだす美しさに、感動したものでした。その宝石の中の一つに琥珀があります。


 琥珀は賢治文学に多く登場します。琥珀は英語名をアンバー(AMVER)といいます。賢治は文章の中で宝石には通常、英語名のルビをふっています。(金剛石ダイヤモンド・蛋白石オパール・紅玉石ルビー)
しかし、琥珀に関しては一度も「アンバー」とルビ(ふりがな)をふっていません。琥珀が岩手県(イーハトープ)の特産品であり、賢治にとって身近なものだったからだと考えられます。


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