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2010年02月11日
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西水美恵子さんの専門は経済学。経歴は銀行家。

「リーダーシップ・メンター」にあるらしい。

西水のキャリアは学者として始まった。
プリンストン大学で教鞭をとること数年間。
その平穏な学究生活に、不意の転機が訪れた。

待ちに待った研究休暇の一年を世界銀行で、との誘い。

「経済開発論は部門外でしたし、世界銀行も全く知らなかった。
でも、好待遇で研究に専念できる一年間は、


当時、世銀チーフ・エコノミストとして活躍し、
経済開発政策と研究所を担当していた
著名な経済学者ホリス・チェネリー副総裁は、
契約に条件をひとつ出した。
「一国でもいいから発展途上国を訪ね、
 国民の貧しさを自分の目で見てくるように」。

「世銀の視察団に付いてエジプトの首都カイロへ行ったのです。
 大間違いの始まりでした!」と笑う。

週末のある日、ふと思いついて、
カイロ郊外にある『死人の町』に足を運んだ。
そこは、邸宅を模す霊廟がずらりと並ぶイスラムの墓地に、


その町の路地で、ナデイアという名の幼女に出会う。
病に冒されたナデイアは、
西水に抱かれたまま、静かに息をひきとった。

下痢からくる脱水症状が死因だった。
安全な飲み水の供給と、衛生教育さえしっかりしていれば

家庭で簡単に作れる糖分・塩分配合の飲料水で、
応急手当ができたはずの脱水症状・・・。

その時の想いを語る西水の目に、涙が浮かぶ。
「誰の神様でもいいから、ぶん殴りたかった。
 天を仰いで、辺りを見回して・・・。
 その瞬間、あの子を殺した化け物が見えたのです。
 きらびやかな都会がそこにある。
 最先端をいく技術と、優秀な才能と、膨大な富が溢れる都会がある。
 でも私の腕には、命尽きたナデイアが眠る。
 悪統治。民衆など気にもかけないリーダーたちの仕業と、直感したのです」。

ナデイアの死は、西水の髄に火をつけた。
学窓に別れを告げ、貧困と戦う世界銀行に残ると決めた。
ナデイアが仕事の尺度になった。

「何をしても、必ずナデイアに問うのが習慣になりました。
 生きていたら、喜んでくれるかしら。
 あなたを幸せにできるかしら・・・」。

悪統治との戦いと良きリーダーの育成が、
西水の世銀キャリアの印になった。

「縁あった素晴らしいリーダーたちの英知に、恩恵を受けました。
 あらゆる職業で活躍する人々でした。
 村長や農民、貧民街の女性たち、売春婦から転職した福祉事業家、
 NGO活動家、社会起業家、ジャーナリスト、学生、大学教授・・・。
 中には、少数の将軍や、政治家、大臣、大統領さえいました。
 皆、私の恩師です」。

途上国の草の根で出会ったリーダーたち全てに、共通するものを見た。
「正しいことを正しく行う」情熱だった。
話や形は変わっても、皆それぞれの「ナデイア」を胸に抱いていた。
その情熱が信念の糧となり、ハートが頭と行動に繋がる。
心身一体、常に一貫した言動だからこそ、
民の信頼を受け、人々を鼓舞し、奮起した。

つづく・・・





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最終更新日  2010年02月12日 01時50分59秒
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