こころのしずく

こころのしずく

小説 7~11




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「サクラチャン・・・ドウシタノ」

狭く、静かな部屋で、放し飼いにされたインコの喋り声が響いている。

「やっぱり・・・あなたがいないと辛いよ・・・
 サスケ君・・・・・」

―そして、机に伏して泣く、少女の泣き声と共に。


* Dearest *(NARUTO 頂き物7)


ガチャ。
部屋のドアが開いた。

「やっぱりここに居たのか」

綱手だった。ドアに寄りかかってサクラを見ている。だがサクラは、見向きもせずに、机の前にある窓の外を、ただじっと見つめていた。

「修行はどうした」

綱手が言った。するとサクラはそのまま、「やりたくありません」と答える。
綱手はフー・・・とため息をつく。
―サスケが里を出て行き、ナルトたちは傷だらけになって帰って来た。
そんな仲間たちの姿を見たサクラは決意した。医療忍者になって、仲間を救うことを。そして、綱手に弟子入りした。
それから数ヶ月・・・サクラの頭の中に、医療忍者としての知識が詰め込まれ、いよいよ実践・・・というときに、サクラは突然修行に手をつけなくなってしまった。

「・・・私は・・・お前の機嫌に合わせてやれるほど・・・暇じゃないんだけどね」
「・・・・・・」

サクラは何も言わなかった。少し沈黙が流れる。
綱手が口を開いた。

「うちはのガキのことか」

そう言うと、さっきまで無反応だったサクラがビクっと反応した。そんなサクラを見て綱手はまた大きなため息をつく。

「・・・うちはのガキがいないから・・・悲しくて修行に専念できない・・・ってか?」

綱手は開けっ放しのドアを静かに閉め、部屋に入ると、椅子に座ったサクラの隣に立ち、サクラを見下ろした。

「・・・前教えたばかりだったと思うけど・・・
 医療忍者になるにあたって・・・大切なものを教えた。・・・なんだった?」

サクラはそのまま小さな声で答えた。

「・・・精神力・・・・・・・です」 「そうだよ。わかってんじゃん」
「・・・・・・・」
「だったらなんでそんなとこでくじけてんだよ」
「・・・・・・・」
「お前が私に弟子入りした決意はそんなに柔なものだったのか?」
「・・・・・・・」

サクラはひたすら黙っていた。綱手はずっとうつむくサクラを見ていたが、そこから目を逸らし、窓辺に置いてある観葉植物に目を移した。その植物は、もうほとんど枯れかけていて、葉がしんなりとしている。

「・・・綱手師匠は・・・・・」

サクラがやっと口を開いた。
だが、綱手の目線はまだ観葉植物に向けられている。

「綱手師匠は・・・・人を・・・好きになったことが・・・無いんですか・・・?」
「・・・・」
「人を・・・愛したことが・・・無いんですか・・・?」

サクラが顔を上げ、綱手を見る。綱手は、窓の外に目を向けていた。そして、顔を上げたサクラの方を見た。

「・・・あるよ。」

そう答えると、サクラはじっと、涙が溢れる目で綱手の目を見つめた。
綱手は言った。

「今日の修行はそこに置いてある枯れた観葉植物を医療忍術を使って瑞々しく生き返らせる修行だ。―その植物、まだ死んではいない。この程度なら医療忍術も手が届く。
この修行はこれから医療忍術を使っていくにあたって基本中の基本になる。」

そう言い残し、部屋を去ろうとした綱手の背中に浴びさせるようにサクラが言った。

「だったら・・・」

綱手の動きが止まる。

「だったらなんで・・・私の気持ち・・・・解かってくれないんですか・・・?私の気持ちを・・・解かってくれようと・・・しないんですか・・・・?」
「・・・・そんなことを訊いてどうする」

そう言って、綱手は向き直っていた体をまたくるっとサクラに背を向けた。

「私はこれから表にでなきゃならない。その間にやっておきな。」

それだけ言うと、今度はサクラの声に遮られることなく、綱手は部屋を後にした。パタン、とドアが閉まる。
サクラは、ただその観葉植物を睨むように見つめ、そこから動こうとしなかった。


綱手が部屋を後にして、どれくらいの時間が経つだろう。サクラは、部屋の居心地の悪さに、部屋を見渡した。―何かおかしい。いつもの部屋よりも、静かな気がした。

「あれ・・・?」

サクラは、部屋にいたはずのインコがいないことに気がついた。ふと窓を見ると、窓が開け放たれていることに気がついた。

「ど・・・どうしよう・・・」

サクラは、まだ部屋から見える範囲にインコがいないかを探してみた。もしかしたら、まだ近くの電柱に止まっているかも知れない。

「あ!」

サクラはインコを見つけた。だが、インコは何故か傷を負って地面に倒れていた。サクラはそのまま外に出、インコの元にかけよった。
インコの傷はサクラが見た限り深いようだった。きっと、そこらにいるカラスか何かにやられたのだろう。サクラはインコに触れてみる。まだ息はあるようだが、かなり危ない状態だった。

「そんな・・・・」

サクラはゆっくりと、優しくインコを持ち、急いで部屋に戻った。
―サクラは、自分がこのインコを飼う事になった日のことを思い出していた。

*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・

「よし、じゃ・・・今から私がお前に医療忍術を見せてやる。しっかり見とけよ!」
「はい!」

それは、今日に至る数日前であった。サクラの前で綱手が医療忍術を見せるのは、サスケが倒れそのときの治療以来であった。
綱手はどこからか、羽辺りを傷ついたインコを取り出した。あまり深い傷ではないようだが、インコが少しぐったりしていて、元気がないように見える。

「・・・綱手師匠・・・もしかして・・・このインコをわざと傷つけたんじゃ・・・;」
「バカ言うんじゃないよ!私がそんなことするかっての。
 ・・・まぁそれはいい。しっかり見ときなよ」

そう言うと、綱手の目つきが変わった。サクラはまずそちらに目が行った。これが、医療忍術を極めてきた忍者の目なのだ、と思った。そして、いつか自分もこういう目を持つことになるのだと。
綱手はインコの傷がある部分に片手をかざすと、その掌にチャクラをためた。そのチャクラは目に見えるほどになり、ブゥゥゥンという独特な音をたてて、インコの傷を癒してゆく。
フッと手を戻すと、見事に傷は癒えていた。

「はい一丁あがり」
「す・・・すごい・・・・」

サクラは傷があったと思われる部分を今もなお見つめていた。綱手はそんなサクラを見てフッと微笑み、インコをサクラに手渡した。

「え?」

サクラが驚きながらインコを受け取る。インコは今はもう元気に羽を伸ばし、気持ちよさそうだ。

「そのインコは今後お前が世話すること。わかったね!」
「えーっそんなぁ!!」

*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・

サクラは部屋に戻ると、いつもの修行部屋に行った。サクラは部屋にある引き出しから何かを探し始め、探し出す。―それは、太い巻物であった。


綱手は表の仕事から戻ると、サクラがいるはずの部屋に行き、ドアをノックした。
だが返事が返ってこないのでドアを開けると、そこにサクラの姿はなかった。
綱手は部屋のドアを閉め、自分の部屋に行ってみる。

「サクラ、いるのか?」

そう言って部屋の中に進み入る。一番最初に綱手の目に入って来たのは、サクラのいる部屋にいたはずの、インコであった。

「お前なんでここにいんだよ」

綱手が返事が返って来る来ないとは別にインコに言ってみると、インコは一生懸命話し始めた。

「サ、サクラチャンガ、ケッケガシタボク、ナ、オシテクレタノ。タスケテクレタノ」
「!」

綱手は、インコの下に敷いてある巻物に目をやった。それは、医療忍者の卵が、修行中のときに使う巻物であった。
インコの隣にあるソファーに、寝っ転がって寝ているサクラの姿があった。
スースーと、静かな寝息をたてて眠っている。だが、頬には一筋の涙がつたっていた。―サスケの夢でも見ているのだろう。

綱手はそんなサクラを見て、そっとサクラの頭を優しく撫でてやるのだった。



*あとがき*

すみません・・・これで終わりです;;前みたいにまた中途半端でごめんなさい;
今回は人のセリフも短く&少なく、何が言いたいのよ!!ってカンジだったと思うんですが、この小説は何をテーマに書いたかというと、『愛』です。
愛にはいっぱい種類がありますよね。サクラがサスケに抱いているような、恋から生まれる愛。他にも、人間関係においての愛だったり、ペットに対する愛だったり。・・・って、私はこんなに愛を語れるほど経験は全然ないのですが_l ̄l○
とにかく、その愛の種類をつめこんでみたつもりです。そして・・・今回中途半端になった理由は・・・ズバリ、綱手にあります。綱手はあんまりクサいセリフとか好みそうにないじゃないですか(まぁ今回のでもクサい!!って思った方もいらっしゃったかも知れませんが・・・)。。だからその分セリフも減り、ホント綱手の行動だけで心情理解させるような小説になったわけなんです。うわ言い訳(死)。
春風の、『それぞれの愛をわかってほしい!』という気持ちと、そして、綱手様は一体何を思ってサクラの頭を撫でてやったり、人を愛したことがあるのにサクラに対してあんな態度をとったのか・・・そこらを考えてわかっていただければな、と思います。この小説を、りゆなサマに捧げます。遅くなってしまってホント申し訳ありません;;しかもこんな小説で_l ̄l○_l ̄l○また何かリクエストしてください。今度はもっと・・・早く&良い小説が書けるよう頑張りますので!!
それと、太い巻物っていうのがでてきましたよね。あれは、実際にサクラが使ってたやつです。何巻だったかな・・・27巻に載っていたと思います。興味のある方は見てみてください。
こんな小説ですが、気に入ってくだされば幸いです。 春風


☆管理人感想およびお礼☆

やっぱり春風さんの小説は上手いです。今回は、作中あえて書かれていない綱手の心情等が深みをましてます。
英語の題名、素敵です☆ いろんな「愛」が詰まっていました。サクラからサスケへの愛はもちろん、綱手師匠のサクラへの師弟愛、動物を慈しむ愛……。
さてストーリーですが、まずサクラちゃんの「やりたくありません」発言が心に来ました。一見ただの弱音発言みたいですけど、よく考えるとサクラのサスケへの想いの強さをすごく感じ取ることが出来ます。そして綱手師匠、突き放した態度で実はサクラを大切に思っているのが分かります。そこには弟子への愛や、自分と境遇が似ている一人の少女への想いがあるのでしょうね。
綱サマのことですから、サクラの気持ちを思えばこそあえて厳しくしているのでしょう。大切な人を守るために強くなってもらいたいから……。本当の愛が語って分かるものではないことも知っているのだと思います。
でも、最後に頭をなでてあげていましたね。修業では甘やかすことが出来ないけれど、サクラが愛しくて仕方ないのでしょうね。そして頑張ったサクラへ「よくやった……」って思っているのでしょう。
最後に管理人率直に感想を述べます。
「やりたくありません」発言ツボでした。綱手に愛した人がいると聞き目に涙ためて、けれど突き放されるところもまた……。そしてインコ治して涙して寝るサクラちゃんに綱手師匠が頭をなでてあげるところ……最高ですv
春風様、本当にいつもいつもありがとうございます!




暖かくて 優しい手が 離れていく 夢を 見たんだ













Hands。(NARUTO 頂き物8)
















目が覚めたとき


愛しくて 寂しかった





















俺は廊下を歩いていた。






「!」

「まだ夜明け前だよ」



「……カカシ先生…」






廊下の端にカカシ先生が座っていた。







「眠れないのか?」


「…うん… あんまいい夢じゃなかったんだってばよ」







俺は先生の隣に座った















カカシ先生なら分かってくれるかもしれない
















「……九尾の事… カカシ先生も知ってるんだろ?」








「…… 今、俺の隣に座っているのは うずまきナルトだ」


















いつだって みんなと 一緒に いられるから







よく ひとりぼっちに 戻る 夢を 見てしまうんだ



















「………」






「……違うのか?」
















「…もし… 理性が消えて 二度と俺自身に戻れなくなったら………」




「……」

















「…そしたら……俺の事殺して…」




「……」
















「俺、頑張ってるけどさ…… 九尾になんて負けたくねぇけどさ……



















大切な人まで… 傷つけてしまったら… どうすればいいの?」


















「……」





「まぁ、妖弧になって みんな離れちまっても…独りなんて慣れてっけどさ」










「…………ったく… お前らしくないなぁ」



「……」








「ひとりになった夢でも見たのか?」



「……」
























「お前に向かって 差しのべられる手に 怯える必要なんてないさ」


























みんなの





『動けなくなるまでやるなっつーの』











暖かくて





『卒業おめでとう』









優しい手























許してくれるの……?






















「ホラホラ、もう泣くなよ」


「泣いてねぇよっ!!!」







「やっぱさ、やっぱさ…… 俺、みんなの事 信じてるってばよ!!」





「当たり前!!」






















大切なのに 傷つけちゃうこともあるよ









僕の手は 本当は 君を癒すためにあるのに

















でも










大切だからこそ



守りたい















たとえ お互いに どんな運命にさらされても
















必ずこの手で 守ってみせる


















自分を支えてくれた、理解してくれた











あの人を
























END

















☆モリ→様コメント☆

あとがき

初カカナルでした。
なんかナルトが真面目すぎたかもしれません…(オイ
りゆな様リクの小説です。
こんなのでほんとすいません……(泣
苦情はりゆな様のみ可です。
りゆな様、いつでも書き直しいたしますので。
お持ち帰りもりゆな様のみです。
ではりゆな様、ここまで読んで下さった方々、ありがとうございました。



☆管理人感想およびお礼☆

感動して目がうるんでしまいました。モリ→様とはまだお付き合いも浅いのに、何故ここまで管理人のツボをご存じなのでしょうか?
九尾の存在に苦しめられ、孤独なナルト。仲間を傷つけないために『殺して』とまで思い詰めるナルト……。優しく包み込むカカシ先生。ナルトの涙。
詩的な文章も管理人好みです。ラスト近くの、回想シーンとからめているところもいいです。モリ→様はきっと才能あります。
モリ→様。こんな素敵な小説を本当にありがとうございました!




今日も僕は影を追う













『影』(NARUTO 頂き物9)





















「ねぇシカちゃん少し太ってるほうが好きって本当?」


「チョウジに聞いたのか?そうだけど、それは.............」












只今PM5時半。俺の影は今薄く地面に広がる。















「んじゃチョウジが好きなの?」


「...............は?」







公園の真ん中らへん。シカちゃんの影も薄く広がってる。











「だってチョウジはデ............じゃないぽっちゃり系じゃん!!」


「いや........あのなぁキバ。お前おちつけ」











好きな人が他の人を好きかもしれないのに落ち着け?無理無理。

















「ねぇ!俺は?俺は?太ってる?痩せてる?」



「...................普通。」



「....................!!」















確かにそうかも













「..........キバ何処いくんだ」


「太って出直してきます.........」










だけど嘘でも「少し太ってる」と言って欲しかった。











「なんでお前が太るんだよ。........つかお前はどうなんだよ」


「...............痩せてる方が好き。」















まさかシカちゃんというお方はキバという奴の想いに気付いてないというのですか?

















「知らんかった。思考っつーんは違うものだな」

















なんか悔しい



















「ってゆーかーシカちゃんが好き。」



















あーもう笑ってくれ



















「.....................へ?」


















................................あれ?
















「シカちゃ..........


「いやっ!御免!友達としてだよな!うゎっなんかごめん!!」











顔を赤くして動揺してるシカちゃんがあまりに可愛かったから











「................恋愛対象としてですが」














今日は少し本気で
















「..............////」














少しずつ君に近づいて







ゆっくり消えてしまいそうな影が重なって







そしてそれを僕が捕らえる








そしたら君は僕のもの













☆成田つう様コメント☆

+++++++++++++++++++
えとキバシカ。

これをこの前の小説のお返しとしてりゆな様に捧げます!(いらねぇ
内容わけ分からんくてすいません!
まぁ両想いだったんですよ(適当かコラ

りゆな様いつもありがとうございます。こんなものでよろしければ貰ってやって下さい!
つか!キバシカを捧げものとして勝手に書いちゃってすいません!
少しは何が良いか聞こうよ私..........
ほんとすいません!趣味です!(言った

だめだめな私ですがこれからもよろしくお願いいたしますvv
でゎ!



☆管理人感想およびお礼☆

シリアスとギャグが絶妙にマッチして素敵でした☆
『影』を題材にしているのが上手いです! シカマルの象徴(?)でもありますしねv 時々出てくる敬語がまたいい味出してますw
さてストーリーですが……相変わらずシカちゃんと呼ぶキバが可愛いですw チョウジに嫉妬して落ち着かないキバが愛おしいv 
そして今回はなんとー告白シーンがっ! めずらしく動揺するシカマルがまためっちゃ可愛いですv
『................恋愛対象としてですが』
のセリフには思わず笑っちゃいましたw ラストは感動的で……。やっぱり成田さんのキバシカは好きです♪
素敵小説、本当にありがとうございました(*^_^*)




まだ僕達は走り始めたばかりだけど













『日々走卒のように』(NARUTO 頂き物10)














サスケ奪回の任務から何日か経った頃だった。
5代目から俺とシカちゃんに任務を与えられた














..............が。













「なんで敵来ないのかなぁシカちゃん」

「..........知るかよ」



敵が来なくて静かな森の中でぼーっとしてた。








「いや来なくていいんだけどね..........いっそこのままデート行く?」


「死ね」


「ちえー」


今日のシカちゃんはぴりぴりしてた。
多分今回も失敗するんじゃないかと思っているのだろう











凄く苦しそうで嫌だった











「キバ」

「?」

「俺、今度は頑張るから」





やっぱりと心の中で、ふうっと息を吐き出した












「なぁに言ってんの。前の時もシカちゃん頑張ったでしょ」

「...........」





「俺ちょっと水のんでくるね」

そういって木から飛び降りて川の水を一口飲みにいった。

「.......早くしろよ」

「平気平気!」
















「........................うあ!!!」
















ガザガサっと音がした

「へ?」






振り向くとシカちゃんが木から落ちて草むらに居た。



「.....くそっ」

シカちゃんは頭から血を流してた












「シカちゃん?!」


(敵!何処に.............!!)










「キバ後ろ!!」


(回り込まれた!!)





「がはっっ!!!」


「キバ!!」


がんっという音が鳴り響いて俺は体ごど水に沈む










「................てめぇか!この国になんの用だ!」

だが顔をあげたときには随分と距離をとられてた。


「何を言う。餓鬼が私に命令するな」

黒い衣装を身に纏った低い声の男。





「んなこと知るか!!」

「キバ待て!」

「うわっ!」

太い糸が俺の前に一本張っていた。


「なんだこの糸?」

「離れろキバ!それは毒糸だ!お前の嗅覚じゃ鼻が潰れるかもしれねぇ!!」

べっとりと垂れる程の毒が糸についてた。







「どうしよシカちゃん」

とりあえずとっさに息を止めシカちゃんの場所に戻り小さな声で喋る






「お前はここにいろ。俺が接近して毒糸を切って隙を作るから後ろからお前がとどめを」

「.........御免ねシカちゃん」





何も出来ない自分に嫌気が刺す





「大丈夫だ」











「なんだお前に代わったのか」

黒い衣装の男は仁王立ちで先に進もうともしない


「あぁ。別にいいだろう?」

「あぁ二人とも殺すのだから」

そういってけして早くないスピードでクナイをシカちゃんに投げる






「................?」


もちろんシカちゃんは軽くよけて見せる





(なんでこんな攻撃............裏を読め裏を.....)







するとキラリと一瞬光りが走り、糸が見えシカちゃんは後方にいる俺の名を叫んだ
















「キバ!!離れろォ!!」




その糸にも毒はたっぷりと塗られてた
















「え?」

だけどまさか毒糸がついてるなんて気付かず俺はそのクナイを受け止める気で居た。


クナイの投げられたスピードが早くはなくても俺の体がすぐにうごかなかった









(だめだ!遅い!)





俺は目をおもいっきり瞑った















「うあぁぁ!!!」






「シカちゃん?!」

「馬鹿な」








目を開けるとシカちゃんがクナイを結んでた毒糸を素手で止めている姿があった









「はっ.......はっ......」


その拍子にクナイは落ちた。









「シカちゃ...........

「来るな!!」


シカちゃんの所へ行こうとしたら怒鳴られた









「毒糸はなくなっても匂いは消えてねぇ。お前が今此処に来たら俺がやった事に意味がなくなる」


「でも..........手!」


シカちゃんの手は摩擦と毒で手のひらの皮がほとんどめくれてた。









「平気だ」


なんていうけれど俺は平気じゃない







「どうすれば............!」

敵はまだ遠くにいた。もちろん近づこうともしない















(...........もしかして)















「キバ!むやみやたらに走るな!」


隣の木に飛び移る。









「大丈夫」









「なんだ?こっからでも丸見えだぞ餓鬼」



(45秒が限界............その間だ)











大きく深呼吸し、敵の方へまっすぐ力の限り早く走った











「わけがわからねぇなぁ!!」





何本との毒糸を思い切りこちらになげつけられたが素早くクナイでそれを切り刻んだ。

(やっぱり。糸はそれほど強くない。匂う事と触れる事さえしなければ勝てる!)

毒糸に一本でも当たらないように丁寧によけていく。





そしてさらに先に走りさっと敵の後方にまわる










「?!」



ぐにゃっという感覚で敵の体にクナイが刺さる


さっき切った何本もの毒糸が着いていたのだろう。
敵の背中の皮がむけて、血とともに地面に落ちていった。








「がぁあぁあああ!!!」






そして敵から距離をとった。















(...........30秒)
















止めてた呼吸を再びする。

そのおかげで体の中に毒ガスは回らなかったようだ。








「悪いな。俺大事なもの手放したくないんだ」


シカちゃんを傷つけるのならばすべて敵。





今日の任務はこうして終わった。





















そのあと歩いてシカちゃんは病院へ。
その間に俺は5代目に任務の報告をしに行った。


そしてまた俺はシカちゃんのいる病院へ行った





「シカちゃん!大丈夫?!」


「キバ......静かにしろ。大丈夫だから。体の毒ガスは完璧に抜いてもらったし、手も2.3日したら動くとさ」


「よかったぁ」


ほっとして俺は床に座り込んでしまった







「キバ.........すまん。俺結局、足手まといになった。」


「何いってんの!倒せたんはシカちゃんが俺を守ってくれたからだよ?」



首を大袈裟なくらいぶんぶんとふって否定した。

だけどシカちゃんは顔を下に向けた。








「俺が早くに気付いてたらもっと早くに終わってた」

「.................シカちゃん?」






「俺、なんで小隊長になれたんだろ.........」


「............!!」








俯いてるシカちゃんが泣いてるように見えて思わずその震える体を抱きしめてしまった。










「キバ............?」

「シカちゃん。一人で怖かったよね。終わってからも誰にも本音が言えなかったんだよね。」








ぎゅっと抱きしめて。でも全然足りないくらいだった。








だけどゆっくりシカちゃんは口を開いてくれた。



「俺、わかんねぇよ...........あん時だってお前やナルト達が頑張ったのに....死にかけて!
俺の計画がもう少し違ってたらもしかしたらサスケは.......」







シカちゃんが涙目になっていく


また苦しそう苦しそう。













「そんなことない。そんなことないよ」




こんな言葉しかうかばなくてごめんね。








「...............!」

すべては受け止めきれない君なのに










「.........なんでお前が泣くんだよ」

「~~シカちゃん苦しそう」










それでも無理して一人で抱え込んでる君を見るのが嫌なんだ











「これくらい当たり前だ」





「当たり前なんかじゃない!そんな悔やまないで。誰も死んでない。まだ希望はあるんだよ」











不安。罪悪感。劣等感。











「シカちゃんを誰も責めてないよ。みんなまだ弱かったんだよ。シカちゃんだけじゃない」









少しでいい










「一緒に強くなろう。俺もとりあえずシカちゃんに追いつけるように頑張るから............」










それを殺めて軽くなろう









「................分かった」







そしたらきっと前より長く走っていける。








「.......じゃあ改めて任務成功おめでとう」


「あぁ。ありがとう」







それはまるで走卒のように。





















☆成田つう様コメント☆

*******************

無駄に長くてごめんなさい。自分でもよくわからない題名でごめんなさい。
ただキバシカの愛を書きたかっただけなのに!(うゎあ

キバはシカちゃんに辛い思いしてほしくなかったんです。ただそれだけだったんです。
シカちゃんはただ何も出来ないと思い込んでたんです。ただそれだけだったんです。
でもそれが無くなれば走卒者のように走っていけると思ったのです。

本当におまたせしました!こんなものでよろしければ貰ってやってください´∀`;;
では4000ヒットありがとうございました!



☆管理人感想およびお礼☆

キバはシカマルのことよく分かってます(さすがキバ(^^))シカマルはもう任務に失敗しないようにと頑張ってます(けなげ…涙)
>「.........御免ねシカちゃん」
可愛いv
>「大丈夫だ」
カッコいい!!!
戦闘も本格的です。
>「俺、なんで小隊長になれたんだろ.........」
あーもうこーいうの弱いんです(うるうる)
>「シカちゃん。一人で怖かったよね。終わってからも誰にも本音が言えなかったんだよね。」
ぎゅっと抱きしめて。でも全然足りないくらいだった。
キバの愛がぁ!!(じーん)
一人でいろんなこと抱え込んで、目に涙ためるシカちゃんに、キバも一緒に泣いてしまう。キバにとってシカちゃんを苦しめる者はすべて敵。シカちゃんが苦しいなら自分も苦しい。
成田様の書くキバシカは最高です! あとがきまでも感動しました!!
成田様、感動小説本当にありがとうございました!




何を思われてもこわくなど無かった。











『比較的、自主独往』(NARUTO 頂き物11)












「キバ!」



「.........シカちゃん」





「てめっみんな心配してたぞ!こんなところで何して........」


「ごめん足痛めちゃったんだ」


へらって笑ってみせたらシカちゃんに睨まれた。







「.............何処いこうとしてたんだよ」

「別に何処にも。なんで?」

「シノが寄るとこあるから先帰れって言われてそのあとからみてねぇって言ってたから」










ふと『シカちゃんも綺麗』そう思った瞬間、言いたくも無い言葉が零れた。












「俺ね、汚いの」

「......」


びっくりしたような顔をしてる





「誰になにをいわれても今までの俺なら『俺は俺』っつって気にしなかったのに...........」

「なんだよ......」


俺何言ってんだろ。こんなこと言ったらシカちゃん困るのに。






「なんでもない」

そういってまたへらっと笑って見せた






「...........帰るぞ。乗れ」


くるっと後ろを向いて体をかがませ歩けない俺を背中にのせてくれた。

ひどく暖かく、ほっとした。













................だけど














「シカちゃん顔冷たい」

不意に顔に触れてみると氷のように冷たかった。









「触るな。お前の手が暖かいだけだろ」

それだけ?違うでしょ?











「ずっと.........探してくれてたの?」


こんな寒い中こんな森の奥まで






「..............じゃなきゃなんでお前と帰ってんだよ」


顔は見えないけどきっと今も優しいしかめっ面をしてるんでしょう?












どうして











「なんで俺なんかを?そのまま居なくなればいいって思ったでしょ?」


どうしてかわからない。俺なんか役にたてた?











「..............お前どうした?なんか変だぞ」

「え?」












「なにがあったかしらねぇけど今のお前は『俺だ』って言い張れねぇのか?」











そんなんじゃない。ただ怖かった。


否定されてる気がして。













「..................違う」


「違うんなら何悩んでんだ」









俺自体居てはいけない気がして









「............今日ね敵殺しちゃったの」

「あぁ」

ゆっくりだったけど優しい相槌を俺に返す











「んで殺す前に『お前みたいな阿呆は生きてても害になるだけだ』っていわれたの」

「あぁ」


シカちゃんを持つ手が











「その瞬間目の前が暗くなって『そんなことねぇ』って頭をうめようとしてた」


敵を殺したこの手が震えた。












「なのにあとでこれが害って言うのかって思ったら怖くて」


「............」














赤い絵の具を零したような返り血が服にこびりついて誰かを殺した証になる











「シノ達とわかれて一人で頭冷やそうと思ってたら木から落ちて動けなくなっちゃった」


こんな証いらなかったのに














「...........泣くなよ」


「泣いてないもん」



御免








「嘘つけ」



嘘をついた











「.........シカちゃん......俺此処に居たいよ」


「居ればいい」











罪をひとつ消せる罰を下さい











「でも居たらシカちゃん達まで汚しちゃう」


そして罪が消せたらまた堂々と此処にいさせて下さい










「お前は汚れてねぇ」


そしたら俺は俺と呼べそうだから









「........シカちゃん」


(本当?そう思っていいの?)



背中の暖かさが足の痛みを和らげていった。















「俺のこと嫌いじゃないの?」


「なんで嫌いな奴探しにこんな寒い中走り回るんだよ」





あぁ戻ってきた。この感じ。











「ありがとう.......」



誰に何を思われても怖くなどない。















................ただ












「こちらこそ」


君が僕を好きで居てくれるなら














「...........なんで?」


罪や罰があろうと
















「此処に居てくれて」


それだけで生きていける。


















☆成田つう様コメント☆

**********************

キバシカです。(絶対きっと.....
この話は他の人よりも自主独往なキバが初めて自分は此処にいてはいけないのでは無いかと思った話です。
罪や罰なんかより自分は此処に居てはいけないのではないかということが真実なのが怖かったのです。
だけど、シカちゃんに此処にいていいと言われてそんな考えはまたどこかにいき、
シカちゃんがそう思ってくれてる。それだけで生きていけると思ったのです。

りゆな様、お待たせいたしました。こんなものでよかったらお持ち帰り下さい。
4200ヒットありがとうございました!



☆管理人感想およびお礼☆

成田様は天才だと思います! 題名からして上手すぎます!
さてストーリーですが、めちゃめちゃツボりました! 自分の存在を否定してしまう、それを誰かが救ってくれる……こういう話大好きなんです!
敵を殺してしまったキバが初めて自分の存在を否定してしまう……。そうですよね、キバだって、一度はそんな経験をするのだと思います。森の奥で独り落ち込むキバを迎えに来るシカマル。足を怪我したキバをおぶってくれるんです。その背中のあたたかさと、頬の冷たさが対照的で……。シカマルはキバが大切だから、寒い中探してくれたんです。キバの苦しみに、そっけなくも本当はあたたかく受け止めてくれるシカマル……。ここにいたいよ、って言うキバに、居場所をあたえてあげたシカマル。シカマルにとってもキバはとても大切で、だから……。
落ち込むキバと優しいシカマル、すごく良かったです! 台詞の言い回しとかもいつも素敵です!
成田様、この小説大好きです! ありがとうございました!!


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