スノーソード

スノーソード

GT3三話


目的の場所に着いた時には既に日は大きく傾き、
あたりは夕焼け色に染まっていた。
「…」
やはりそこは古文書どおりの光景が広がっていた。
俺は大きな切り株に歩み寄る。
近づいていくにつれ、胸に込み上げてくるのを感じる。

この切り株にまつわる悲しい話を俺は知っていたからだ。


…昔、この切り株は大きな大木だった。
登った所にある枝からはあたり一面の視界が開け、
近くにある街を見渡すことをできたという。
1人の少年と少女は毎日のようにその場所に通い、
少年は高所恐怖症のため下で待ち、
少女はこの夕焼けで赤く染まる街並みを飽きる事無く見ていたのだ…。

だが、ある日事件は起こってしまった。

「実はボク、空を飛べるんだよ。そして君を助けるんだ」
少年は分けが解らなかっただろう。
人が空を飛べるはずが無いし、それに助けるって何から?ってことも…。
しかし事もあろうに少女は赤く染まる空にダイブしたのだ。
もちろんあるはずの無い翼が羽ばたくことはなかった…。
「あ!」
羽を持たない天使は硬い地面に吸い込まれるように落ちていった。
少年は走った。
このままじゃ、死んじゃう。
そう思った少年は少女を受け止めるため全力疾走した。
少年は手を伸ばす。
あと少し、
あと少しで…。


…でも、

その手が少女を受け止めることはなかった…。

ドサ。


少女は硬い地面に叩き付けられた。
助けれなかった。
少年はショックで意識を失いそうになった。
永遠の少女が手招きしているのが見えた。
「…うぐぅ、痛いよ…」
その一言で少年は我に返った。
少女はまだ生きていたのだ。
「あ、あ…」
少年は嬉しさのあまり言葉にならない声を出す。
「はは…、天使が空から落ちてきたのかと思ったよ…」
「…そういうのは、ちゃんと受け止めてから言ってよ…」
少女は苦しながらも言う。
そんな状態でもツッコミを入れるのは流石だと思う。
「まったく、勝手に飛び降りて…。大丈夫か?」
「ボク…もう駄目だよ…」
「おい、しっかりしろよ!」
「スパイラルマタイも失敗しちゃったし…」
「何を言ってるんだ…」
「それは、秘密だよ…」
「そんな…、気になる!」
「確かに飛べたのに…」
「とにかくしっかりするんだ」
「なんか、眠い…」
「寝ちゃ駄目だ!寝たら死ぬぞ!」
「…でも」
「駄目だよ!そんなの!」
「…」
必死の呼びかけもむなしく少女の目は閉じていく…。
「そんな…、目を開けてくれよ…」
「たのむから、起きてくれよ!」
「お願いだから…」
少年は泣き崩れた。

降りしきる雪がその傷痕を埋めるように、
止めど無く降り積もっていった。


「ふう…」
これから未知なるモノと遣り合うかもしれないってのに、なにブルーになってんだか。
気の迷いなんかあったらいざという時に命に関わるかもしれないってのに。
「よっと」
俺は切り株の上に乗る。
ここからでは周りが木々に囲まれているため空しか見えないが、
それでもどんな風景だったのか想像することができる。
「俺も見てみたかったな…」
「…そろそろ行くか」
気分も楽になったことだしおれは先に進むことにした。
ここまで来れば遺跡までもう少しだ。
やっと、会える…。


日没間際、空が赤から紺色へと鮮やかなグラデーションをしている。
あたり一面を見渡せる丘に登った俺はその美しさに息を飲んだ。
そして前方にはその光によって浮かび上がる大理石でできた遺跡があった。
遺跡は既に崩壊が進んでおり、今ではまちまちの長さの柱と、
祭壇が残っているだけである。
「これじゃあ封印がいつ解けてもおかしくないな」
封印に関してはそんなに詳しくはないのだが、
この手の奴は大体そこに立てられた建造物がその役割を持っているのが多い。
ザッ。
俺はその遺跡に近寄る。
だがその時!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…。
「む!」
物真似師かと思ったがそうではないようだ。
大地が揺れている。
ラビは…知らん。
「おわ!」
揺れは更に酷くなっていき、もう立つことも困難になっていた。
ズン!
その揺れで遺跡の柱が倒れていく。
「来るか!」
夜が…来る!
突如、揺れが止まると同時に遺跡の下から光が放たれた。
カ!
遺跡はその光によって吹き飛ばされた。
光が弱まっていく。
「おさまったか…な!」
遺跡のあった場所には大きな穴が開いていた。
それも自分の足もとの所まで。
「危ない所だった…」
あと数歩先進んでいたらどうなっていただろうか。
寒気がはしる。
ヒュー。
穴の底から生暖かい風が吹いてくる。
中を覗いてみるが暗くてよく分からない。
封印されしモノは何処に居るのだろうか。
まだこの中か、それとも…。

 1.石を投げ込む
>2.ダイブする

「しまった!」
事もあろうに俺はダイブする方を選んでしまった。
「前の選択肢に戻るは!」
ねえよ。
「ロードしよう」
出来ねえよ。
「うっぐっ」
体が勝手に動く。
このままバッドエンドか…。
もし古文書を手に入れてなかったら未来は変わっていたのだろうか?

すべては偶然ではなく必然で動いている…。

それは本当なのだろうか。
もしそうだとしたら、俺の…いや、全ての未来という物が決められているということになる。
こうなることが決められていた…。
だとしたら世界は何なのだろうか。
決められた道しか歩けない全ては。
どれだけの人はその事を知っているのだろう。
深く考えることができる人は何人この事に気づけるのだろうか…。
いや、気づけないのではない。
気づかないようにしているのだろう。
そんな事を知ってしまったら…。
人は生きてはいけないだろう。
でも、
もしそれを知っているからこそ決められた未来を変えることが出来るのなら、
俺はその可能性に賭けてみたい!

ガク!
不意に足もとの感覚が失われる。
「うわあーーーーー!!」
断末魔だろうか。
男は絶叫する。
やっぱりキンフィーには勝てないか。
俺的にはⅡがお気に入りだ。Ⅲも良いけど。
深い闇に落ちていく。
「くそ!こんな所で…!」
俺はリュックに手を伸ばす。
「やられてたまるかよ!」
天使の人形をかかげる。
「奇跡よ起きてくれ…!」
願うように、そして強く思う。
「…」
やはり自分のためだけには奇跡は起きないのだろうか。
このままではスパイラルマタイは確実だ。
だが成功例なんて聞いたことがない。
俺は醜い肉の固まりになってしまうのだろうか…。
「本当ならバトル中に使う予定だったのにな…」
俺は人形を抱きしめる。
「良いネタかあったのに…」
「誰だよ俺を落としめた奴は…」
実は俺。
だが語りべの声が届くはずもなく…。
「…そうか、てめえなんかが俺の人生を操っていたのか!!」
あら…。
「許さん!」
ちょっと待ってよ。
憎しみからは何も生まれないよ?
「ああそうだ、これはてめえを打っ潰すものだからな!」
…だがそこからどうやって潰すというんだい?
この世界は俺が動かしている。
今すぐにでも君を硬い地面に叩き付けることも出来るんだよ?
「うるせえな。回りくどい言い回しをしやがって」
「スクラップにするとかトマトケチャップをぶちまけるとか言えないのかよ!」
…そのたとえはあんまり変わらないと思うけど。
「うるせえ!今すぐそっちに行っててめえをぶっ飛ばす!覚悟しろ!」
ほお、やれるものならやってみろ!
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお…!!」
だが宙に浮いたり髪の毛が金色になることはなかった…。
「そんな願いも虚しくそこには宙に浮く金髪のナイスガイがいたーーー!!!」
何だと!勝手に変えるんじゃない!
「そして俺は時空の壁を突き破り、てめえの顔面目掛けて拳を突き出したーー!!!」
敵はこっちに向かってくる。
そんな、そんな馬鹿な!!
バリーーーーーーーーーン!!!!!
時空の壁が割れる音。
「食らいやがれーーーーーーーー!!!!!!!!!」
ゴッパーーーーーーーン!!!!!
ギャアアアアーーアアアアアアアーーーーーー!!!!!
「キンⅡスタイルの絶叫を上げながら語りべはどこかに吹き飛んでいった…」
「ロケット団みたいな奴ではないと生きていることはないだろう…」
「…」
「…」
「せめて心理描写はされてた方が良かったな」
「まあ良いかこれで未来が決められることはないのだから…」

「神は、死んだ」

「そう決めゼリフを言い、俺は地上に戻ることにした」
「当初の予定とは違うものに奇跡を使ってしまったようだが」
「まあ良いか、それだけの価値がある物を手に入れたしな」

「ようやく俺は地上に出ることが出来た、と」
「地上は既に闇に包まれており、月明かりの青白い光りが辺りを幻想的に照らしていた」

「な…、に!」
「そこには、闇より暗い色をした球体が浮かんでいた…だと…!」


つづき


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: