花ごよみ

花ごよみ

11

リバティ


~得たもの>失ったもの~

『あたたかな場所』
を 手に入れて
『持たない気楽さ』
を 私は失った

一度 持ってしまうと
失うのが怖くなる

安心感と同じ大きさの不安感

この安心が無くなったら 
自分はどうなってしまうのだろう

元に戻るのではない

ずっと 地面に立っている事と
100メートルの高さから 地面に落ちるのとは わけが違う

安心が 大きい程
不安に 居ても立ってもいられなくなる


  これまでの色々で 
  すっかり身にしみてしまった

  私の  悪い思考パターン

それを遮ったのは たったの一言

 『大丈夫だよ  側に居るよ』

・・・それだけで なんとなく 納得して頷いてる私

 私が得たものは
    本当に 呆れる程大きいらしい・・・。



~発見~

独りで 歩いていると
身体の中に寒さを感じるのは 知っていたけれど

独りで 物を食べる事が
こんなにつまらない事だとは 知らなかった



~こころの おと~

・・・カタン。

誰かの側に居ることで
自分が安定する

・・・カタン。

誰かから離れただけで
自分が不安定になる

・・・カタン。

気張らずに
気取らずに
ちゃんと 自分が自分で居られる場所を
誰かの側に見いだす

・・・カタン。

独りの時間が
こんなにも落ち着かない

・・・カタン・・・カタン

みんな みんな
初めての事ばかり

カタン、カタン、カタン・・・

自分の中で
これまで動いていなかった歯車が
今 一斉に
音を立てて回り始めた

どうしようもなく 心細い

どうしようもなく あったかい

うれしい  せつない  いとおしい

色んな大きさの歯車が
これまでと違った噛み合わせになって

 これまでとは違う 

     心地良いリズムを 


           刻み始めた



~家族への手紙~

いつも 見ていてくれて  有難う
いつも 側に居てくれて  有難う
いつも 好きで居てくれて 有難う

殆ど 滑り込みになりつつも
この家族の中に生まれて 本当に よかったと思う

家族やってる年数は 一番短くて
何の特技も持たない私だけれど
せめて
いつも みんなを想う事で
家族の“要”になれたらいいな、などと
小生意気な事 思ったりもする


  家族の海が いつも 穏やかであり続けます様に
  家族の船に いつも いい風が吹き続けます様に


  今まで 特に言った事無かったけれど

       大好きだよ


            2000.12月 花明



~兄からの手紙~

いつも思うんだけど、花くんほど純粋に
『音』に反応してくれる人って そうは居ないんで、
色んなものを聴かせたくなる。

『魂振(たまふり)』って言葉 知ってる?
何かのインパクトを与えて、
相手を浄めたり 活性化させる…って云う 
古い信仰なんだけど。

例えば、柏手(かしわで)も 
昔は 神様じゃなくて 
普段の挨拶の時に お互いにしていたものだし、
祭りの時 お神輿を激しく揺さぶるのも 
そこからきてる訳。

音楽も同じ処から派生してる事を考えると
我々は 『演奏家』『音楽家』じゃなくて
『魂振師』を目指すべきなんじゃないのかな、
と考えたのが もう10年位前になる。

方向として 
その結果が少しでも表れてくれれば
これはもう 嬉しい事この上ない。

だから 花くんが『風の大地』で涙流してくれたのも
『いい曲だとホメられた』
なんて単純な嬉しさじゃないって事。
わざわざ 骨をケーナにしなくとも
花くんは ちゃんと『鳴って』くれてるんだから。

そうやって ちゃんと届いてくれる人がいると
『ああ、自分のやってる事は 間違ってはいないらしい』
って 思える。
普段はそんな話する事ないけど
そういう意味で 花くんには感謝してるんだよ。

ただ それだけの感性持ってる人なんで
別の処では 真剣に心配もしてる。
…オヤジの様な物言いで悪いが
あんまし心配させんでくれよ。


              2000.12.24.



~愛情表現:貴方の不安を無くす為にできる事~

私の眼が
貴方からそれるのを恐れるなら
貴方の姿を焼きつけて
私は瞳を閉じましょう

私の耳が
貴方の声を閉め出すのを恐れるなら
貴方の囁きを閉じ込めて
私は耳を塞ぎましょう

私の口が
貴方との別れを告げるのを恐れるなら
貴方に愛を語った後で
私は口を閉ざしましょう


  そんな 愛し方も あるけれど

  今 私がしたいのは


貴方を視線で射殺せる程に
貴方を見つめ続け

貴方が声を失う程に
貴方の言葉を聞き続け

貴方の口から溢れ出す程に
貴方への愛を語り続ける事

  そう 今 私を 駆り立てるのは

『貴方の為なら死ねる』程の 従順さではなく

『貴方の為なら死んでも生き返って来る』程の 激しさ



~新しき時間に向けて~

   いいものばかりを 持って行くのではなく

   二度と 同じ過ちを繰り返す事の無い様に

   嫌なものも ちゃんと 側に置いておこう

         忘れぬ様に 

      無かった事に せぬ様に


過ぎ行く時間の中に 
無責任に 捨て去るのではなく

未だ来らぬ時間の中に
自虐的に 投げ入れるのでは無く

積もり行く時間の中に
そっと 
確かに
沈めておけばいい

誰にも見せる必要は無い
それを沈めた自分だけが
そっと覚えていればいい

今の自分を傷つける為では無く
これからの自分を 支える為に


         新しき時間が 

        美しく 潤い乍ら

         皆様の中に 

      降り積もっていきますように




NEXT

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: