花ごよみ

花ごよみ

2

龍の珠

黒珠


この年
15になる娘は 二人おりました

ひとりは 村の長のひとり娘 琴音もうひとりは 綾乃と云う名の 身寄りのない娘でした

綾乃は 長の好意の元 琴音と姉妹同様に育てられなに不自由なく 暮らしておりました

しかし
色々と 物事がわかってくる年頃になると  『どうにかして この御恩に報いたいもの』
と 考える様になって参りました


龍神祭が近付くにつれ
村のあちこちで 薄ら寒い囁きが交わされる様になりました

『今年の人身御供は どうなさるおつもりだろう…』『よりによって 15の娘が 二人とも長の娘御とはのう…』

長が ふたりの娘を心から大切に思っていることを
村人たちも よくよく承知していただけに
その心痛は 察するに余りあるのでした

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