花ごよみ

花ごよみ

18

リバティ


~おむかえ~

あなたの 生活する町を
ひとり 足の向くままに 歩いたよ


すっきりとした青空に 大きな鯉のぼり

家々の庭先には 色とりどりの花 花 花

二両編成の 青い電車がコトコト

あちこちで 猫に逢う  
…手を振って 御挨拶

不意に 目の前に 聞いたことのある名前の看板

あなたが時々食事に入った店に 
ひょっこり辿り着いちゃった

向かい側に 煙草の自販機
あなたの煙草 ひと箱買ったよ


どれだけ 行き当たりばったりで歩いても
迷子になんて ならないね
日本一の目印があるんだものね(^-^)

見当をつけて また別の道から駅へ戻る

よーし
今度は 今とは逆の方へ ずんずん行こう

大きな鳥居の 大通り

通りの両側には お店がいっぱい

どんどん歩いて まだまだ歩いて
それでも もっとまっすぐのびる道

…さすがに 途中で諦めちゃった


お気に入りのパン屋さん どこだっけ?
目印探して『今ここ』メール
…『逆』…?

そうか…駅ビルの地下なのね(- -;)


もうすぐ お仕事終わるかな
駅に戻って パン買って

見落とされない様に
何処から来ても 見える位置に陣取って

待ってる時間は 嬉しいね
来る人を待つのは 楽しいね

『今 鳥居のある通り』
もう調査済みだから 
どっちから来るかすぐわかる


作業着のままのあなた
急いで来てくれたんだね

おむかえにきたよ
ちゃんと 迷子にならずにこれたよ


電車 モノレール 飛行機 バス
いっぱい 色々乗り継いで

これがしたかったの
これが言いたかったの


お仕事が終わったばかりのあなたにタックルして


       おかえりなさい


        おつかれさま



~浅草発~

船が大好きな私

水上バスに
初めて乗った

隅田川の水面を さぷさぷ分けて

風はちょっと冷たいけど
人が多くて狭いけど
やっぱり甲板が気持ちいいね

日の出桟橋で一旦降りて
東京港めぐりの船に乗り換え


うわ、さっきよりも ずっと大きな船!!

カフェレストランみたいな一階席を横目に
船首側の 小さな階段を駆け上がり
二階のテラスを船尾まで小走り
そこから 下を覗き込む

うわぁ!外輪船だよーー!!

ふいと振り返れば
もう一つ 階段発見

三階もあるんだーーーー!!

大きな煙突の側を駆け上がると
広々とした 甲板に出た

3~4人掛けの木製のベンチが
ゆったりと 間隔をとって据えられている

うわー!広ーーい!ひろいねーーーー!!

船首の手すりまで 一気にダッシュ

うわぁーー!すごいねー!すごーーーーい!!
きゃあーーーーーー♪♪♪

両手をあげて おおはしゃぎ

すごいねーーー!!!(⌒▽⌒*
と 彼を振り返る


・・・はっっっ!!? Σ( ̄▽ ̄;

彼の後ろのベンチに座った坊やと目があった・・・


       ふたり揃って  


       ばんざいポーズ



~逢いたくて~

早朝
仕事に向かう あなたを見送った

慌ただしくて
泣いてる暇もなくて
あなたを乗せた車は
あっという間に見えなくなった


部屋に ひとり戻ると
突然寂しさがこみあげてきた

煙草の吸い殻を 一本くわえて
あなたのバスローブに くるまって

2時間程  そのまま  ぼんやり


その後の予定が
けだるい時間を ふと断ち切った


身支度をして 出かけたけれど
こんな時に限って 予定はキャンセル
なのに とっても いい天気

       帰りのバスまで あと8時間

  あなたの町まで 片道2時間

       2時間くらいなら 逢えるかも


なんだか
無性に 逢いたくなって
『行ってもいい?』
と 許可を得て

あなた行きの バスに 飛び乗った


  仕事帰りのあなたに逢えた

     あなたと 晩ごはん食べられた

       ゆっくり  色々  お話できた

でもね
一番 嬉しかったのは
『来るんじゃないかなって…』
思ってくれていた事


     迷わずに 行ってよかった

     帰る前に 逢えてよかった

そして 私は
やっぱり 泣き虫のまま
あなたの町を あとにした



~共通項~

料理をする事と 絵を描く事って 似てる


ちょっと甘味がうるさいかな・・・塩入れてみよう
ちょっと赤が鮮やかすぎかな・・・黒混ぜてみよう

塩をいれると 味がとんがっちゃいそうだな
・・・じゃ、醤油かな
黒をまぜると 色が汚くなっちゃいそうだな
・・・じゃ、青かな

仕上げに青ネギ
これがないと 何か物足りない
仕上げにハイライト
これがないと 引き締まらない

敢えて カレーにチョコレートを入れてみる
敢えて 絵の具の代わりに墨汁を使ってみる

時に 思い掛けない傑作ができて 大喜び
時に 救い様のない駄作ができて 大弱り

突拍子のないやり方が 
思わぬ効果を生み出す事もある
定番のやり方を無視して 
収拾がつかなくなる事もある

応用 流用 思い付き
試行錯誤のくりかえし

でも
それが 楽しくて
私は今日も
創作活動にいそしんで・・・


・・・誰が食べるんだぁぁ  こんな量(ToT)



~おめでとう~

例えようのない 痛みの中で
その手の ぬくもりに
気がついたんだね

小さな痛みは
あなたが 見落としそうな物を
拡大してくれたんだね

あなたが
『手に入れたら 失うかもしれない』
と云うリスクを恐れて
見てみぬ振りをしそうになった物を
『逃げないで  受け止めてごらん』
って
背中を押してくれたんだね 


これまでの あなたのために
この瞬間の あなたのために
これからの あなたのために

               離さないで
               離れないで


あなたの痛みは
それを
告げに来たんだね



~穏やかな時間~

たとえば  
春の風の心地よさ

たとえば  
初夏の どきどきする様な新緑

たとえば  
切なく胸をしめつける 秋の夕暮れ

たとえば  
あたたかく しずかな 冬の日溜まりの安心感


              たとえば 家族

              たとえば 恋人

              たとえば 友人


               そして 自分


       そんなものから

        できている

       わすれたくない 

        じかんたち

つむぎだし

    つみかさね

        ながれゆき

            またいつか 

                ふりつもる



~祈り~

去る者の想い
送る者の想い

静かに
穏やかに
愛に満ちて
永遠へと続く
瞬間を紡ぎ給え


これからの それぞれの海が

      どうぞ 穏やかでありますように

これからも それぞれの船に

      どうぞ 良い風が吹きますように




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