「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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世界バレエフェス Aプロ
世界バレエフェスティバル
世界バレエフェスティバル Aプロ
2003年8月1日 上野 東京文化会館
開場ちょっと前に上野についた。
すると楽屋口に数人の人だかり。誰~と見るとアンヘル君。ニコニコと愛想いい。写真もサインもせがまれて断らず対応していた。ほんと、いい人。
今回のMVPはやはりタマラ・ローホかな。
『海賊』のグラン・フェッテ・アントーゥルナン、なんとトリプルですよ~トリプルをシングルはさんで8回ぐらい?続け、最後は4回転。
最初のトリプルで客席がどよめき、もう拍手のみならず歓声がやまず、最後の4回転でほぼ全員絶叫。すごい、すごすぎるぞタマラ・ローホ、ロイヤルバレエの面目躍如! 超絶技巧No.1です。
次にすごかったのは、アンヘル君。『チャイコのパドドゥ』 なんとフェッテをジャンプしながら回っている。何て言ったらいいのかなー、普通フェッテの軸足は地面についているが、軸足がジャンプしながらのフェッテと普通の地面に軸足がついたフェッテを交互に繰り返す超絶技巧。やはりアンヘルはとことん、おいしいとこ持ってくやつだ。
パートナーのアリーナも負けてません。ピケ、シェネの高速連続技。アリーナは可愛い! 技術もすばらしい。ロイヤルバレエいいじゃないの。
超絶技巧といえば、『ドンキ』でイナキ・ウルレザーガも見せてくれました。フェッテの足を真っ直ぐ伸ばすのでなくちょっと曲げて回っている。すごい。シェネ5回転をダブルで。(多分) あとザンレール&ピルエット2回転をセットで4回。すごすぎ。
超絶技巧で言えば、カレーニョもすごかった。「海賊」でフェッテのあと足を高く上げるとこ、やはりワーという歓声があがってました。カレーニョ・ローホペアーが一番拍手もらってました。お客さん、目肥えてるねー。ブラボーコールもすごかったあ~
人気No.1で言えばやはりギエムですね。みんな「ギエムはなんでトリじゃないの?」「ギエムはいつ出てくるの?」漏れ聞こえてくる会話はそんなんばっか。出待ちの人気No.1も、もちギエム。
私的にはセクシーNo.1はル・リッシュ。体中から男の色気が発散されている。ダンスはもちろん技術的に最高レベルだが、それ以上に語っているものがある。ギエムと踊っても負けてないし背の高い二人はコンビネーションも抜群。回転もどんなに激しく回っても崩れることがない。ムーヴメントの全てが美しく、芸術的で、それでいて現代的で、かっこいい。大好きです~ ル・リッシュ。
■第1部■ 18:00~18:40
フィリップ・バランキエヴィッチ
(シュトゥットガルト・バレエ団)
「リーズの結婚」
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:フエルディナン・エロール
前菜。あっという間に終わってしまった。
マリーヤ・アレクサンドローワ
(ボリショイ・バレエ団)
セルゲイ・フィーリン
(ボリショイ・バレエ団)
「ロメオとジュリエット」より“バルコニーのパ・ド・ドゥ”
振付:レオニード・ラヴロフスキー
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
フィーリン、髪が伸びていて、ふわふわで、A.C.ミランのマルディーニにそっくりになっていた。ダンスは完璧です。マリーヤ・アレクサンドローワは妊娠したルンキナに替わって来日した人。
アニエス・ルテステュ
(パリ・オペラ座バレエ団)
ジョゼ・マルティネス
(パリ・オペラ座バレエ団)
「エスメラルダ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:チェーザレ・プーニ
第1部のトリ飾るにふさわしい、超豪華カップル登場。客席の反応もやっと「世界バレエフェス」って感じ。ジョゼは背高い。今回来日したダンサーの中で多分一番背高かった。アニエスもすごい背高い。ふたりはとにかくダイナミック。ダンスには憎らしいほどの余裕が感じられた。そしてジョゼはニコニコしていてラテン系の人ってほんとに人を楽しくさせるなーと再度実感。出待ちの時見たジョゼはめがねをかけていてインテリ風なのだ。もうベテランなのね、という成熟が感じられた。
アニエスはタンバリンを手にし、膝などでならすのだが、後半の方では、頭上に高々と持って、それをアラスゴンドの高くあげた足でならしていた。かっこえー。ジョゼはタンバリンアニエスが持っているのをならしたり、自分のお尻でならしていてた。カーテンコールはすごい盛り上がり。
<休憩 10分>
■第2部■ 18:50~19:35
グレタ・ホジキンソン
(カナダ・ナショナル・バレエ)
ロベルト・ボッレ
(ミラノ・スカラ座バレエ団)
「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」
振付:ウィリアム・フォーサイス
音楽:トム・ウィレムス
この演目、大好きなので楽しみにしてました。フォーサイスってかっこいいね。もう超ーーかっこいい振り付けなんです。キレがあって、いかしてる。
最初舞台中央のグレタ・ホジキンソンがはいてる黒いタイツのゴムをひっぱったり巻いたりしてふてくされているのであれ~と思っていたら、もうそれがすでに振り付けなんです。演技なの。続いて登場したボッレも「やんてらんねーよ」とふてくされた表情で登場。終始、この演技で、歩き方もどすどす、って感じでおもしろい。ダンスはカッコイイ! ビートのきいた音楽で、ひとつひとつのポーズがすべてつながっている。挑むように踊らないと負けてしまう。
グレタの足は180℃以上開脚している。ギエムもそうだがこの演目は180℃以上開脚できる人限定なのか。グレタのダンスはシャープですばらしい。すごい存在感。ボッレの方はそんなに印象がない。体は大きくフォルムの美しいダンサーだが。
アリシア・アマトリアン
(シュトゥットガルトバレエ団)
フリーデマン・フォーゲル
(シュトゥットガルトバレエ団)
「ジゼル」
振付:ジャン・コラーリ/ジュール・ペロー
音楽:アドルフ・アダン
フリーデマン・フォーゲルはアイドルNo.1かな。若くて金髪で可愛い! もうーすごく可愛い。ハンサム。そしてはかなげ。出待ちのとき女性陣が群がっていた。対応も丁寧で、一番長くサインに応じてくれていた。何十人もサインしてたよ、きっと。
フォーゲルは体が柔らかく、背中のしなりがすごい。
「ジゼル」とかの演目だと、ほかを見すぎているので特にどうこうと印象に残らず、書くことができないのがちょっと困るなー。「ジゼル」は個性を押し殺して(亡霊と死ぬほど後悔してる男になりきるためにね)踊らなくてはいけないのでガラとかだとそのダンサーの個性が見えてこない。まあ、フォーゲルはアルブレヒトタイプではある。素顔も。おとなしく、育ちがよく、繊細で、という感じ。
シルヴィア・アッツォーニ
(ハンブルグ・バレエ団)
アレクサンドル・リアブコ
(ハンブルグ・バレエ団)
「ゲッティング・クローサー」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:ネッド・ローレン
シルヴィア・アッツォーニは金髪で超美人、体型も美しい。マドンナを美人にしたような顔。アレクサンドル・リアブコはラテン系。黒髪で、いたずらっぽい顔つき。表情は笑顔。
ノイマイヤーの振付は演技的な要素も多く、パントマイムではないのだが、表情を作って、手を小刻みに動かして、差し伸べたりする。きっと振付は超難度の技なんだろう。リフトがすごくって、片手1本で女性のウエストを支え、高々と持ち上げふりまわす。アトムかスーパーマンのような、つまり漫画のようなすごいリフト。
ふりまわすのもすごい。ぶんぶん。
アリーナ・コジョカル
(ロイヤルバレエ)
アンヘル・コレーラ
(アメリカン・バレエ・シアター)
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシーン
音楽:ピョートル I.チャイコフスキー
第2部のトリ。待ってましたよーアンヘル君! アリーナ・コジョカルちゃんも見たかったー。ふたりともにこやか。もうアンヘル君てばほんとうにうれしそうに笑っている。客席にもアンヘルのあたたかい笑顔効果が。
超絶技巧は上記。
カーテンコールも大盛り上がり。
<休憩 20分>
■第3部■ 19:55~20:35
オレリー・デュポン
(パリ・オペラ座バレエ団)
マニュエル・ルグリ
(パリ・オペラ座バレエ団)
「シルヴィア」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:レオ・ドリーブ
やはりノイマイヤーだから普通じゃないと思っていたが…。
まるで映画です。
ルグリは水色のジャケットのスーツ、下に濃い色のTシャツ。ふつうのおじさん(ゴメン)という感じのいでたち。オレリーはやまぶき色の(ダサい色の)あかぬけないジャケットとスカート。大きなスーツケース提げている。それを舞台の端にドンと置き、ダンスが始まる。どうやら別れ話。とてもひょうきんなコメディぽい振付もあった。最初ルグリが「別れないで」、でもオレリーは「もうイヤなの!」
そしてルグリが「じゃいいよ」と悲しそうに背を向けて歩き出すと、オレリーが追ってくる。「でも、やっぱり好きなの」。そんな感じでふたりが究めて映画的に踊る。ストップモーションが多いのだ。美男美女だからはまる。
途中のふたりのユニゾンダンスはむちゃ美しい。ぴったりあっていて。ここだけパリ・オペ。
最後にオレリーが「さよなら」と去ろうとすると、ルグリが身を投げ出して引き止め、床に大の字に。オレリーはたまらずキス。ハッピーエンドかと思いきや、オレリーはすたすたとトランク持って退場。もしかして、ここ、笑うところ?
カーテンコールはルグリコンビは初めて舞台の上手の方にも来てくれた。ファンサービス心得てます。
アレッサンドラ・フェリ
(アメリカン・バレエ・シアター、ミラノ・スカラ座バレエ団)
「パヴァーヌ」
振付:ジョージ・バランシーン
音楽:モーリス・ラヴェル
白い布で最初顔を隠している。パートナーいないでひとりで白い長いヴェールと踊るという演目。フェリは相変わらず独特の、妖精が年を食ったような(ゴメン)存在感。生身の人間感じさせない。もしかして客席も意識してない?
ディアナ・ヴィシニョーワ
(キーロフ・バレエ団)
ウラジーミル・マラーホフ
(ベルリン国立歌劇場バレエ団)
「マノン」より“寝室のパ・ド・ドゥ”
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マネス
マラーホフ様が書き物机で文筆活動していると、ヴィシニョーワがやってきて邪魔する。羽ペン放り出す。で、ふたりのパドドゥ。悲劇の結末をまだ知らない二人の、甘く、ちょっと崩れた、エッチな雰囲気をかもし出すパドドゥ。マクミランは下品になりようがない振付だが。マラーホフは金髪で後ろでその時代の人がやっていたように束ねている。ヴィシニョーワはマノンの雰囲気でていた。色っぽく、婀娜っぽく、艶っぽい。
途中、一瞬、ヴィシニョーワがぐらっとなり、バランス崩し、マラーホフの方に倒れかかるが支えられるというところがあった。今公演通じてミスらしいミスはこれぐらいだったけど。ちょっとびっくり。
タマラ・ローホ
(ロイヤルバレエ)
ホセ・カレーニョ
(アメリカン・バレエ・シアター)
「海賊」
振付:マリウス・プティパ
音楽:リッカルド・ドリゴ
間違いなく今公演のベスト・パフォーマンス。
ローホのトリプルの入ったフェッテが始まったとき、みんな何が起こったの?と一瞬呆然とし、それを続けているとわかるともう歓声、拍手がなりやまず。とちゅうちょっと危ない感じもあったが持ち直し、最後は4回転でしめてくれて、ぎょえー! 大歓声。 これでタマラは日本で伝説の人となるであろう。
カレーニョは上半身の筋肉がすごい立派。見ているだけで彫像のような、プロレスラーのような。アリははまり役。笑顔で穏やかな人という雰囲気。
<休憩 10分>
■第4部■ 20:45~21:40
ジル・ロマン
(ベジャール・バレエ・ローザンヌ)
「アダージェット」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:グスタフ・マーラー
舞台上に椅子がひとつ。ベジャールの世界は独特で、哲学的。ほかの作品と一線を画している。首藤さんにぴったりの演目だなーと思ってしまった。
最後の方のくるくるまわるのはすごかった。アンビリーバブルなほど。
ジル・ロマンはカーテンコールに出てこないんじゃないかと思うくらい入り込んで踊っていたが、(でないとこの作品、踊れないよ)出てきてくれた。
ガリーナ・ステパネンコ
(ボリショイ・バレエ団)
アンドレイ・ウヴァーロフ
(ボリショイ・バレエ団)
「ラ・バヤデール」
振付:マリウス・プティパ
音楽:ルートヴィヒ・ミンクス
アンドレイ・ウヴァーロフは背が高くスタイルがすばらしい。顔はアンドリュー・コルベットにちょっと似た雰囲気? ちょっと冷たそうな感じが…。ガリーナ・ステパネンコは化粧すると顔だけ安達祐実。あごの辺りが…。
ウヴァーロフのアントルシャすごい。きっちり2回叩いて、それでも余裕でした。ダイナミック。
ニキヤが長いヴェール持って出てきて踊るの、むずかしそー。もったまま足を伸ばして回るのが…。こないだNHKで見た同じ演目のヴィシニョーワも難しそうだった。また、ステパネンコはピルエット2回&アラベスクをセットで4回ぐらいやっていた。(と思う)むずかしそー。
シルヴィ・ギエム
(ロイヤル・バレエ)
ニコラ・ル・リッシュ
(パリ・オペラ座バレエ団)
「優しい嘘」
振付:イリ・キリアン
音楽:クラウディオ・モンテヴェルディ
カルロ・ジェズアルド、グレゴリオ聖歌
一番見たかったル・リッシュ。素敵すぎ。かっこえ~ 陶酔。
イリ・キリアン作品もギエムに合っている。シャープな作品。私はギエムはやはりフォーサイスとかイリ・キリアンの方がクラシック作品よりいいと思ってしまう。体型が筋肉質で細く、でかく、まるでスポーツ選手のような体のギエムです。
ル・リッシュはクラシックバレエも見たい!と思わせる雰囲気がある。醸し出すオーラが…
バルボラ・コホトコヴァ
(ボストン・バレエ団)
イナキ・ウルレザーガ
(ロイヤル・バレエ)
「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:ルートヴィヒ・ミンクス
大トリです。イナキ・ウルレザーガはラテン系の濃い~顔。フィーゴみたいな濃さ。うっとーしーぐらい濃い。(ゴメン)技術すごいっすよ、トリはるだけあります。超絶技巧は上記。バルボラ・コホトコヴァのキトリはちょっと物足りなかったかなー
カーテンコール
全員が一組ずつ登場する。最後の方に出てきたのはマラーホフ。しっかりセンター。ギエムとルグリは隣だったが、最初手つないでなかった。なんて豪華なカーテンコール。指揮者のソトニコフさんはかなりお茶目。
指揮:ミシェル・ケヴァル/アレクサンドル・ソトニコフ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
感想を一言で言うと、「もったいない!」こんな豪華なスターが勢ぞろいして次から次に登場して、ひとり1演目だけなんて、なんてもったいない!
そして「長い!」 第3部まではいいとして、第4部に入ったら観客のほうも精も根も尽き果て、疲れきっていた。ジル・ロマンの『アダージェット』あたりで疲労が極度に達し、次の『ラ・バヤ』は意識朦朧。最後から2番目のギエムの演目でようやく理性を取り戻し、ラストドンキへなだれこむって感じでした。
番外編 The De-Ma-Chi
いちばんびっくりしたのは公演よりも、スターダンサー達が次々と上野駅の改札に消えていったこと。え~! TAXIじゃないの??? ギエムとル・リッシュが、アンヘルが、ウヴァ-ロフとステパネンコが、ルグリが、オレリーが、そのほかみんな電車で帰っていきました。みなさん、もう東京、上野は勝手知ったる庭なのね。ただしマラーホフ様とジル・ロマンはタクシーでした。AHAHA…
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