★No015001 恐怖体験part01 真夜中に…


★恐怖体験 part01
熱海沖合いに浮かぶ初島でイサキの夜釣りを覚えたことは、巻頭にも書きましたが、
一般的に夜釣り? 一人? 怖くないですか?
よく言われることですが…
『釣りは 寂しさを感じずに 孤独を楽しめる ただ ひとつの遊びである』
今は亡き大先輩から頂いたこの言葉が気に入り、夜な夜な夜釣りを楽しんでます。

1974年頃…、自分と釣り友で布良漁港で夜籠仕掛けで狙う伊佐木釣りを始めたのが恐らくご当地籠釣り創世記であった。
ところが地元の人に知られる所になり、手軽に入れる漁港内の場所取り合戦の様相をなし、自分は磯専門でした。
そんな磯専門になって3年ぐらい経った夏の夜のことでした…

視線は基本的には正面(海)を向いてます。
ですから、後ろに眼が付いてる妖怪でない限り、
後ろに対しては無防備です。

晴れた夕方は目前に大島が見え、ノンビリと釣り支度をしてる時が、
もっとも楽しい時間です。

その日も夏独特の海風が吹き、汗ばんだ身体に心地より夜でした。
20時過ぎからポツポツ当りだし、磯場に持ち込んだスカリには既に10匹はキープ。

遅めの夕食をパクついて一服してました。
背中の方角は白浜方面で東にあたり、もう直ぐ月が出る時間になる。
この周辺は月夜でも潮が通せば、群れは散ることなく楽しめます。

案の定、コマセを再び入れること数十分で良型の群れが寄ったらしく、
4~5投すると電気ウキに当りがきて、イサキは左の根に向かって走り出す。

それを交しながら抜き上げる~投入…
一連のパターンに酔いしれていた23時、月が昇りましたが、入れ食いは止まりません。


何気に月の昇った高さを確認でも…しようと振り向いたら~~~
”えっ~つ!”



自分の釣座から20mほど離れた高場の岩の上に誰かが立ってる。
まさか~…いくら月夜とは言え、ここに入るには、
途中まで砂浜だがその先からは岩場で、大人の背の高さ以上の茂みを掻き分けなくてはならない。



その後、大きな岩を二山越え、比較的広い溝を飛び越えなくてはならず、夜に入るには慣れていても怖いはず。

ライト無しでは絶対無理!
まして…浴衣姿では???

そうです! 月光が眩しくて正面の様子は判断できないが、女なのです。
白っぽい浴衣を着て、ジーッとこっちを見てる~ ワーッ!!
直ぐにでも竿を仕舞って帰りたい!
しかし、そこの高場を通らないと帰れない。

冷静を装って仕掛けをポイントに投げる…が~
ウキなんぞ見てるはずがない。
耳はダンボ状態で後に向いていて、まだいるのか気になる。

よせばいいのに、こんな時に限って当りがくるよ(泣
取り込んで魚をスカリに入れる時、見てみた。。。
ワーッ!!・・・・まだ居るよ!

とうとう…30匹台になり、スカリは押しくら饅頭状態!
思い切って声かけよう!
腹を決めて振り向いたら。。。いないじょ~!!
何処に消えた?



その後、館山の馴染みの釣具屋にこの出来事を話したら、
岩の上に立ってた「ボン杭」がそう見えたじゃないの(爆
全然信用してもらえなかった。

その年はその釣場に入ることはなかった(汗

翌年、地元の漁師さんと話す機会があり、あの話をしたら…
「あーそれは○△さんとこの◇□ちゃんじゃないのかな?」
「毎年夏には東京から戻ってるから…」
「いい娘なんだけどね。夜に徘徊さえ直ればだけど…」
「先週帰ってきてたよ~」

勿論、その年の夏も入磯しなかったことは言うまでもない(笑
それからと言うもの、この釣り場を 『亡霊下』 と自分は呼んでいる




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