魔女の隠れ家

魔女の隠れ家

2006年05月31日
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カテゴリ: 時代小説
宮部みゆきさん『孤宿の人』上下(新人物往来社)

孤宿の人(上) 孤宿の人(下)




生まれたときから厄介者の扱いを受けてきた子「ほう」。
建具屋「萬屋」の若旦那が女中に産ませ、金で人の預けられる。その家ではロクな面倒も見てもらえずにいたが、生家の「萬屋」の祟り払いの代参として金比羅へ送られる。
まさしく体のいい厄介払い。
途中船旅に体を悪くした「ほう」は、丸海で宿をとるが、同行の女中に路銀ごと去られてしまう。
やせ細り、あちこち怪我をし、躾けもされていない「ほう」を奉公人として向かえてくれたのが、丸海藩の医家、井上家だった。
井上家の人々は皆優しく、「ほう」は生まれてはじめて人らしい暮らしを見つけるのだが・・・。


「阿呆のほう」と誰からも厄介者として過ごしてきた「ほう」ですが、自我の成長期に、まったくというほど人らしい扱いを受けたことがないのですから、少しばかり受け答えが遅くても、あやしくても仕方がないと思うのです。また子供は大人が思う以上に人の気持ちに敏感ですから、己を「阿呆のほう」と思ってしまうのでしょう。



体は大きくなっても心も考えもまだ子供な「ほう」にとって大人たちの「守りの嘘」にどうしていいのかわからない。
その様子にまた、大人たちは自分たちの抱える「理不尽な」と思う気持ちが揺さぶられてしまう。
耐えられなくなっては「ほう」を追いやる。

この本の中で、力も地位も年齢も関係なく、一番強かったのは「ほう」なんじゃないかと感じました。
そして「ほう」が最後に貰った「阿呆のほう」ではない名前に、泣いてしまいました。

未読の方は機会があれば、ご一読を。





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最終更新日  2007年10月02日 09時58分11秒
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