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Jan 20, 2006
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其の壱より続き・・・

私がコースインした時には、既に数台の車両が走行を開始していた。
あと何台かコースインして来るだろう・・・インラップから数周は、どんな
ライダーがコース上にいるのか、そしてどの辺りを走行しているのか・・・
クリアラップを走れるチャンスを作る為に、コース状況を把握することに
専念する。 

同じ走行枠を走るライダーの中で、私のラップは遅い方から数えたほうが
早い・・・タイヤの残りは少ない・・・走行中の台数、レベルから言って
クリアラップのチャンスは1周・・・運が良くて2周が限界だろう・・・。

時折、抜かれたライダーに着いてセクション毎の確認をして行く・・・

今日は「クリアラップでタイムアタックしよう。」と決めていた・・・
前を走るライダーに引っ張られて行きたがる自分を嗜めながら淡々と
ラップを重ねていく。

そして「その時」は、やってきた。 2ヘアを立上り・・・レストハウス裏の
上り坂を駆け上がる 「後ろには誰も居ない。」・・・シケインを過ぎて・・・
最終コーナーへ向かう 「大丈夫!居ない。今だ、次で決める!」・・・
最終コーナーを丁寧に回り 「行けっ! もう後ろは振り向くな。」・・・

レヴがあたる前にシフトアップしながら、ホームストレートへ向かう上り坂
をカウルの中に身体を沈めて加速して往く。 6速で全開・・・さすがに
真っ直ぐ走らない・・・グリッドの白線、路面の継ぎ目・・・いつものことだ・・・。


左側をメートル看板が過ぎて往く・・・迫り来る恐怖心のなだめながら、
スロットルを戻しブレーキングを開始する・・・倒立フロントフォークに
ラジアルマウントされたブレーキキャリパーから発生される強烈な
ブレーキングフォースにリアタイヤが浮き上がりそうになるのを自分の体重
とリアブレーキで調整しながら6速から3速・・・1コーナーへ・・・。


間違いなく(タイムが)出る!」確信していた・・・1コーナーを立上り、右→
右と続く2・3コーナーへ「首を振れ」・・・スロットルをスパッと戻して
3コーナーへ進入・・・立ち上がりでシフトアップして1ヘアへ向かう・・・

「頼む・・・誰も来ないでくれ・・今だけは・・・譲れない。」 ポストの
オフィシャルに眼をやる・・・「よし、あの目線なら誰も居ない。」・・・苦手な
左コーナーをハラまないように・・・立上りに集中して立上がる・・・「悪くない
。 頼む。 リアタイヤ・・・もってくれ。 この周だけでいいから・・・。」
祈りに近い想いで右に切返しながら、シフトアップしスロットルを開けて
往く。 パドックのフェンス越しに見える「森から出て来る」右コーナー
今日は此処の路面の継ぎ目でレブ付近からリアが跳ねて流れていた・・・

「極力バイクを立てて」午前と何も変わらない・・・少し・・・スピードに乗って
ラインが・・・ワイドになったくらいのこと・・・身体を目一杯右内側に張り
出して・・・さぁレブがくる・・・ぞ。

その瞬間・・・

「 っ! 」 リアタイヤの存在が消え・・・けたたましいスキール音と共に・・・
左外側に居た筈のメーターユニットがシフトインジケータの青い光を点した
まま眼の前を横切った!・・・「マズいッ!!」 リアタイヤが左肘の後ろに
居る・・・タイヤの焦げる臭いがした。 

「ハイサイドがくるぞッ!」転倒を覚悟したヘルメットの中に冷静な自分
の声が響き渡った・・・次の瞬間・・・今まで経験したモノとは、まるで違う・・・

(いつもは、ふぅ~「滑って」・・・クン「バイク起きる」・・・ふわっ
「Take off」の定石通り。)

まるで、誰かに大きなチカラでもぎ取られるかのように・・・Take off...
「飛んでるな・・・。」物凄いチカラで身体を色々な方向に引っ張られる・・・
まるで玩ばれているように・・・恥を忍んで打ち明けると、この時私は恐怖で
眼が開けられなかった・・・本当に、恐かった・・・「絶対に眼を開けるな。」
冷静な自分は、そう言い続けていた・・・「身体を丸ぁくしろ。 無駄なチカラ
を抜け。」とも・・・。

「今、どの辺りだろう・・・ガードレールは?・・・オレ死ぬんかナ・・・車椅子
生活やろか・・・オフクロ・・・ごめん・・・。」 滞空時間は長かった・・・左脚だけ
ブーツが脱げている・・・あの履き難いアルパインスターズが何故?・・・でも
やっぱり・・・眼は開けられなかった・・・真っ暗な闇の中で身体をあらゆる方向
から引っ張られながら・・・そして風切音が変わった「近いッ!」

Touch down...
轟音と衝撃・・・何度も頭と身体を打ち付けながら・・・慣性に身を委ね、土煙
の中を転がっていた・・・眼を開けられないまま・・・生きるか死ぬかすら考え
られなかった。 そして「ナニか」に激突して・・・止まった・・・。

「止まった・・・やっと止まった・・・。」「生きて・・・いるんだろうか?」

「眼を開けてみろ」 ゆっくり眼を・・・開けてみる・・・真っ暗だ。
 そして静寂・・・。
「死!?」 焦点の定まらない眼で必死で光を探す・・・初めて「生」への
執着を行動に変えた・・・足の先の方向に小さな「光」が見えた・・・。
「あぁ・・・」 全力で僅かに持ち上げていた首のチカラが抜け、「ゴンッ」
ヘルメットが鈍い音をたてて地面に当たり・・・項垂れていた。

                            (つづく)







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Last updated  Jan 21, 2006 01:09:54 AM
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