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2008年02月04日

ギターの質感まで感じさせる高音質な録音：FAKiE / To the Limit

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テーマ：ぶっ飛ばせ！ROCK'N'ROLL!!(316)

カテゴリ： CD紹介

フェイキー / トゥー・ザ・リミット

オーディオの試聴会で聴き，すぐに気に入りその日のうちに楽天で注文した。FAKiEはヴォーカルのKeicoとクラシックギターNaokiの2人組のユニット。ジャズ・スタンダードからレッド・ツェッペリンまで，幅広いジャンルのカバー曲やオリジナルをシンプルながら躍動感のあるアコースティックアレンジで聞かせる。インディペンデントレーベルから発売されているが，その録音の質の高さから割と知られているバンドのようだ。

何より，シャープの1-bitデジタル録音技術をフルに活用してレコーディングされたというその音質がすばらしい。帯には「フェイキーならではの熱い演奏を超高速サンプリングで閉じ込めた，１ビット技術による『録れたて』の音。」とあるが，まさに言い得て妙。デジタル録音だから時間の経過に伴う音の劣化などありえないが，スタジオの音を鮮度が落ちる前に真空パックで閉じ込めている，といった感じがしっくりくる。

ジャケット裏面のクレジットにはレコーディング機器の型番まで詳細に書かれている。1ビットオーディオコンソーシアムの代表を務める早稲田大学の山崎芳男氏も関わっているようだ。

特に印象的なのが，やや大きめに録られたナイロン弦ギターのリアルな響き。録音の良さから来る生々しさを比較的感じ易い音の１つがアコースティックギターの響きだろうし，押尾コータローのBe HAPPY や山弦のhawaiian munch などでもその臨場感を楽しむことができるが，エレキギターの奔放な奏法でクラシックギターを弾いているというNaokiの切れの良いカッティングには独特の迫力がある。

ギター・ソロの#2では押尾コータローのようにドラム，ベース，ギターをギター１本だけで再現してみせるなど，その超絶技巧ぶりも光るが，カーペンターズのカバーが有名な#3などでの間を生かしたリズム感がすばらしい。フックの効いたアレンジも見事で，ギターソロでリズムギターの中からイントロのフレーズが表れてくるところなどは個人的にかなりツボ。この曲などはちょっと大きめの音量で聴くと，まるで小さなライブハウスの最前列で聴いているかのような臨場感がある。

同じように強烈なリアリティを感じるのがビリー・ジョエルの#12で，哀愁あるイントロのクラシカルなギターの響きから一転して激しくタイトに刻まれるリズムギターの音は，まるで弦の肌触りやボディの質感まで感じさせるほど。

その#12や#9で自然なビブラートを聞かせるボーカルのKeicoも，くせがなく素直な声質で聞きやすい。多彩な楽曲に合わせ様々なスタイルに挑戦しており，#1や#4では高音のシャウト，#5ではスキャットが聞ける。ただ個人的には，しっとりと自然な歌い方の日本語のオリジナル#8や，伸びやかなヴォーカルが光るポップなオリジナル#10などのほうが彼女にはより合っているように感じる。

それにしても，スタジオの空気感まで伝わってくるような優秀録音だ。シャープの1-bitはデジタルアンプの SM-SX10 を聴いたことがあるだけで，その時はあまり良い印象ではなかったのだが，ハイエンドになるとやはり違うのだろう。

Official WebSite 下部「ToTheLimit」から数曲試聴できる。

01 Aquarius
02 Glow
03 (They Long to Be)Close to You
04 To the Limit
05 言の葉
06 The Way We Were
07 Ride on Time
08 Piece of Life
09 航海
10 あの雲の下まで
11 That's the Way It Goes
12 The Stranger
13 赤とんぼ

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