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2006年11月13日

今夜はクラシックの演奏会に出かけてきました。いちばんの目的は庄司紗矢香。僕が彼女の演奏を聴きに行くのは今年だけで３回目になります。もう完全に虜になってしまっています。今夜はベートーヴェンのコンチェルトです。ここ数日は家でずっとこればっかり聴いて今日に備えておりました。

今日の席は前から３列目。あんまり前すぎるのはクラシックでは良くないんですが、今日は前列バンザイです。大歓迎です。オケはＮＨＫ交響楽団。いつもテレビで見ている人たちがぞろぞろ出てきて、それを間近でハッキリと確認できたのもよかったです。もちろんこれまでもＮ響の演奏には足を運んだことはありますし、Ｎ響の裏方のバイトも一度やったことがあるくらいなのですが、聴き手としてこんなに近くでＮ響を見るのは初めてだったのでちょっとミーハー気分でした。

蛇足ですが、今夜の演奏会の主催はＮＴＴです。そういえば去年もＮＴＴ主催のこの演奏会に足を運んでいました。そして、当時合コンで知り合ったばかりの子と初めてふたりで会ったのがこの演奏会の日でした。短く燃えて消えた恋心をどうしても思い出さずにはいられません。。

さてさて、早速庄司紗矢香の登場です。間近で見る彼女は、指揮者とコンマスが大きかったせいかとても小柄に見えました。ベートーヴェンのコンチェルトはしばらくソロが出てこないのですが、僕の席ではヴァイオリンの生音が聴こえてきました。うわぁやっぱりＮ響本当にうまい。コントラバスは舞台後方に一列に並んでいて僕の席からは全く見えなかったのですが、それでも存在感に満ちた低音が響いてくる。あぁこんなふうに弾きたいよ。ソロが出る前から僕はうっとりと聴き惚れていたのでした。

それでも僕は目だけは庄司紗矢香をじっと見ていました。彼女が弾いていない時にどういう佇まいでいるのか、少しも見逃すまいとずっと見ていました。これは彼女を聴きに行く時にはいつもそうなのですが。そして始まる彼女の音楽。美しい。どんどん引き込まれる。やっぱり来てよかった。この幸せな時が長く続いてほしいと思いました。曲が進むのは当たり前でもちろん全部聴きたいのですが、進めば進むほど終わりが近づいちゃうわけで。でも限りあるからこそこちらも全身全霊で聴いていたい。そんな当たり前のようなことを思ってか思わずか、とにかく集中して聴いていました。集中しようと思わずとも、自然と彼女の演奏に自分の存在が吸い込まれていくのでした。

そして終曲。胸が熱くなるのを感じました。ともすれば目頭さえも熱くなりそうでした。なんて素晴らしい…。どうしてこの人はこんなにも人の心を動かす演奏をするのだろう。そう思いました。逆に言えば、どうして僕はこんなにもこの人の演奏に心を動かされるのでしょう。

ところで、彼女は自分が弾いていない時、どこを見ているのか客席の方を見渡すことがあるのですが、今日はほんの一瞬僕と目が合いました！…と思っているのはこちらだけかもしれませんが、その瞬間はびっくりしちゃいました。。

休憩後はヴォーン・ウィリアムズの交響曲第５番でした。たぶん一度も聴いたことがなかった曲ですが、全曲通して非常に美しかったです。今度はコントラバスが増えて僕の位置から井戸田さんがバッチリ見えたので、井戸田さんをいっぱい見てました。井戸田さん独特の熱い弾きっぷりです。見られてよかった。

幸せな気分で帰路に着いたのは言うまでもありません。のだめのおかげでかつてないほど世間にも裾野が広がっているクラシック音楽ですが、やっぱりいいものはいいのです。世間の関心は長く続かずに廃れてしまうのはわかりきっていますが、今関心を持った人の中でひとりでも多くの人がこの先もずっと聴いてくれたらいいなと本気で思っています。

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