国立大二校目の 院試に落ちた
6日の晩。
深夜も深夜。
日が変わる直前のこと。
次男が電話
をかけてきた。
電話をかけてきた時点で
ピンときた。
多分、
悔しさがあふれ出して
しまい、
ひとりではこらえきれなくなって、
誰かに受け止めてもらいたくなった
のだろうと。
心置きなく
甘えられる人間の前で、
思いっきり泣いて叫びたかったのだ。
悔しい。
悔しい、悔しい、
悔しい ! ! !
と。
「もしもし」の時点では
泣いてなかったけど、
そのあと 押し黙り、
そして 嗚咽。
アタシはいいよいいよと
静かに言う。
全部吐き出しなさい。
気持ちを押し殺さず、
全部吐き出しなさい。
悔しい
よね。
学力試験は通った
のに、
よくわからない 面接で落とされて。
しかも落ちたのは 3人だけ。
本当に頑張ってた
の。
一日中勉強していたの。
あんなに頑張ってる
次男を見たのは初めてで。
感動すらしたわ。
あの子は
色々落ちまくりの人生
だったから、
今度こそ努力して
つかみ取ってほしかった。
笑顔で
行きたいところに行ってほしかった。
心の底から全力で願ってたよ。
だからお母さんも
悔しくて仕方がない。
次男の勉強机に座って泣いた
もん。
ここで頑張って勉強していたなって。
その姿を思い出して涙が出た。
学力が足りなかったわけじゃない。
学力は足りたのに・・・
本当に 悔しい。
泣きすぎて
ろれつが回ってない声
で、
次男が むせび泣く。
行きたかったのに。
どうして。
どうして。
どうして。
・・・・・
学力試験で落ちてたのなら、
落ち込みはすれども
そんな風に泣かない。
けれど
学力では受かってる
からね・・・
やるせない
よね。
次男が悔しがっているだろうと、
納得できずに
泣いてるんじゃないか
と、
この日は家事が手につかないくらい、
実は 心配してて。
・・・やっぱりか、
と。
ずっとそばで 見ていた
からね。
次男の一生懸命な姿。
わかるよ。
どんな思いでいるか。
お母さんには痛いくらいに。
もうね、
ほんとに 泣きすぎ
て
ろれつが回ってない
の。
次男。
何言ってるんだか
わからない部分も多いくらいで。
自分は未熟だ。
研究者には向いてないんだ。
なんか
そんなようなこともつぶやきだして、
そう、
自己肯定感が低い
のなんの。
ちょっと 心配
になるくらいで。
だから ばらしちゃった。
ダンナの秘密。
長いこと秘密にしていたけれど、
実はダンナ、
二浪
してるの。
一年目は勉強していなかったから。
自分が悪いから仕方がない。
けれど 二年目
は、
共通一次の一週間前
に
父親が事故
って、
半身不随になるんじゃないかの 大けが
をしたせい。
もしそうなったら、
大学どころじゃなくなるじゃない ?
父親、
働けなくなるかもしれないわけで・・・
19歳の子供じゃあ 動揺
が強くて、
試験がまともにできるわけがなく、
それで二浪。
この辺の話は詳しく聞いても
はぐらかして
あまり教えてくれなかった
のよね。
結婚する前も、
したばかりのころも。
ああ、
話したくないんだな
と思って、
もう 何も聞かなかった。
この二十数年間。
ダンナの 大きな心の傷
なんだと思う。
それでも 挫折せず
に
ちゃんと大学に入って、
院にも行って、
就職して。
結婚して、
子供を持って、
その成長を楽しみにして。
それなりに幸せな人生
だと思うよ ?
派手なことは何もないけど。
とても地味
だけど。
でもそういう幸せもあるんだよ ?
だからどんなに今つらくても、
この先いいこともある。
それは
小さくて平凡なことかもしれないけど、
とても大切なことだったりするかもしれない。
そして逆に、
また 別のつらいことも
待ってるかもしれない。
また泣きたくなるかもしれない。
でも それが生きていくということ
で。
そんな話を
ゆっくりゆっくり、
かみしめるようにしてみた。
何を思ったのかはわからない。
なんか 余計に激しく
泣きだしちゃった
けど・・・
でも 自己否定
みたいなことは
言わなくなったかな ?
努力しても
かなわないことってある
よね。
アタシにもあったよ。
就職活動
だけど。
まったく 努力してなかった友達
が、
棚ボタの 学校推薦
で、
アタシが目指していた 大手企業に
すんなり就職
したときは
ショックだったな。
自分以外の人間が
皆幸福そう
に見えたし、
神様なんかいないんだなとも思った。
雑踏の中で
人の流れを見ているだけで、
涙があふれてきちゃうのね。
今思い返すと 青いな
って思うけど。
22歳だしなあ。(苦笑)
そうやって
自分のことを青かったって苦笑いできる時も、
いつか来るかもしれない。
ずいぶん先にはなると思うけど。
そんな話もした。
次男が
何を思ったかはわからない。
でも泣きじゃくって、
泣きじゃくって、
泣きじゃくって・・・
一時間ちょっと。
声が普通に戻り
だして。
少し 落ち着いた
かな ?
今回のことは 君の心の底に
ずっと残る
かもしれない。
いやきっと残る。
けれど ファスナーを締めて
閉じ込めちゃう
の。
閉じ込めて頑張って生きていくの。
それは たまにきっと、
ファスナーを開けて
飛び出してくる
と思う。
それをまた
静かにゆっくり閉じ込めて、
前を見て生きていく
んだよ。
傷のない人間なんていないんだから。
傷に、
挫折に勝たなくてもいい。
でも
負けないで。
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