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旅の途中、寄り道の日々
魔法少女「藤崎 歩」第4章「戦闘」
無断転記禁止です。
まだ3章を読んでない方はこちら
「魔法少女『藤崎 歩』第3章『召使』」へ飛ぶ
では、「魔法少女『藤崎 歩』第4章『戦闘』」始まります。
ああ、もうわけが解らない。
朝から魔法少女に会うし、先生は喰われてて、しかも、変わりに来た先生はマンイーターだし。訳分からないことばかりだ。どこだよここは。って日本だよ。
という一人ノリツッコミをしてる間に屋上に着いた。
「ここで喰べられたいのね。うふふ」
『逢沢 時恵』もやって来た。
逢沢先生と歩が対面する。
「そんなことを言ってられるのも今のうちよ!」
「あんたなんか私の『下僕第3号』にしてやるんだから!」
えっ?歩さん、今、あなたなんと言いました?
「おい、歩、正気か」
俺は確認する。
「えぇ、正気よ!」
どうやら正気なようだ。
「さぁ、行きなさい!下僕2号!」
ん?『2号』それは誰だ?
「何してるのよ!行きなさい、『明』!」
『下僕2号=俺』そんな数式が浮かんだ瞬間だった。
「行けって言っても、ごく普通の高校生の俺に何をしろっていうんだよ!」
「大丈夫よ、私が何とかするから。あんたは普通に戦いなさい」
普通ってケンカもしたことの無い俺に『普通に戦え』というのかこいつは。
「ほら!来てるわよ!」
前を向くと逢沢先生が常識外の速度でこっちに向かってきていた。
あの鋭い爪で引っかかれたら痛いだろうな~
俺が危機に直面してる今思ったことである。
「ぼさっとしないで、明!死ぬわよ!」
死ぬという言葉に我に返った俺は避ける準備をした。
「何、避けようとしてるのよ!私に当たるじゃない!」
避けることすら否定された。
逢沢先生の攻撃はおそらく後1秒も掛からないで当たるだろう。
歩はさっきから後ろでぶつぶつ何か言ってる。
さよなら、父さん、母さん。何も親孝行してあげれなくてゴメン。俺の人生は女の子を助けて終わります。先に死に行く息子を許してください。
俺がこの世に別れを告げた瞬間だった。
逢沢先生の鋭い爪が胸に刺る。
『地味に』痛い。
ん?『地味に』?あの長さ10cmはありそうだった爪が『地味に』な訳ないじゃないか。
「だから言ったでしょ。私が何とかするって」
「くっ!私の爪を防ぐなんてやるじゃないかお嬢ちゃん!」
どうやら俺は助かったみたいだ。
「さて、そろそろこっちも攻めるかしらね」
「どうせ戦うのは俺だけどな」
攻撃がそんなに痛くないなら戦えるかもしれないと思った。
「いや、あんた、もういいわよ」
「えっ?」
戦う心さえも否定された。
落ち込んだ俺など知る由も無く、歩は叫んだ。
「下僕『セラ』に命じる!アイツを倒しなさい!」
「了解したニャ。ご主人様」
「ちっ!まだ他にも下僕がいたのか!」
その瞬間どこからとも無く『セラ』が現れた。
「黒猫?たかが猫1匹増えたからって、なんだって言うのよ!アッハッハ」
笑う、逢沢先生。
確かに俺もこの小さな黒猫に何ができるのだろうと、疑問に思ってしまう。
「ニャ!」
セラが飛んだ。
まだ笑ってる逢沢先生の顔を蹴った。後ろ足で。
「グフッ!」
「猫だからって馬鹿にするニャよ」
やばい、セラがかっこよく見える。
「生意気なネコちゃんね・・・」
顔をやられた逢沢先生は爆発寸前のようだ。
「猫は生意気だから可愛いんだニャン」
そう言って、尻尾と後ろ足の2連撃を逢沢先生にあたえた。場所はまたしても顔だ。
「この、カスがぁぁぁ!」
逢沢先生がとうとうブチ切れた。
そうして猛スピードで近づきセラを捕まえた。
「うふふ、捕まえたわよ。ネコちゃん」
「ちょっとお痛が過ぎた・・・・・・わ・・・ね」
言い終わる前にセラは逢沢先生の顔を引掻いた。何回も。セラが始めて見せたネコらしい行動だった。
「ぎゃぁぁぁぁー!」
どうやら精神的にも肉体的にも効いているようだ。
逢沢先生は顔を押さえて絶叫している。
セラがこっちにやって来て言った。
「じゃ、後よろしくニャ」
「えっ、お前よろしくって・・・・・・」
セラは朝の様に姿を消した。今度は驚いたのは俺だけのようだ。
歩も言う。
「じゃ、行ってらっしゃい」
「とりあえず蹴ればいいわ。ほら!アイツをボールだと思って!」
どうやら行くしかないらしい。
俺はアイツに向かって走る。体が軽い。
「私の顔をよくも台無しにしてくれたわね!八つ裂きにしてや・・・」
なんか言ってるが関係ない。アイツはただのボールだ。
「る・・・グフッ!」
ドンピシャ。顎狙いのシュートは一直線にゴールへ飛んだ。同時に逢沢先生の意識も飛んだ。
父さん、母さん。俺は生き残ることができました。
『人はいつ死ぬか分からない』そのことをこんなことで実感するとは思いもしなかった。思いたくなかった。俺は心底そう思った。
続く?
あとがき^^;
新学期早々、死に掛けた明君でした。
セラや明が強かった秘密などは次章ですかね。
死なないで明君。それは作者も同じ気持ちです。
「魔法少女『藤崎 歩』第5章『強弱』」に進む
感想はこちらまで
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