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苫治安

苫治安

2007.01.06
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カテゴリ: カテゴリ未分類
作・演出・出演:野田秀樹


あ~あ、書くのを面倒がってるうちに、2ヶ月も経っちゃったよ。
もう書けないな(馬鹿だな~)。
とりあえず、見に行った記録だけ。

「オイル」ほどの衝撃はなかった(あれは凄かった)。
ちょっとロジックがわかりにくいのと、言葉遊びがむしろ大人しくて転回点がないのと、ずるずる泥沼化するわりにはどうしようもなくなっていく過程の恐ろしさが薄い……のかな(わかりません)。

「なかったことをあったことにするのは難しいが、あったことをなかったことにするのは簡単だろう?」
これが訴追点だ。

これが主張。
でもなぜだろう?
無から有を作ることはできず、有から無へ変換することはできるということは、たしかにニンゲンの能力について一般に認められるところだが、「あったことをなかったことにする」ことは普通許されない。
なぜか。
一ヶ月、うんうん考えてわかった(トロい…)。
「あったこと」には必ず責任が付いてくるからだ。
実はその論法で行くと、「なかったこと」は「なかったことがあったこと」になるので、これも責任を免れない。
難しかろうが易しかろうが、あったことをなかったことに、なかったことをあったことにすることは、どちらも不可能である。
事象に付随する責任は撤回できないからだ。
それなのに、「なかったことにしよう」というのが、歴史相対主義の立場だろう(アウシュヴィッツは存在しなかったとか、どこそこの虐殺はなかっただとか)。
これはかなりキケンに感じる。


戦争を求める人間側に都合のいい情報ばかりが、戦争自体をあおるようなインタビューや実況とともに流される。
実はこれはアメリカ合衆国における現実ではないか。
同時に、「ジャーナリズム」がほとんど実在しない我が国においては、つねに身近に存在する危機でもある。
ジャーナリストを名乗る人々がこの危険性をどれだけ認識しているのか。
もちろん、劇中では「殺し合いの番組を見せろ」と要求するのは視聴者で、大衆側の責任も免れ得ないものではあるが、そこで視聴率稼ぎに流れるか、踏みとどまるかは報道を担う人々の重大な責任である。

あれは、他にもたくさんあるだろう事例の典型で、視聴率稼ぎに流された典型だ。
ああいうことをやっている限り(外注先でなくテレビ局自体が)、テレビを偉いなどとはこれっぱかしも認められないし、ジャーナリズムのジャの字も体現できていないと断言して憚らない。

まぁそんなわけで、これだけ考えさせるような社会的な内容ではあったし、無意味な(=正義なんか欠片もない)残虐さをストレートに出してはいたが、それでいてやや伝わりにくい感じがした。
たぶん、熱っぽさがね。
もっとも、役者さんはみんなよかった。
藤原竜也は当たり前として(上手いって)、宮沢りえが好演していたのには吃驚した。
あんなひょろひょろの身体でどうやって長丁場を耐えるのかなどと要らぬ心配をしていたが、それを吹き飛ばしてくれるほどのエネルギーだった。
それでも劇全体を見ると何かが不足していた。
主に危機感が。
あれだけストレートに表したにもかかわらず……いや、ストレートだったからなのか?
野田ともあろう者が、ノーマルなやり方で断罪しちゃだめだよ(笑)。
面白かったけど、ちょっと中途半端な気持ちで帰ったのだった。





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Last updated  2007.03.02 12:07:14


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