(仮)

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カレーのための戦い



『猫派ですか?犬派ですか?』と聞かれたら、間髪居れず『猫派!』と言う。
リリトモは大の猫好きなのだ。
今は一人暮らしなので飼えないのだが、実家では代々かなりの数の猫を飼ってきた。
一番多かったときは、親猫が子供をどんどん産み11匹を一度に飼っていたことがある。

そんなリリトモも犬が嫌いと言うわけでは無く、友人の家に行けば一緒に遊んだりじゃれ合ったりする。
だが、どうしても苦手な犬が居る。
それは、飛びついてきたり、吠えたりするタイプの犬だ。
犬派の人から言わせると、嬉しくて飛びついたり吠えたりするらしいのだが
どうにもこうにも慣れることができず、一人だけビクついてしまう。
それは、おそらくリリトモの小学生時代のトラウマにある。

リリトモが小学校5年か6年の高学年のときのこと。
ある日の夕方、家では母親がカレーを作っていた。
母親もリリトモ同様、少しヌケてる部分があるのだが、
カレーを作ると言うのに、カレー粉を買い忘れていた。
うすうす予想はできるが母親は『リリトモ、カレー粉買ってきて!』と言った。
リリトモの実家の隣は、商店だったので何か足りなくなると必ず子供たちが買いに行かされた。
面倒だが、カレーをただの煮物にするのも惜しいので、仕方なし。
リリトモは、隣の商店に買出しに出た。

無事カレー粉をゲットし、家に戻ろうとしたときである。
な、なんと家の前の道路に野良犬が陣取っている。
しかも、戦闘態勢で歯を剥き出し吠えまくっているのだ。
さてどうしよう…。
野良犬のほうに向かえば間違いなく飛びかかられ、
小学生野犬に噛まれる!などと明日の新聞に出てしまう。
かといって、野良犬を追い払う手段もなし…。
しばし考え、そうだ廻り道だ!ということで遠回りすることにした。(下の図)
犬1

だが犬もバカじゃなかった。
廻り道をするとどこへ出てくるのか知っていたのだ。
犬は、リリトモを待ち構え、また戦闘態勢だ。(下の図)
犬2

ああ、もうだめだ…。
これじゃ、また戻ったとしても先回りされる。
もう駄目なのか…カレー粉を持ったままやられてしまうのか。
…そうだ!仕方ない、垣根を越えよう!
小学校高学年にもなって垣根をよじ登るなんて、近所の人が見たらどう思うだろう。
恥ずかしい…でも犬は怖い。
リリトモは、自分の背の倍はある垣根によじ登り、自分の家の敷地に入ることにした。
カレー粉を持ったまま…。
切ない、切な過ぎる…。

そんな死闘を超え、自宅に戻ったときには、頭から体中葉っぱだらけだった。
無事カレーも食べれたが、なんだかしょっぱかったよ…それは涙?

とういうわけで、吠える犬がいまだに苦手なのである。

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