戸口に露の降りるまで

戸口に露の降りるまで

「花調べの巻」

花見
ゆきずりに 口ずさむ歌 花調べ  ( 彩子 )

     ベッド抜け出し 潤むペガサス  ( 自休 )

     スケジュール 溢れ木の葉の 散り敷きて  ( 織姫 )

     てるてる坊主 八面六臂  ( 翔子 )

     ピリオドを 迷うことなく 寒の月  ( 蓬 )




     幾何学模様 描く琴の音  ( 萌野 )


     ネロのごと 振る舞う君に 猫の顔  (friendly)

     オーデコロンは カモフラージュ  (戸々露)

     ジュ・トゥ・ヴと ささやきみつめる 万華鏡  ( 青鷲 )

     狂気にも似た 恋紅蓮花(ぐれんばな)  ( 彩子 )

     内蔵の 防御装置が 僕の敵  ( 織姫 )

     きらきら星の 連弾演奏  ( 蓬 )

     うす衣 抜け殻と化し 月残る  (戸々露)

     盧遮那仏おはす 春日奥山  ( 翔子 )

新春の青空


     マーラーの 大地の歌を 愛(かな)しべて  ( 萌野 )

     手を見て告ぐる その思いを  ( 青鷲 )

     おくびにも 妻だと言わず 花の宵  (friendly)



     色を抑えど 香たつ霞  ( 櫻香 )


     水色の 殺意で包む 別れ霜  ( 翔子 )

     モンテカルロに 客死の佳人  ( 彩子 )

     「んだんだ」と 頷き返し 洟啜る  ( 蓬 )

     縷々降り積もる 白銀の精  ( 青鷲 )

     韋 駄 天 の お 正 も 両 性 具 有  ( 自休 )

     運と嘘こそ 愛のテクニクス  (戸々露)

     忍冬千切る香満ちて恋一夜   (彩子)


スイカズラ


     余裕とみせて嫉妬の蛍   (friendly)

     留守電をおもむろに聞き銭湯へ   (萌野)

      平身低頭早や風の立つ    (蓬)

     強がりの机上に月の煌々と    (翔子)

月

      疾く訪れぬ野分の香     (青鷲)

    両極の迫間に居ては答えなし  (櫻香)

     尻に帆かけて逃げるひょっとこ   (戸々露)

     ことさらにマニキュアの色紅くして   (friendly)

     テーブル回し探る好物     (Sepia Moon)


     突き通す老妓の意地か祇園花   (萌野)

     流し雛みる君に口づけ    (櫻香)     <挙句>






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