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五十代 0
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警察官採用試験に落ちた後は待っていたかの様にJ課長とH君から自動車ディーラーへの就職の誘いが来た。「セールスマン」と「人前に立つ」仕事には就きたくなかったが「袖すりあうも他生の縁」と言う境地で就職を決めた。
2012.11.15
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農家の跡取りで県外へ就職する事を許されなかった私は転勤のある大手企業は受ける事すらしなかった。運命のレールは既に敷かれていたのかも知れなかった。
2012.11.14
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ある日、スヌーピーが「クルマのエンジンを掛けたままだとガソリンをどの位消費するの?」と尋ねてきた事があった。なんでも件の意地悪社員がエンジンを止めわすれてアイドリングのままで半日くらい放置してしまったらしいのだがその時「どんなクルマに乗っているのか?」訊いたら「黄色いジェミニ」と言われて男にしては珍しいと感じたが損保会社の社員なので事故に遭わないように一番目立つ注意色にしてるのかとも思った。
2012.11.13
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スヌーピーとの会話の中で意地悪な男性社員の話が時々出てくるようになった。青森県出身で一橋大学卒の先輩社員の話だった。
2012.11.12
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既に社会人だったスヌーピーからは会社の話題も出てくるようになった。会社の社員旅行で男性社員に寝起きの顔を見られたようなエピソードも出てきた。未だ私は見たことが無かった。
2012.10.26
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ある時、女友達と「ある愛の詩」を一緒に観て来たヌーピーが「友達があんな映画観て泣くんだから嫌になっちゃう」と言った事があった。この時、スヌーピーの大人びて冷めた一面を見た気がしたが確かに今になって考えてみると「恋人の病死映画」は安直で子供騙しの感がある。
2012.10.25
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この頃から映画好きだった私はスヌーピーと一緒に映画を観に行くこともあった。「映画って2本立てじゃ無くて1本なら時間が無駄にならないのに・・・」と言うスヌーピーに対して「どうして?同じ料金なら2本の方が得じゃない?」と社会人と学生では時間の感覚にズレがあることを感じた。
2012.10.24
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その頃の私の興味はクルマが一番だったが損保会社に就職したスヌーピーとの会話もクルマの話題が多くなった。
2012.10.22
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スヌーピーは就職が決まってから地元の教習所で免許を取得した。私も何度か運転のアドバイスをしたりクルマの話で盛り上がった。
2012.10.19
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スヌーピーが就職したのはDと言う損害保険会社だった。その頃の私には損害保険会社と言うのがどんなに恵まれている就職先だったのか知る由も無かった。
2012.10.18
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スヌーピーは短大生だったので私が二年目の一年生をやっていた時は既に就職活動をしていた。学生の私とは違って大人の階段を登り始めていた。
2012.10.17
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中学校の同窓会が終わって帰る時に駐車場でスプリンターに乗ったTさんとT2さんに会った。Tさんは調子良く二三回空ぶかしをした後ステアリングを目一杯右に切ってバックしたので左側のフェンダーを思い切り電柱にぶつけてしまった。助手席に乗っていたT2さんが一番ビックリしていた。
2012.10.15
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中学校の同窓会でバスケット部のキャプテンだったY君と数年振りに再会した。Y君は高校を中退して東京で寿司職人の修行をしていたらしい。泥酔したY君はその晩、私の家に一泊した。
2012.10.14
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中学校の同窓会の冒頭で同級生同士の婚約の紹介があった。紹介されたのは「銀行員のN」さんとS君だった。どうやらNさんも二股交際をしていたらしい。Nさんと私は目と目で決別の挨拶を交わした。
2012.10.13
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何故だか記憶にないが中学校の同窓会に出席した事があった。東京の大学へ行った同級生組は東京での生活の話で盛り上がっていて何だか私は「井の中の蛙」になってしまった様な気分になった。
2012.10.12
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警察官採用試験に落ちた理由は他にも「農家の長男だったから」「痔主だったから」「コンタクトレンズ使用を申告しなかったから」と諸説あったが私が思うに「身上調査」は必ず最寄りの駐在所で行うだろうから中学の時からO駐在のブラックリストに載っているであろう私が採用される筈も無いのであった。
2012.10.11
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警察官採用試験に落ちた事を聞いた母親の伯父が「俺が共産党員だから東郷は警官にはなれない」と言っていたそうだ。本当は全く関係無いのだろうけど母親が妙に納得していたのでそう言って弁明して貰えたのは、とても嬉しかった。
2012.10.10
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警察官採用試験に落ちた事を聞いた叔母の義父の言葉は「知り合いに頼んでおいたのだけど申し訳なかった」と言うものだった。しかし、この頃の私はコネで採用して貰うという事に嫌悪感があったので一生「コネ」を背負って務め続けるのよりも良かった様な気がして清々していた。
2012.10.09
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警察官採用試験の結果の連絡があった。予感は的中して「不採用」だった。この時、私は何故か少しホッとした。
2012.10.08
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警察官採用二次試験の時に会った同級生のK君の自宅は中学の時に私をバイクの無免許運転で捕まえたO駐在の向かい隣だったがK君のお袋さんが駐在所に出入りしているのを何度か見かけた。大分、親しい様だった。
2012.10.07
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「レセプションパーティ」の後はそのままホテルに一泊したが私はH君と同じ部屋だった。夜中にH君の「凄いね~、凄いね~」と言う寝言が聞こえて来た。
2012.10.06
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工場見学の夜に「レセプションパーティ」があって全国のディーラーから見学に来た学生達が一堂に集まった。一緒に見学に行った農大のY君と私と同じ大学のT君がカラオケ大会で歌っていたのを見て私には絶対に出来ない事だと思った。
2012.10.05
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見学中の講習で「ブルーバード」の設計担当者がテスト走行では「フェアレディZ」と「スカイライン」を一緒に走らせて研究すると言っていた。「トヨタの駄目車では比較にならないから」と言った一言が受けていた。
2012.10.04
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「工場見学」は自動車ディーラーのメイン車種を作っている工場を見学した。工場を見学中にH君がコースを外れてラインの方へ行ってしまい注意された時は、如何にもH君らしいと思った。
2012.10.03
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この時、J課長が「入社するしないは兎も角、今度工場見学があるので参加して欲しい」と言うのでH君との付き合いもあったので参加する事にした。
2012.10.02
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「警察官採用二次試験」の日の夜に自動車販売会社の採用担当のJ課長から電話が来た。昼間、入社試験を受けに行かなかったので電話をくれたらしいが電話に出た祖父が「ネクタイをして出掛けて行った」と言ったので心配したらしい。この時、J課長に「警察官採用試験」を受けに行った事を告げたがJ課長は「入社試験は受けなくても役員面接してあるので入社して欲しい」と言う様な事を言った。
2012.10.01
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二次試験の時に会った同級生のK君とは同じ地区で小学生の時から中学まで同じ学校だったがクラスも一緒になった記憶もなく覚えているのは小学生の時に石の文鎮で頭を殴ったり拳骨でこめかみを挟んだりして体罰を加える鬼教師がいたのだがなんでもその鬼教師がK君の叔父さんでK君にだけは体罰を与えなかったのを記憶している。
2012.09.30
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二次試験の身体検査の時に中学の時の同級生のK君が居た。K君の自宅は通りを挟んだO駐在の隣だった。
2012.09.29
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二次試験のもう一つは身体検査だった。群馬高専の二次試験で体力測定はした事があったが身体検査は初めてだった。パンツまで脱がされて陰部の検査と前屈させられての肛門の検査は屈辱的だった。
2012.09.28
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面接試験は群馬高専の入学試験と会社訪問の時以来だったが初めて緊張して首の筋肉が硬直するのを体験した。「最近、お祖父さんとどんな会話をしましたか?」と言う質問をされたのを記憶している。その頃は祖父とは生活時間が真逆だったので殆ど会話は無かった。
2012.09.27
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「警察官採用二次試験」と「自動車ディーラーの入社試験」は奇しくも同じ日だった。私は迷う事も無く「警察官採用二次試験」の方を受けに行った。
2012.09.26
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「警察官採用二次試験」は面接と身体検査だった。一次試験を通過した80人が篩に掛けられて40人に絞られる事を聞いた時何故か受からないような予感が過ぎった。
2012.09.25
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「警察官採用試験」の一次試験は学科試験だけだった。特に受験勉強はしなかったが「上級公務員試験」に比べれば素直な問題ばかりで大学入試程度の学力があれば十分だった。一次試験は無事通って二次試験定員の80人の中に残った。
2012.09.24
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「自動車ディーラー」は辞めて「警察官採用試験」を受ける事を話すと留年仲間のH君は何となく淋しそうだった。「Hはクルマを売ってくれ、俺はそのクルマを捕まえるから・・・」などと面白くもない冗談話をした。
2012.09.23
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叔母の義父も元警察官で私の祖父から話を聞いたらしく「俺が話をしておいてやる」と警察署の警察官と同じような事を言っていた。「俺が・・・俺が・・・」と言うのは警察官の性なのかも知れないがやはりあまりいい気分では無かった。
2012.09.22
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「警察官採用試験」を受ける事を知った姉が電話を掛けて来て丁度その頃始まったTVの「新米警察官ドラマ」の話を重ねて盛り上がった。工学部なんだから「鑑識課」なんかもいいのじゃないかと言うアドバイスも貰った。
2012.09.21
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「警察官採用試験」を受ける事を家族に話すと反対する意見は無かったが祖父の「昔は素行の良くない息子が居ると警官や自衛官にしたんだ」と言う言葉が記憶に残った。「警察や軍隊」は「はみ出し者」の精神訓練と言う印象があったらしい。
2012.09.20
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最寄りの警察署に「警察官採用試験」の資料を貰いに行ったところ「高卒コース」と「大卒コース」の二種類あることを知った。窓口で資料を貰っていると近くに居た警察官が声を掛けて来て二階の事務所に案内されて暫く話をした。初対面のその警察官が頻りに「俺が推薦しておいてやる」と言うのが意外で嫌な感じがした。
2012.09.19
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どうすれば「白バイ警官」になれるのか分からなかったが取り敢えず「警察官採用試験」の資料を集める為に最寄りの警察署を訪ねた。
2012.09.18
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これといってやりたい仕事も無く悶々としていた頃ベッドで横になって考えていたら突然「白バイ警官」が頭に浮かんで来た。その頃、TVで観ていた「白バイ野郎ジョン&パンチ」というドラマの人間模様や仕事ぶりが私の理想に思えた。
2012.09.17
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この時だったか忘れたが採用担当のJ課長に大学のOBのNさんを紹介された。「この会社は大きすぎず小さすぎず自分が何かをやろうとするにはちょうどいい」という言葉が印象的に残った。
2012.09.16
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その時の採用担当はJと言う課長だった。役員との面接と一通り会社の説明が終わった時に何か質問があるかと聞かれたのでJ課長の手取りはいくら位か訊いたら少し躊躇いながら「20万円位」と答えた。
2012.09.15
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二人の役員の一人はF専務もう一人はT常務だった。何故かF専務とはバイクの話で盛り上がった。
2012.09.14
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就活が始まるとH君と二人で「自動車ディーラー」へ会社訪問に行った。某自動車販売会社の本社を訪問すると応接室に通され二人の役員が出てきて面接が始まってしまった。
2012.09.13
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「自動車ディーラー」の就職試験を受ける旨を教授に伝えると意外そうな顔をしたが推薦状は書いてもらった。当時、工学部から「自動車販売会社」へ就職する学生は少なかった。
2012.09.12
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公務員試験は2箇所受けたが試験用の勉強も準備もしなかったから掠る筈も無かった。同じく県内就職希望のH君と二人で求人票を見ていたら「自動車ディーラー」の求人が目にとまった。二人とも当時はクルマが一番の趣味だったので受けてみようということになったが私は「セールスマン」と「人前に立つ仕事」は嫌だった。
2012.09.11
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親のコネで役場に入らないかと言う話もあった。当時、私は「役場の公務員」というのは安月給なので退屈な仕事を怠慢にこなしていると言う認識でいたので断ったが今考えるとそれが「天国」だったのかも知れない。その年の採用試験では「沖縄出身」の受験者が一番いい成績だったが採用は「コネのある人」を採用したと聞いた。当時から公務員は「コネ採用」が横行していたようだ。
2012.09.10
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H君と次に受けたのは「県の専門職」だった。「一般事務職」なんかよりも面白いだろうと思ったが採用は2名のみで倍率は100倍位だった。やはり試験は「群馬交響楽団について述べよ」とか「Iターンについて述べよ」とか言った工学部の大学生には興味の無い問題が出た。
2012.09.09
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H君に誘われて最初に受けたのは「市役所の一般事務職」だった。学科試験は「大学入試」よりも簡単なものだったが「一般問題」は公務員試験を専門に勉強しないと普通の大学生には答えられないような問題が出てきた。
2012.09.08
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卒業研究と同時に四年になると就活も始まった。当時、私は特にやりたい事も無かったが漠然と「セールスマン」と「人前に立つ仕事」には成りたくなかったのでH君が受ける市役所の試験を一緒に受けたりしていた。
2012.09.07
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