さすらいの天才不良文学中年

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コンプライアンスとガバナンス

コンプライアンスとガバナンス

 三菱東京UFJ銀行が厳しい行政処分を受ける方向性になったと報道されている。


愛犬


 最近このようなことがあると、逃げ込むところは、全てコンプライアンスとガバナンスである。でも、皆、何か勘違いしていないか?

 「いやはや、最近はコンプライアンスが厳しくなって」とか。

 しかし、コンプライアンスって、たかだか、ルールを守ることだ。厳密にその意味を知りたいなら、ただの「法令順守」である。

 これって、当たり前じゃん。ルールや法律を守るのは、世の中のイロハである。

 忘れてならないのは、何をするかだ。一番問題なのは、コンプライアンスを守り、その上でどういう仕事をするかである。コンプライアンスを守ることが仕事だと思っている馬鹿は、死ぬしかない。

 「こういう時代だから、コンプライアンスを守りましょう」と云って、コンプライアンスを守ること自体が仕事だと思っている。違うでしょう。法令を守って、本当に必要な仕事をすることでしょう。

 云われたことだけするのは、阿呆である。

 次にコーポレート・ガバナンス。

 直訳すれば、企業統治である。これも阿呆である。意味が分からない。

 コーポレート・ガバナンスとは、「企業は誰のものか=誰が統治するのか」ということである。

 当たり前だが、企業は社長のものではない。しかし、そう思っている社長の何と多いことよ。

 早い話しが、社長が私利私欲で経営してはいけないということである。社長が勝手に企業を自分のものだと思わないことである。ワンマン社長など、もっての外である。

 それがガバナンスなのである。そのために、外部機関が監視したり、チェック機能を働かせようとするのである。

 しかし、カタカナでしか物事を説明出来ない今の日本は、最早、末期的ではないか。


会社は客より金儲け

 やや旧聞に属するが、米投資銀行のゴールドマン・サックス幹部が退職を前に、「会社は客より金儲けを優先している」と批判している手記をNYタイムズに寄稿(12年3月14日付)して物議をかもした。


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 だけど、この記事を書いたグレッグ・スミス氏(デリバティブ欧州・中東・アフリカ責任者。同社に12年間在籍)は偉いなぁ。

 おいらはその世界に一時期、足を突っ込んでいたことがあるので、ゴールドマン・サックスの優秀さを知らないわけではない。

 日本の金融機関と比較すると、月とスッポンで(無論、米投資銀行が月である)、旧態依然の日本の銀行が沈みゆく巨艦に思えたものである。

 だが、10年以上前から米投資銀行の尺度は、このスミス氏の云うとおり、客より金儲けになっていたと云われても仕方がないだろうねぇ。そういう手合いが大手を振って歩いていたもの。

 今から考えてみれば、そんなことやってりゃ、リーマンショックは必然だったに違いない。

 このスミス氏の手記によれば、

「143年のゴールドマンの歴史で培われた『顧客にとって正しいことをする』社風が変質したと批判。顧客を『操り人形』と呼ぶ社員もいるとし、『会議では顧客を手助けする時間は一切使わず、最大限稼ぐことだけを話し合う』」

 としている。

 同社のHPでは、ロイド・ブランクファインCEOとゲーリー・コーン社長とが連名で顧客重視の姿勢を強調し反論しているが、おいらのみならずどちらが正しいかは一目瞭然である。

 客を客とも思わない資本主義は、滅ぶしかないのだろう。




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