FREEDOM

FREEDOM

自作小説2


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「とりあえず、詳しい事を聞くのは後だ。
体冷えてるのだろ?そこに風呂場がある。
そこでシャワーを浴びるといい。」
部屋に入った俺はすぐ私服の中でも、
小さい分類に入る服を取り、そう告げた。
「え?私・・・お風呂苦手なんですけど・・・」
一方で、その子は玄関に、服から水を滴らせ状態で立っていた。
「そんな事を、言っている状態ではない事くらい自覚できないのか君は?」
「そんなことを言われても・・・」
俺が、少し強めに言うと、頭についている耳を少し伏せて、
怯えたように答えてきた。
『一体あの耳はどういう仕掛けなのだろうか?』
などと思いつつ、
「とりあえず服を着替えないことには、上がれないだろう。
風呂が嫌なら入らないでいいから、服だけは着替えて洗濯機に入れろ。」
そういうと、今まで少し伏せていた耳をピンっとあげて、
「じゃ~入らなくてもいいんですねぇ~。わかりましたぁ~。」
などといい、服を俺の手から取って風呂場に向かった。
5分くらいして、その子は俺が渡した服を着て出てきた。
相変わらずなぜか耳と尻尾を取らずにぬれたまま拭く事すらしていない。
「その尻尾と耳濡れているんだろ?拭くか、はずした方がいいぞ。」
そう指摘すると、その子はなぜか少し困ったあと、
「これ、もともと生えてるので、取れないんですぅ~。
すぐ乾くのでそれまで待ってもらえませんか?」
などと言ってきた。
「はぁ~。」
俺は呆れた。
耳と尻尾が生えた人間だのアニメや漫画などの話ならわかるが、
実際にいるはずがないからだ。
「そんなわけないだろ。」
そういってタオルを片手にその子に俺は近づき、
「うわ!いや、ちょっと、にゃぁ~ん。」
いきなり耳と尻尾を拭いた。
最初は、抵抗してジタバタしていたが、
耳を拭き終わる頃にはおとなしくなって、
その場にしゃがみこんでしまった。
タオル越しに触ったところ確かにこの耳は作りもではなさそうだった。
「よし。終わったぞ。大丈夫か?」
俺が拭き終わり、そっとしたからその子の顔をのぞくと、
真っ赤にしたまま、目には少し涙をためていた。
俺はびっくりした、確かに軽く耳をひっぱたが、
そんなに強くはしていない。
「ごめん。痛かった?」
俺が聞くと、
「ううん。ただこれ触られると、私ちょっと力抜けちゃうの。」
とその子は言ってきた。
「俺は、辰。君名前は?」
「私は、マオ。」
部屋に入った俺は真っ先に名前を聞いた。
マオは素直に答えてくれた。
「どうして、あんなところで濡れてたんだ?」
俺がホットミルクを差し出しながら聞いてみた。
ちなみになぜホットミルクかというと、
拾った猫にはたいていこれをあげていたからだ。
「私ね。実は軍の研究所で、試作に作られたの。
兄弟たちは、うまくできたみたいで、
いろいろなお金持ちの人々の所へ行ったの。
でも、私は欠陥だったらしくて・・・捨てられたの。」
『なるほど、それでか。』
俺はふと今の話を聞いていて疑問が浮かんだ。
「あれ?でも確か日本には軍隊はないはずだが?」
「そうなの?私でも船で運ばれてきて、いきなり捨てられたから。」
そういって、マオは微笑した。
つまり、彼女はほかの国で作られたもので、
日本に捨てられたらしい、しかもご丁寧に日本語まで教えて。
「なるほど。ところでこれからどうするのかね?」
俺が聞いてみると、少し困った顔をした後に、
「よかったら飼ってくれない?」
と少し首を横に傾けて聞いてきた。
俺は、呆れた。
「マオ。ネコならともかく、君は人間ではないかな?
それを飼うということは、法律上無理ではないかね?」
俺が、そう告げるとマオはネコ耳を少し伏せて、
ホットミルクを少し飲み、
ふと、何かを閃いたのか再び耳を立てて、
「あ!でも私半分はネコですし・・・・だめですか?」
なとど言って来た。
「まぁ~俺はいいけど、ところでお前何でメイド服なんか着てたんだ?」
「それは、研究所で、私の仕事服でしたから!」
俺の聞いたとこに、ニコニコ顔で、答えてきた。
『結構かわいいかも。』
俺は内心思いながら、
「じゃ~メイドの仕事はできるのか?」
俺は、もし仕事ができるのなら、飼うのはさすがにまずいが、
使用人として雇ったということにできると思った。
「はい!それはばっちりですぅ~。掃除、洗濯、料理まで、
あと私はあまり得意ではないのですが・・・・一応夜のお相手も。」
俺は思わず吹き出した。
「掃除から料理まではいいとして、その夜のお相手は余計だ。
忘れろ。それと、飼うのはさすがにまずい、
よって、使用人として雇うことでいいか?
給料の換わりにここ住んでいい。あと食事も与えるこれでいいか?」
それなりの事を俺はマオに告げた。
マオは少しの間ポカ~ンっとしていたが、
「え~っと、もしかして夜のお相手って必要ないことですかぁ~?」
「そういう事は、そういう趣味の人に言いたまえ!
さてこの条件では不満かね?何なら俺のおこずかいから500円だけ
給料を払ってもいいぞ。」
それは、マオの質問に即答し、再び質問をした。
「あ!はい!つまりここに居ていいんですよね?
しかも、500円ももらえるんですよね?もちろんそれでいいですよぉ~!」
やっとこちらの質問の意味に理解したのか、
マオは目を輝かせながら、尻尾まで振って答えてきた。
「うむ。まぁ~仕事はしっかりしてもらうけどね。
とりあえず、親は海外に行ってるから、大丈夫だと思うし。」
「わかりましたぁ~。よろしくお願いしますね。ご主人様。」
俺が言ったことに対して、マオの反応はかなり速かった。
「ご主人様じゃ変だろ?俺の事は、辰でいいよ。
俺もマオって呼ぶから、よろしくな。」
俺がそういうと、マオは、
「わかりました。よろしくお願いしますね。辰様。」
などと尻尾を思いっきり振って笑顔で答えてきた。
この行動に俺はついに誘惑に負け、
『こいつ本当にネコみたいだな。』
などと内心思いつつ、
マオの頭を撫でた。
「うにゃ~。」
ネコの驚くような声を上げたマオは、
一瞬身を硬くしたが、
よほどいいのかすぐに笑顔になって、
「にゃお~ん。」
と甘えるように、こちらのあいている手にすりついてきた。
「マオ、お前本当ネコみたいだな。」
俺が言うと、マオは照れたのか少し、身を引いて、
それでも俺の手が届く範囲で、
「私、一応ネコなんで。」
などと弁解している。
俺は、マオの頭から手を離した。
マオは名残惜しそうにその手を見ていた。
まるで、
『目の前にネコじゃらしを出された子猫のようだ。』
と俺は思った。
「さて、早速仕事だよ。悪いけど夕飯を作ってくれないか?」
俺は、俺の手を見ていたマオに最初の仕事を頼んだ。
「・・・・・・あ!はい!洗濯ですね。今すぐしてきます。」
マオは俺が言った仕事に気がついて立ち上がった。
しかし、
「あれ?洗濯でいいんですよね?」
立った状態で、上半身だけで軽くこちらに振り向いて聞いてきた。
「違う!頼んだのは料理だ!」
俺は、マオが捨てられた理由がわかったような気がした。
出来上がった料理は、チャーハンだった。
「何でチャーハン?てかお前これしかできないとか?」
出来上がったチャーハンを見て、俺は聞いた。
「はい!でもできるだけいいでしょ?」
マオの答えに俺は内心、
『確かに、これならば捨てられるわけだな。』
と確信をしていた。
俺はとりあえず食べてみた。
味は最高だった。
「どうですか?」
マオは、こちらの食べる様子を見て不安そうに聞いてくる。
耳は少し伏せられている、
まるでしかられて怯えている子猫のように。
「うむ。おいしいから安心していいよ。」
俺がそう告げると、
「よかったぁ~!」
と声を上げ、耳はピンっと立ち、本当に嬉しそうな顔をした。
『こいつ、本当わかりやすいな』
苦笑しつつ、俺は内心思う。
その後、
なるときになってマオはいきなり俺の布団に入ってきた。
「確かに、俺は寝るところも用意するとは言った。
でも何で俺のところに入ってくるんだ?」
俺は、今横に少し丸まっているマオに言った。
「だって、ここの方が暖かいし、それに少しお話したかったから。」
などと甘えるようにこちらを見てきた。
「まぁ~いいか。さて、何を話たいのかね?」
俺が、聞くと、マオは、
「私ね、辰がどんなことをしたいのか知りたいの?」
などと簡単に尚且つ、誤解の生みそうなことを言ってきた。
「それは、今したいことかね?それなら寝たいのだが、
それとも俺の将来のことかね?」
聞くと、マオは、
「将来のことが聞きたいなぁ~。」
などとこちらに答えてきた。
「俺は、人に役に立つアンドロイドを作りたいと思ってる。
今のロボットはほとんどが人間ではできないところの作業や、
簡単なコミュニケーションしか取れない。
それでは、ただの道具でしかない。俺は共存のできる世界を目指しているんだ。
たとえば、アンドロイド用に作られた人工器官を、
人の人口器官としてつかったりね。」
俺が一通り話し終わり、ふと横を見ると、
本当に気持ちよさそうに寝ているマオが居た。
俺は軽く微笑し、
「おやすみ。」
そういうと寝た。
そんな関係で、月日は、6年経った。
俺は工業大学に進み、今は大学の博士として、
世界の技術者と共に、
アンドロイドの同共同開発の仕事と教授の仕事をしている。
もちろん、家にはまだマオは居る。
相変わらず、大きなボケをしてくれるが、
それでも拾ったときよりは、よくなっていた。
今、俺は電車に乗り、家への帰路についている。
そうそう、あの時と大きく変わった事がひとつあった。
本人には恥ずかしくて言ってはないが、
マオはいつの間にか俺の中で最愛のお姫様になっていた。
電車を降り、駅から徒歩20分。
今住んでいる家は、前の家に比べると大分狭いが、
それなりにいい生活はできている。
家の前の表札には、
「相模 辰
    マオ」
となっている。
そして、玄関を開けた先には、
「お帰りなさい。お疲れ様。」
「ただいま。いい子にしてたか?」
そういうと俺はマオの頭を撫でてあげた。
「うにゃ~ん。もう、私いつまでも子供じゃありませんよ。」
そういうマオの顔はまぶしいくらいかわいかった。
そう、俺は今最愛の姫君マオと共に幸せに暮らしている。
「そうか。今日の料理は、チャーハンか?」
俺は、中に入り、テーブルの上においてある料理を見て、聞いた。
「はい。今日は、特別な日ですから。」
マオは嬉しさ半分恥ずかしさ半分といった顔で、答えた。
そう今日は、俺たちが知り合って丁度6年目であった。
こうして俺たちは、あの出会いから変わらない生活をしている。
いや、変わろうとしている。来年には、きっと家族が増えるだろう。
今マオのお腹の中には俺たちの子供が入った居る。
まぁ~そこに、ひとつ不安が残るのだが・・・
「なぁ~。」
俺が席に着きながらマオに聞いてみた。
「何?」
同じくエプロンをはずして、相変わらずのメイド服を着たマオは、
俺の向かいの席に座った。
「その子がネコって事はないよな?」
俺は微笑みながら聞いてみた。
「う~ん?大丈夫よ。辰に似てるといいなぁ~。」
マオはお腹をなでながら微笑んでる。
まぁ~真実は来年まで待つとしよう。
FIN
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あとがき。
とりあえず、初めて書いた姫君マオは完結です。
よければ今後の参考にしたいので掲示板に感想等よろしくお願いします。

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