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先日、ある経営者に対してSATカウンセリング、コーチングの個人セッションを行いました。今月末の資金繰りに非常に悩んでいる、というテーマでした。
こういうセッションのとき、私はまずはその方のどういう行動パターンが、この状況を作り出しているのか、ということを明確にするようにいろいろ質問し、お話を整理しながら聴いていく、という進め方をします。
すべての人には行動パターンがありますが、行動パターンは無意識になされていることが多いので、私も含め、自分では気付いていない場合がほとんどです。
この経営者の場合、いろいろお話を聴いていくと、昨年末あたりから「このままいったら、資金繰りがまずくなるのではないか」というかすかな予兆を感じながら、会社経営を続けていたことがわかりました。
で、どういう行動をとっていたかというと、ある人には不思議に思うかもしれませんが、わかっていながら「対処行動をとることから逃げる」という行動パターンをとっていたのです。
経営者ですから仕事そのものをしないとか、そういうことではありません(そういう逃げ方だったらわかりやすいですよね)。もうすこし詳しく言うとこの方の場合、次々と新しい仕事で自分を忙しくさせて、現状を見ないようにする、という行動パターンをとりつづけていたわけです。
自分では仕事は一生懸命やっていますから、だからこそ「逃げている自覚」がないのです。自分の行動パターンとは、誰にとってもこのように自覚が難しいものですよね。
そして「ま、なんとかなるだろう」という行動のつみかさねが、いよいよのっぴきならない今月末の資金繰りのどんづまりを生んだのです。
私はこのような場合、この行動パターンを生んだ感情のパターンを明確にするというやりかたをします。
行動は感情が生み出しているからです。
それが望ましい行動であっても、望ましくない行動であっても、それを動かしているのは感情だからです。
そして、特に「頭でわかっているのに、できない」ということが問題を生み出し、この行動を生み出している背後には、その方がまだ自覚していない感情があって、このことが本人の悩みとなります。
この経営者にも同じことが言えます。
「わかっているのに、資金繰りの対処行動をしっかりとるこを避ける」という背後には、どんな感情があり、それはどこから来ているのか。このことを明確にし、無自覚な問題感情を癒す、というワークをしました。
「資金繰りの対処行動をしっかりとるこを避ける」という背後には、強い「孤独感」「無力感」「パニック」などの感情がありました。心の中では「助けて!!」と叫んでいるのです。
そしてこの感情は、いつも「見通しのないことに立ち向かわなければならない状況」になると、この方の中に自動的によみがえる感情として、パターン化されていたのです。その結果、思い通りの行動を取れなくさせているのです。
これはどこから来たのでしょうか。この経営者が心の中で叫ぶ「助けて!」を繰り返し、共感的につぶやくと、彼の心に、ふっとある情景がひらめきました。
小学校1,2年生のとき、みんなで雪遊びをしていたことがありました。この方は北国出身の方で、幼少時にみんなで屋根の上から、積もった雪の中に飛び降りる遊びをしていたのです。
そして彼が一番最後に飛び降りたとき、彼だけが突然「ズボッ」と雪の深みにはまって動けなくなってしまったのです。
ものすごい恐怖体験だったそうです。
皆は先に行ってしまって、一人動けなくなり「助けて!!」と声に出すこともできず、一人でパニックになって、死の恐怖を味わったイメージがよみがえりました。心の中では、「助けて!!」 と悲鳴をあげ続けていたのです。
一定のイメージワークにより、助けてもらえた、というイメージに作り変え、このイメージを癒して感情の変換をしたのですが、この経営者の方が言うのは、「不思議なことに、だれにも助けてもらえない死にそうな状況にもかかわらず、だれかが助けてくれるんじゃないかと思って、自分で脱出しようとしていない。あきらめている」自分に気付いたのです。
イメージ変換のワークを終えたとき、今の状況を改めて眺めていただきました。すると、同じように「資金繰りで困っている状況にハマっているにもかかわらず、自分にはできないこわい!無理だ!助けて!、という、子供のころと同じような感情に縛られ、自分からは身動きがとれない、動けない」という、自分になっていたということに気付かれたのです。
この一定の感情パターン行動パターンのことを「脚本」といいますが、この経営者は、こういう脚本を持っているから、資金繰りに困る状況を自ら作り出したのです。
このパターンを作り出していた、過去からのフラッシュバックしていた感情を癒したのです。
最後にこの方はこういわれました。
「いやあ、不思議なものですね。なぜ、こうなっているのかよくわかりました。気持ちがとても軽く明るくなりました。身近なスタッフに相談すればいいんだと思いましたよ。考えてみると、そのスタッフにありのままを相談することは今までも思っていましたけど、どこか、恥かしさやこわさ、を感じてできませんでした。今は、人を信じられるので相談できます」
と言われました。
たぶん、これで問題解決に向けて、この経営者は前向きに力強くすすんでいくことでしょう。
自分が好きなことやライフワークをしようとするとき、一定の状況になると自分を縛って動けなくなることがあるかもしれません。いや、あるでしょう。
しかし、それは私を含め、すべての方が今までの自分のパターンを超えて、新しい自分として自分らしく生き、働くきっかけを与えてくれる「ギフト」なのだと思います。