2006年09月21日
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 自分が人を殺し追われているのは解っていた。
下水処理場か浄水場かは判然としなかったが2m程のネットフェンスを
転げ落ちるように越え、葦の原に身を隠した。
フェンスの向こうで松明を手にした屈強な男達が数人固まっている。
そんなに遠くへ行ける筈がないと言う声を聞くと、いてもたってもいられず這うように逃げる。

顎を上げながら走り続けると松林の先に分かれ道がある。
すっかり暗くなり始め、後ろを振り返ると私を探す男達の松明が見える。
分かれ道には野球帽をかぶった小学生がいた。

橋に続く道はどちらだと尋ねると右の道だという。

人が信じられないから、あの男を殺したんだろう。
ここは俺を信じるがいいさ。
まるで何もかも知った爺のようだと思ったが、それらしくも思えたので右の道を行く。

ほんの少し行くと前方に私を探す人間達の声が聞こえる。
すっかりあせってしまって林の木立に分け入り、ひたすら逃げる。
と、前方に屋台があり25、6のいい女が屋台の親父を相手に一人飲んでいる。

そんなにあせらなくても良いじゃない、少し飲んでいけば。
色の白い、眼の大きな可愛い女で肩までの髪が少しカールしている。
何を飲んでいるんだいと聞くと、おいしいお酒よと答える。
隣で飲んでもいいかと聞くとよい男だから歓迎よと言う。


何かつまみは有るかと親父に聞くと、へい、この女性にもお出しした珍味があるという。

中を除くと山椒魚の胴体が長いような、鰻に手足があるような黒い物が何匹もとぐろを巻いていた。
触って弾力があるのが美味しいのよと女が言う。
とても嫌だったが壺に手を入れ、触ってみると
女の長い洗い髪のような、何ともいえぬ感触がした。





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最終更新日  2006年09月22日 00時50分38秒
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