クラシック音楽は素敵だ!!

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ベートーヴェン:交響曲全集

<私家版・ベートーヴェン交響曲全集>


Beethoven

LUDWIG VAN BEETHOVEN

(1770-1827)


もし、無人島にたった一枚だけ、「交響曲のCD」を持っていけと言われたら、私は疑いなく 「英雄」 を持っていくだろう。その理由は後述するが、 ベートーヴェン の9曲の交響曲こそ、 人類の音楽史上「不滅」の称号を冠せらるべき存在だと思う。 それぞれが非の打ち所が無いくらい素晴らしく独創的で、何度聴いても飽きることが無いのは、全ての曲に人生に対する肯定的なメッセージが溢れているからだろう。
 このコーナーでは、現時点での私なりのベスト盤を選出してみました。とは言ってもこのラインナップはここ10年ほど(ラトルは除いて)変わっていないのだが・・鑑賞の参考にしていただければ幸いです。




<交響曲第一番>



ベートーヴェン交響曲全集 Vol.1::ベートーヴェン:交響曲 第1番&第3番「英雄」

S. ラトル 指揮/ ウィーン・フィル  2002年録音  
(全集より分配)

1800年作曲。ベートーヴェンの交響曲第一番は、人気という点では後期の作品には及ばないものの、交響曲における四楽章制を揺るぎないものにした歴史的な作品だと思う。まだ ハイドン の影響から抜けきってはいないが、すでにベートーヴェンその人の強烈な個性を垣間見せる、瑞々しい交響曲だ。演奏は、現代楽器を使用しながら古楽器的な要素に十分配慮し、ダイナミックな演奏を聴かせる現代の巨匠、 ラトル で聴いてみたい。



これも良い演奏です。

カラヤンの遺産 ベートーヴェン:交響曲第1番、第8番 / カラヤン


<交響曲第二番>



ベートーヴェン:交響曲第2番・第4番

S.イッセルシュテット指揮/ ウィーン・フィル

1802年作曲。第一番よりたった二年後に作曲されたのに、規模・構想共に遥かに前作を凌駕し、すっかり「ベートーヴェンの音楽」となった第二番。あまり人気はないが、私はこのがっしりとした第二番が大好きだ。演奏は気品と構築力に溢れたイッセルシュテットの名盤でどうぞ。



カラヤンの映像もいいですね

カラヤンの遺産 ベートーヴェン:交響曲第2番、第3番「英雄」 / カラヤン


<交響曲第三番「英雄」>


Urania Eroica
W. フルトヴェングラー 指揮:ウイーン・フィル(1944年録音) 
GRAND SLAM GS2005

1804年作曲。「エロイカ」の開幕を告げるのはたった二小節の和音の強打。実はこれはエロイカのみならず、それ以降現代まで脈々と続くロマン派の誕生を告げる強打でもあるのだ。輝かしく力強い曲想、溢れるリズムに加えて、人間の悲しみ・苦しみをそのまま音に表現したような第二楽章。人間の喜怒哀楽を音楽に託すことこそが ロマン派 であり、ベートーヴェンはこの「英雄」で初めてその扉を開いた。私にとってもこの曲こそ、「無人島の一曲」たり得る名曲中の名曲なのだ。
 演奏は フルトヴェングラー 44年録音がベスト。 戦争による明日をも知れない状況がもたらす緊張感が張り詰めているが、しかしだからといって悲愴さが強調されているわけでは決してない。異常な程の濃密なロマンティシズムが全編に漂い、戦時中の録音とはとても思えないほどなのだ。この曲にふさわしいテンポ設定を、この演奏以外に求めることは難しい。どなたにでも聴いていただきたい、不滅の名演である。1944年録音盤はジャケット違いで 複数の会社から出ているので 、必ずしも写真のものでなくとも可。

戦後の録音ですが、これも名盤です

ベートーヴェン:交響曲第3番/フルトヴェングラー

ド派手な演奏がお好きな方に。 ベルリン・フィル 100周年記念演奏会、渾身の名演です。

カラヤンの遺産 ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」ベルリン・フィル創立100周年記念コンサート


<交響曲第四番>



ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調

C. クライバー 指揮: バイエルン放送交響楽団  82年録音

1806年作曲。第四番は、 シューマン が「二人の北欧神話の巨人の間にはさまれたギリシャの乙女」と表現したことからも分かるとおり、「英雄」と「運命」の間にはさまれた、わりとこじんまりとした保守性の強い曲に一見、聴こえる。だからこの曲の演奏はわりとおとなしい感じがいいというのが世の定説だった。これを木っ端微塵に打ち砕いたのが 82年のこのクライバー盤 。既成概念を打ち砕く強烈なリズム、圧倒的な速度感によって、この曲が決して「おとなしいギリシャの乙女」などではないことを立証したのだった。以来、私も四番は この録音から離れられなくなってしまった・・・


83年録音、クライバーのバトンテクニックを堪能できます!

ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 作品92 / カルロス・クライバー(指揮)/...


<交響曲第五番「運命」>


Beethoven Sym1
W.フルトヴェングラー指揮/ベルリン・フィル  (1943年録音)
TAHRA FURT1032-1033

1808年作曲。およそクラシックになんの興味もない人でも、年齢(幼児は抜かして)・性別に関係なく運命の動機の「ジャジャジャジャーン」は知っている。よく考えてみるとこれは本当に凄いことだ。この運命の動機が、人類全てに 「理解できる」音の配列 だということを証明しているのだから。 とにかく一音たりとも無駄が無い、驚嘆すべき曲だ。だから録音も星の数ほどあるが、この曲も、やはり フルトヴェングラー のこの戦時中の録音が優れている思う。この曲を単なる迫力のある交響曲と見るのか、それとも大いなる哲学的意思の存在を見るのかによってまるで演奏は変わってくるのだが、フルヴェンのはもちろん後者で、しかも戦時中ならではの緊張感が全曲を貫いている。古楽器演奏全盛の時代にこの録音を聴くと、同じ曲の演奏とはとても思えないが、それこそが再現藝術たるクラシック演奏の醍醐味といえよう。音はモノラルだが、そこから受ける感銘は深く、広い。



楽天では、こちらのフルヴェンを(1947年録音)

ベートーヴェン:交響曲第5番<運命>


決定版 赤盤復刻シリーズ 13 ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」 交響曲第8番/「エグモント」序曲
A. トスカニーニ 指揮: NBC交響楽団   1939年録音

ここでもう一枚、どうしてもこの録音を紹介しておきたい。遥か30年前、まだクラシックを聴き始めの頃、この トスカニーニ 盤を聴いて本当に驚いた。 あまりに劇的で、激しく燃えるような闘志が これでもか、これでもかとスピーカーを通して挑みかかってきたのだ。あの衝撃を忘れることは絶対に出来ない。
30年が経ち、私のベストはフルヴェン盤だが、このトスカニーニの演奏も不滅であることはいうまでもない。



現代を代表する演奏です

ベートーヴェン:交響曲第5、6番/カラヤン/BPO


<交響曲第六番「田園」>



ベートーヴェン交響曲全集 Vol.3::ベートーヴェン:交響曲 第4番&第6番「田園」
S.ラトル指揮 ウイーン・フィル (2002年録音)

1808年作曲。正直言って私はこの「田園」のベストの演奏とはどういうものなかがよく分かっていない。世評名高い ワルター 盤は確かに田園風景の描写としては素晴らしいが、私には少々のんびりし過ぎな気がする。かといってジンマンや インマゼール 古楽器 奏法 は鋭角過ぎて落ち着かない。そこでといっては失礼だが、現時点で私が推すのがラトル盤。現代的なスピード感と古典的な響への配慮が巧みに融合された、美しい演奏を聴かせてくれる。第四楽章の嵐の迫力も申し分ない。




<交響曲第七番>



【高音質SHM-CD】ベートーヴェン:交響曲第5番、第7番/クライバー/VPO
C.クライバー指揮:ウイーン・フィル (76年録音)

1812年作曲。 ワーグナー 「舞踏の神化」 と語ったその言葉を実感させてくれたのが、この クライバー の演奏だった。そもそも緩徐楽章が無く、全編がリズミカルな曲。ゆったりとした演奏はそもそもあわないのだが、クライバーのメリハリを利かせた強烈な演奏は、この曲の真価を実感させてくれた。せめてベートーヴェンの交響曲全集だけでも完成させてくれていれば、と願っていたのは、私だけではないだろう。




<交響曲第八番>



ベートーヴェン:交響曲第3番≪英雄≫・第8番

H.V. カラヤン 指揮:ベルリン・フィル (85年録音)

1812年作曲。次に控える第九の影に隠れて見過ごされがちだが、非常に明るくて分かりやすい名曲である。七番と対を成す、緩徐楽章の無い、リズミカルな曲想。七番ほどの激しさは無いものの、終始光り輝き、まぶしさを感じさせてくれる曲なのだ。これも演奏は迷うのだが、 カラヤン の最後の演奏を推しておきたい。どちらかといえばベートーヴェンの交響曲の中では小ぶりだが、堅密な作りで迫力十分。こういう曲を演奏させるとカラヤンは抜群にうまい。




同じ時期収録のDVDです

カラヤンの遺産 ベートーヴェン 交響曲第1番、第8番(期間限定)(DVD)

イッセルシュテット盤も気品があっていいです。

ベートーヴェン:交響曲第7番・第8番

<交響曲第九番「合唱」>



ベートーヴェン:交響曲第9番/フルトヴェングラー
ベートーヴェン交響曲 第9番「合唱」/フルトヴェングラー& バイロイト祝祭管弦楽団

1824年作曲。日本の年末の風物詩となっている第九について、改めて解説する必要は無いだろう。そして私のベスト盤も、あまりに有名なフルヴェンの バイロイト 盤。普通すぎてつまらない、と言われてしまうかもしれませんが、やはり現時点でこの演奏を超える物はない、というのが結論。
 全ドイツ人の希望の星、神と崇められたフルヴェンが、 非ナチ化裁判 で無罪となり、戦後6年の長い間禁止されていたバイロイトの復活を祝して指揮した曲が「第九」。舞台が整いすぎているのだ。
 自身の潔白の証明、そして ワーグナー 音楽の復活。フルヴェン自身の復活に賭けた熱き思いに、独奏者、合唱団、オケは奮い立った。壇上の人々が発する熱気に、聴衆もまた呼応し、やがて音楽は有り得ないほどの高揚感をもって終局に雪崩れ込む・・・
 これだけの舞台設定がなされての名演奏。これを超えるのは相当難しい。 このシチュエーションを超えることが、この先どこで有り得るというのだろうか。



もう一点、「楽壇の帝王」の紹介を。
 カラヤンの第九は、LP/CD/DVD併せて9種類もある。この先もまだまだ増えていくだろうが、現時点で「帝王」が残した最も迫力ある演奏はこの盤ではないか。音楽は磨き抜かれ、洗練の極致に達しつつも、それ以前の録音よりも明確な意思の力を感じさせて感動的だ。


豪華絢爛演奏の代表格

ベートーヴェン:交響曲第9番≪合唱≫
H.V.カラヤン指揮:ベルリン・フィル  (83年録音)

ほぼ同じ時期の映像です。

カラヤンの遺産 ベートーヴェン 交響曲第9番 合唱 (期間限定)(DVD)


<交響曲第十番(第一楽章のみ)>


Beethoven Sym10
W.モリス指揮:ロンドン交響楽団 (88年録音)
ファンハウス 18ED-7040

最後にちょっとキワモノを。ベートーヴェンの第十交響曲のスケッチから、バリー・クーパーという音楽博士が第一楽章のみ、約20分間の復元を試みた。その演奏がこのCD。88年に録音されてから後に続く指揮者が現れないのでこれが唯一の録音ではないか。音楽はゆっくりと、霧の中を何かを模索するように進んでいく。確かにベートーヴェンのようでもあり、そうでもないような気もする・・・どうやら、 マーラー の10番や ブルックナー の第九全曲版よりかは、評価が定まっていないようだ。




<お勧め交響曲全集>


これぞまさにドイツ魂のベートーヴェン全集!

フルトヴェングラー・ベートーヴェン交響曲全集(紙ジャケBOX)

3度目の全集、黄金期の記録!

カラヤン/ベートーヴェン:交響曲全集

こちらは現在のBPOシェフ、ラトルによる全集です。

ベートーヴェン交響曲全集5CD

古楽器演奏によるシャープなベートーヴェンも聴いて下さい!

ベートーヴェン:交響曲全集&序曲集(9曲)



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