
昨年発売された交響曲第5番のあと、ほぼ一年ぶりの新曲発売。今回はチェロ協奏曲がメインのアルバム。副題の「ケンタウロス・ユニット」とは、チェロ奏者を半人半馬の神、ケンタウルスに見立て、その神が奏でる音楽、というもの。第一楽章こそ従来の吉松作品よりも複雑な構成に聴こえるが、第二楽章の例えようもない美しさはまさに吉松節そのもの。深刻な音楽では決してないが、吉松のレパートリーにまた素晴らしい一曲が加わった。また、同録の「鳥たちの時代」は86年に作曲された吉松の出世作。様々な種類の鳥達のさえずる声が、きらめく技法により管弦楽で再現される。フィンランドの現役作家、ラウタヴァーラの「カントゥス・アークティクス」も鳥達の鳴き声を再現しようとしていたが、数段分かりやすい作品だと思う。是非一度聴いてみてほしい。

これは凄い曲だ!こんな曲が今まで眠っていたなんて信じられない!!
どこをどう聴いても1930年代の作品とは到底思えない。それどころか、日本人の作曲に拠るものだとも思えないのだ。大澤の作品はあまりにも当時の日本には早すぎた。1953年の急逝により全く忘れられた存在になっていたのはともかくとして、当時の日本人の第一人者達である山田耕作、橋本国彦、貴志康一らの音楽とあまりにかけ離れている。大澤は単身渡欧し独学でクラシックを学んだが、クラシック音楽の土台がまだ築かれていないわが国に、いきなりプロコイエフやストラヴィンスキーの音楽が上陸しても理解されるはずがなかった。早すぎた天才の音楽を是非お聴きいただきたい。片山杜秀氏の詳細なライナーノーツも一読の価値あり。
ちなみに「神風協奏曲」の「神風」は、1937年に東京~ロンドン間を飛んだ「神風号」(朝日新聞社)を指すのであり、1944年以降に吹き荒れた特攻としての神風とはなんら関係がないことを記しておきたい。
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