雨がしずかに降る日には

女性とうつ



 うつ病にかかっている人の割合を男女別に比べてみると、『DSM-IV-TR』(精神疾患の診断、統計マニュアル)の統計でも、その他の統計でも女性は男性よりも約2倍前後も高い数字を示しています。

 まず、これには女性特有のホルモンの変化が関係しているのではないか、という考えがあります。月経前の時期には約半数の女性が、気分が沈み込んだり、精神的に不安定になったりするといわれています。

 出産後の半数以上の女性には、マタニティーブルーと呼ばれる抑うつ気分が現れます。月経が終わる年代の女性は、更年期うつ病への注意が必要とされています。確かにこれらのケースでは、女性ホルモンと気分の変調が関係していそうだと考えられます。

 しかし最近の研究では「女性は社会的に孤立しやすい」という環境的な要因からくる社会的ストレスも、女性のうつの発症に大きな影響を与えていると考えられています。


 《不妊とうつ》

 女性のうつということでは、不妊とうつの問題も重要です。子供がいない女性は、周囲の「お子さん、まだ?」などということば自体に傷つくことが少なくありません。相手に他意がないことを知っているだけに、自分を責めてしまいがちです。

 不妊治療を受けるということになると、検査も治療もなにかとつらいものですし、成功率も高くはありません。こんなことでいいのだろうかという考えにとらわれる人もいますし、夫婦関係がこじれてしまうこともあります。
 本人の不安定な気持ちを、周囲の人たちがしっかりサポートしてほしいと思います。同時に、子供ができるできないに左右されない、自分の生き方を見つめ直していくことも大切です。


 《女性の更年期》

 一般的には40代後半から50代後半を更年期といいますが、妊娠が可能な生殖期~非生殖期までの移行期間をいうために、実際には個人差があります。
 この時期は閉経にあたるため、卵巣ホルモンの分泌状態が変化して月経の異常が起こりやすくなるとともに、精神的、肉体的な違和感が現れやすくなります。


 《男性の更年期》

 最近、女性の更年期に対して、男性の更年期という概念が専門家によって提唱されています。このような考え方が有効かどうかはまだわかっていませんが、身体的にも精神的にもいろいろな変化が起こる年代ではあります。
 この年代になると、心筋梗塞や脳血管障害などが増えて、これに伴って知的機能の障害も起き始めてきます。また、男性ホルモンの低下による性機能のおとろえという問題も出てきます。
 企業で仕事をしていれば、定年退職なども現実的な話題になってきます。同年代の女性と同様に、これからの生き方をじっくりと考え直す時期であるといえそうです。


⇒うつの症状ときざし

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