雨がしずかに降る日には

こころと脳



 脳は、人が生きていく中で「歩く」、「走る」、「食べる」といった基本的な動作に関する命令をからだに伝えており、これによって人は日常生活を円滑に送っています。しかし、脳が命令を出すのはからだだけではありません。
 こころにも「意欲」、「食欲」、「記憶」などといった感情的および知的命令を伝えています。

 脳からからだやこころへの命令は、神経伝達物質やホルモンなどを仲介して行なわれます。この神経伝達物質の中で、脳からこころに元気を伝える物質が“セロトニン”と“ノルアドレナリン”です。これらは気分や意欲、食欲、記憶などを神経に伝達します。脳内の神経細胞から、セロトニンやノルアドレナリンが放出されると、受け手である次の神経細胞の受容体に結合して、情報を伝達します。
 しかし、何らかの理由でこのセロトニンやノルアドレナリンが減ると、気持ちの活性化が伝えられずに憂うつ感などを引き起こしてうつ病になると考えられています。


脳は神経細胞の集合体といえます。脳は多くの神経細胞とこれを支える組織から成り立っています。これが「こころ」を生み出しているのです。
 神経細胞の細胞体に情報が伝わると、細胞体は興奮し、その興奮は電気刺激として神経細胞の末端に伝導されます。

 神経細胞同士には20~30ナノメートルのシナプス間隙という小さな隙間があります。神経細胞の終末部にはシナプス小胞という袋があり、それぞれ決まった神経伝達物質がおさまっています。

 電気信号が神経細胞の終末部にくると、この小胞を刺激して、小胞内部にある神経伝達物質をシナプス間隙に放出します。それはセロトニンや、ノルアドレナリンだったりします。

 接続する神経細胞の表面には、レセプターと呼ばれる神経伝達物質の受容体があり、神経伝達物質を受け取ると、受容体は電気信号を発し細胞体に信号(情報)を送ります。そして更にこの運動が繰り返されていきます。


 《こころの病気と深く関わっている主な神経伝達物質》

[セロトニン]
 セロトニンが減少すると、抑うつ気分が強くなります。その結果、こころや食欲、睡眠の障害が出やすくなります。うつ病、パニック障害、強迫観念に関連しています。

[ノルアドレナリン(=ノルエピネフリン)]
 ノルアドレナリンはアドレナリンと共通の働きがありますが、特に精神作用にはノルアドレナリンが深く関わっています。危険を感じると交感神経系での放出量が増え、不安や恐怖の精神状態をつくります。意欲にも関連があります。ノルアドレナリンはアドレナリンからめちれん基を1個を除去したという意味です。

[ドーパミン]
 ドーパミンは多くの働きをもつ神経伝達物質ですが、とりわけ運動に関して重要な働きがあります。欠乏すると筋肉を動かしにくくなるパーキンソン病になり、多すぎると幻覚が現れます。(統合失調症)
 また、快楽気分や新しいことに取り組む動機づけに関与しています。


⇒うつの流れ

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