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March 12, 2012

東日本大震災から、昨日で丸１年が経ちました。

この大震災により、日々色々なことを考え、これまでに考えてきたことでも、改めて気付かされる問題や出来事があまりにも多く、それに伴って直接関係ないことまでも、震災からの繋がりを掘り下げて考えているのですが、色々と考えたり、悩んだりしている時に、過去に読んだ書物などを再び読んで、気付かされることも多くあります。

今回の震災後から、色々と考えて、また考えすぎる部分もあるのでしょうが、どうしても再び読み返したくなったものに、手塚治虫の『ブッダ』があります。

始めに書きますが、僕自身、特定の宗教に傾倒しているわけではありません。

ただ、仏教の教えやキリスト教の教えから、学ぶことも多く、また気付かされることは多いです。

我が家には神棚もありますし、仏壇もあります。

神や仏の存在についても、否定は全くしていませんし、むしろ、それらの教えから学ばなければならないことは沢山あるとも思っています。

その手塚治虫の『ブッダ』ですが、読み返すことに、改めて考えさせられることも多いのですが、次のような一節がありました。

では人間の悩みは？

それは病気の悩み

お金の悩み

肉親の悩み

仕事の悩み

色々あるけれど、それはみんな鼻でかいだり、ふれたり、味わったり、見たり聞いたりして、起こる悩みだろう

この災いから逃れるには八つの正しい方法がある

それは、

正しく見

正しく思い

正しく話し

正しく仕事をし

正しく暮らし

正しく祈り

正しい生涯

を送ることだ。

現実の災害という災いから、逃れることは勿論できませんが、その問題を自分なりに考え、自分自身の心も見直すという、謙虚さも忘れてはならないものだと痛感します。

文明が進むにつれて

人間の欲はつのり

その煩悩の炎はどんどん大きくなり…

その炎のために

さまざまな悲劇が起こるじゃろう

そして、やがて全世界が滅びてしまうじゃろう

人間が長生きしたければ

煩悩の火を消すがよい

それは一切、欲を出さず

自然のままに生きることじゃ

自然災害には、人間は逆らうことはできません。

勿論、防災の意識を高めることは必要ですし、防災対策も必要です。

手塚治虫の作品は、これまでに何度も繰り返し読んできていますが、改めて感じることは、マンガによるメッセージの強さと、手塚治虫が悩みながらも、人間の欲という部分を、見事なまでに作品として表現していることに、改めて偉大さを感じます。

『鉄腕アトム』で、原子力についてと未来を描き、『火の鳥』で輪廻転生万物流転を描き、『ブラックジャック』で人間の生と死、そして医療問題を描き、他の数多くの作品でも、公害問題や差別問題、その他タブー視されている問題を、作品で表現し続け、普遍的な何かを伝えてくれています。

やはり、手塚治虫は凄い人であり、また偉大なマンガ家でした。

今のマンガもメッセージ色の濃いものが、どこか排除されるようになってきているのも残念ですが、手塚治虫に続くマンガ家が颯爽と現れてほしいとも思うこの頃です。