「素敵な誕生日」 「どうしてよりによって、今日なの?!」 おもわず、ボヤかずにはいられない。 普段、とっても健康優良児な私。 熱なんて、ここ3年位、出していなかったのに。 久しぶりに出したのが、年に1度の 自分の誕生日の朝だなんて。 “誕生日が楽しみ”って言う年では無いけれど、 やっぱり悲しい・・・。今日は家族で ちょっと贅沢な外食に行く予定だったのに・・・。 「あ~あ・・」出てくるのは、ため息ばかり。 熱は38度を超えていて、体はだるい。 せめて堂々と寝ていられるんだから、寝てしまえ! 悔しさとだるさで、ムカつきながらも眠りに落ちていった。 ・・・どの位寝ていたんだろう?辺りは、ちょっと 薄暗くなり始めていた。本当ならそろそろ 準備をして、出かけるはずだったのになあ。 そんな事を思いながら寝返りをうった時 “ガサッ”私の頭に何かが、当たった。 「ん、何?」 そこにあったもの・・それは、小さな手紙だった。 「ママヘ、 いつも、はたらいてくれて ありがとう きょうは、わたしがおサラをあらってあげるね はやくげんきになってね」 それは、6才の娘が書いてくれた手紙だった。 私が熱を出したせいで、お出かけが取り止めに なったのに、こんなかわいい手紙を書いてくれるなんて。 胸がちょっと熱くなった。それは決して 熱のせいでは無かったと思う。 その時、夫が声をかけてきた。 「おかゆ食べる?」 普段料理などした事の無い夫が、私のために どうやら、おかゆを作ってくれたらしい。 これには、かなり驚いてしまった。 夫と娘が話している。 「ママに元気が無いと我が家はダメだね」 「そうだね、パパ」 ふふふ~聞いていて、顔がにやけてしまった。 “ちょっと豪華な外食”は、食べ損なったけど 夫が作ってくれるなんて、考えようによっては “かなり豪華な夕食”を食べる事ができた。 味の方は・・・だったけど(笑) たまには、熱も出してみるものである。 こんな誕生日も、案外素敵かもしれない。 文・挿絵/わち姫 (参照:Cam's北見2006年11月号) |