パパの猫 ナベの話3



そして、ナベはトラを舐めた
血だらけで、動かないトラを舐め続けた・・

まるで、生まれたての子猫をキレイにしてやるように
いつまでも、舐めた

でも、どんなにナベが一生懸命、舐めても
トラの目が開く事は二度と、無かったんだ・・・

それから、何年か僕の家で、平和に暮らした後、
ナベは突然、僕達の前から姿を消してしまった

パパはナベが帰ってくるのをずっと、待っていたけど
ナベはとうとう、帰ってこなかった

長い、長い、時が経ち、僕は大人になって
パパはおじいちゃんになった

僕は僕の子供を思う度、ナベのことを思いだす

ナベにとって、子供がどんなに大事だったか
今なら、分かる気がする

あの、大きな犬に向かっていった時のナベの気持ちも・・

今パパの家には、ナベの子供の、子供の、子供のヤブがいる
ヤブは驚く位、見た目はナベにソックリだ!

・・・でも、やっぱり、ナベとは違う
ナベはパパにとって世界でたった一匹の猫だったんだね

誰かが、 「猫は死ぬ前に家出する」 って言ってたけど
ナベはそうじゃないと思う

僕にも、パパにもその理由は分からないけど
きっとナベにとっては、大事なことだったんだろう

「ナベはもう帰ってくることは無い」
それは分かっているけど、パパは今でもナベが
帰ってくるのを、心のどこかで待っている

パパのナベの話 いつか僕の子供がもっと
大きくなったら、聞かせてあげたいんだ




伝説の猫「ナベ」



最後まで、読んで下さってありがとうございました(∩.∩)
ナベはわちの実家に実際に居た猫の話です


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