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日日是好日


 法要でいただいたお話し

          慈照寺(銀閣寺)執事長 坂根孝慈著・・・の一部より

 中国、唐代に雲門禅師というお坊さんが居られました。そのお坊さんが言われた有名な禅語があります。

そのひとつに、「日日是好日」(にちにちこれこうにち)という言葉があります。

 その意味は、来る日も来る日も人生最良最好の日であるという事です。
雨の日、嵐の日、辛い日、悲しい日、それらを「良き日」と受け取っていくということです。
しかし人の世は「娑婆」(耐え忍ぶという意味)というように、無常変易、生者必滅、吉日もあれば、凶日もありというように不安の連続です。

 「受け取ってゆく」と口で言うことは簡単ですが、この「日日是好日」という気持ちで人生を送れることが出来る人がはたしてどれくらいおられるでしょうか。
ちょっとしたことで怒ってみたり、ちょっと煽てられるとのぼせてみたり、というのが私たちの偽らざる姿です。過ぎた事にこだわり、未来に希望をつないで生きています。過去の失敗を繰り返すまいとして、未来に期待をよせています。
 が、たとえ過去にどんな失敗があっても、決して何とかしようという計らいの心があってはいけません。
その日、その日が最良の一日なんだ、という気持ちで生きていかなくてはなりません。

 「好日」というのは良い天気という意味もありますが、
中国では「吉祥日」とてもおめでたい日という意味もあります。
 「日日是好日」というのは、毎日毎日がめでたい日であるということです。

 「日日」は過去、現在、未来全てを含み、過去の日々、現在の日々、未来の日々もすべて素晴らしい日ということです。
過ぎた事をいつまでもくよくよしていても仕方ありません。
明日はどうなるのかはわかりませんし、計らいの心があると、またくじけます。
そうではなくて、毎日が吉祥日であるという心がけで一生懸命生きてゆけば、必ず充実した後悔のない日々が送れるはずです。

 もちろん、毎日良いことばかりあろうはずがありません。
悪い日も良い日と受け止める心、ひいては悪い日を良い日にと、転じてゆく心があれば、どんな日だって「好日」でない日はないのです。

 「禅」とは「とらわれない、こだわらない、偏らない心」、そして今生きているところは、蓮華国(仏の国)で、この身は即ち仏と悟る―そういう教えであるからです。 

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