(承前)
磯部神社を出て磯部川に沿って北西に走る。途中で川とお別れして集落の中の道へと入る。恵利原 (えりはら) という地区の辺りで何やら懐かしい風景に出合う。こういう建物を見ると何故懐かしくなるのでしょう。
(えりはら地区)
(後方の山の上に見えるのが志摩ロッジの建物)
集落を出た辺りで磯部川を挟んで向かいに大きなお堂の屋根が目に入る。目指す池渓寺のようだ。その裏の山の上に見えるのが国民宿舎志摩ロッジの建物だろう。さすれば、鸚鵡岩はこの山の上にあるのだ。
(池渓寺)
池渓寺 (ちけいじ) は曹洞宗のお寺です。この寺の前の道 (写真左の車の見える道) を登って行く。結構な坂道にて途中で息が上がり、自転車を押して上ることに。程なく眼下に磯部の町の眺望が開ける。
(展望台への道からの眺め、来た道が眼下に。)
志摩ロッジの横に展望台への石段の登り口がある。自販機でお茶を買ってから、自転車を担いで登る。展望台からの眺望は素晴らしい。ゆっくりタバコを一服。
(鸚鵡岩展望台)
(鸚鵡岩展望台からの眺望)
(同上)
高さ約49m、幅約127mの巨大な石英岩質の一枚岩がおうむ岩と呼ばれるものです。この岩には実に不思議な現象が起こります。それはここから130m程登った「語り場」と呼ばれる場所で発した音が更に40m程登った鸚鵡岩の前にある「聞き場」と呼ばれる場所に立つと、あたかも岩から音を発している様に聞こえると伝えられています。
このことを発見した由来は、元禄時代のころ、あるとき山中を歩いていた二人の者がこの岩の下で休憩を取り、談笑していたところ、岩の中から声が聞こえて来るので大変驚き、山の霊の仕業とおののき恐れ、逃げ帰ってしまいました。そしてこの話を聞いた勇気ある者達が幾度か試すうち、ついに岩の反響による出来事だということを発見しました。そしてこの岩を「物いう岩」と呼ぶようになり、後に鸚鵡が人真似をすることにちなんで鸚鵡岩と名付けられました。(鸚鵡岩登り口の説明板より)
(聞き場)
(語り場)
「語り場」での声を「聞き場」で聞くと岩から声が聞こえて来るように感じるとのことだが、ひとりでは実験の仕様がありませんな(笑)。
山を下りて再び池渓寺の前に戻り、伊雑宮へ向かうことに。伊雑宮は伊勢神宮の別宮にして、志摩の国の一之宮でもある。
小生が到着した時にはビジネススーツを着込んだ若い男女の団体さんがぞろぞろと神社から出て来るところ。観光バス3台を連ねての参詣であるが、新入社員研修にしては少し時期が遅いようにも思われるが、そんな雰囲気の集団である。
<参考 伊雑宮
>
(伊雑宮・正殿)
(神社の杜)
決して広くはない境内であるが、杜の巨木がいかにも伊勢神宮の別宮という雰囲気を醸している。
日本書紀垂仁天皇25年3月条に、倭姫が伊勢の国までやって来た時に天照大神が「是の神風の伊勢の国は、常世の波の重波帰する国なり。傍国のうまし国なり。是の国に居らむと欲ふ。」と告げたので、これに従って伊勢の国に祠を立てた、とあるのが伊勢皇大神宮の起源説話ですが、大和勢力が何故伊勢の国に祖先神を祀る神社を建てたのかは疑問とされる処で諸説あるようです。
継体天皇の跡目争いで、尾張連草香の娘・目子媛を母とする安閑、宣化と仁賢天皇の娘・手白香皇女を母とする欽明の対立があり、欽明系は東方への通路として伊勢から海上でという路線を必要とし、大和と伊勢の結び付きが強まったことなどが影響しているというのが一つの有力な解釈のようです。
(これは何の木?)
伊雑宮にお別れし、近鉄上ノ郷駅へ。無人駅にて人影もなし。それでも1時間に2本電車があるから「まあ、よし」である。ホームの上でトレンクルをたたんでキャリーケース(バッグ)に収納する。
(上之郷駅)
ホームにあるのはヤカモチのザック(右)と自転車を収納したバッグ(左)である。電車待ちの退屈しのぎに撮ってみました(笑)。風もさやかに吹いている。今日は好い天気だ(笑)。
電車に乗る時はこの形です。
銀輪散歩する時は、バッグ(袋)をたたんでザックに詰めて背負い、自転車を走らせます。
これがトレイン&バイシクル(つまり、トレンクル)の旅のスタイルなのであります。
これで伊勢志摩銀輪散歩は完結であります。伊勢市駅から特急に乗り換えて大阪の鶴橋まで帰りました。もっとも鶴橋駅から自宅までは、また自転車で走りましたが(笑)。今回も銀輪散歩にお付き合い戴き有難うございました。
最後に銀輪万葉らしく大伴家持の歌で締めくくることといたします。
御食
つ国
志摩
の
海人
ならし
真
熊野
の
小舟
に
乗
りて
沖
辺
漕ぐ見ゆ (巻6-1033 大伴家持)
(天皇のお食事の材料を奉る国である志摩の国の海人であるらしい。熊野の小舟に乗って、沖の方を漕いでいるのが見える。)
飛鳥川銀輪散歩(下) 2024.11.11 コメント(4)
飛鳥川銀輪散歩(上) 2024.11.10 コメント(2)
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