偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2014.04.24
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 花園中央公園は自宅から自転車で数分。恩智川沿いにあることもあって、小生の銀輪散歩の基地的な存在であり、殆ど毎日のように立ち寄っている公園である。若草読書会の皆さんと毎年お花見をするのもこの公園である。
 銀輪花散歩(上・下)で、散歩の道すがらの花をご紹介申し上げましたが、この花園中央公園にも季節ごとに色々な花が咲いているのでもあれば、これを取り上げないのも、日頃お世話になっている、この公園に失礼というものであるのかも知れない。
 と言う訳で、本日は花園中央公園の花たちです。と言っても名の知らぬ花も多いので、それらはカットです。
 ここでも先ず桜から始めますかね。先の銀輪花散歩でも八重桜のサトザクラなどは未だ咲き残っている、と申し上げましたが、この公園の桜広場の一角に植わっている10本程度のサトザクラは未だ花を咲かせているのでありました。


サトザクラ
(八重桜・サトザクラ)

異様 ( ことやう ) の ものと言はるも 八重桜 春の名残と 匂ひぬるかな (偐家持)

 兼好さんに「異様のもの」と決め付けられた八重桜ですが、確かにソメイヨシノやシロヤマザクラのような軽やかな美しさは望むべくもない。優雅と言えば優雅であるが、重たげにやや陰気な咲きぶりであるとも言えますかね。しかし、花の好みは人それぞれ、兼好さんにとやかく言われる筋合いではないのである(笑)。
(注)花は一重なるよし。八重桜は奈良の都にのみありけるを、この比ぞ世に
     多く成り侍るなる。吉野の花、左近の桜、皆一重にてこそあれ。八重桜
     は異様のものなり。いとこちたく、ねぢけたり。植ゑずともありなん。
     遅桜またすさまじ。虫のつきたるもむつかし。(徒然草第139段)
 この桜は八重にして遅咲きですから、兼好さん流には「異様にしてすさまじ」と散々な言われようになりますが、そこは聡きサトザクラ、少しも気にせず咲きたい時に咲きたいように咲くのであります。

ヒラドツツジ (ヒラドツツジ)


 桜は「さかえをとめ」であり、ツツジは「にほえをとめ」である。古代に於ける美女の比喩はこの二つの花が担っていたのである。

(参考)
( ) はず  ( みち ) 行くゆくも 青山を ふりさけ見れば つつじ花  香少女 ( にほえをとめ )  桜花  盛少女 ( さかえをとめ ) ( ) をぞも 吾に寄すとふ 吾をぞも  ( ) に寄すとふ  ( ) はいかに ( おも ) ふ 思へこそ 歳の 八年 ( やとせ ) を 切る髪の よちこを過ぐり たちばなの  末枝 ( ほつえ ) を過ぐり この川の 下にも長く  ( ) は心待て (柿本人麻呂歌集 万葉集巻13-3309)

ハナミズキ (2) (ハナミズキ)

 桜に代わってまだ元気なのはハナミズキでありました。
 花園中央公園には、小生お気に入りの石のベンチがあるのですが、その近くにあるのが上のハナミズキの木なのであります。

ハナミズキ (同上)

ハナミズキ (3) (同上)

 近くには白いハナミズキもあります。

ハナミズキ(白) (同上)

 花壇は、プラネタリウムの北側と花園ラグビー場の前庭とにあるが、こちらでは色とりどりの花、花、花です。残念ながら、名前の知らない花が多い。
 名を調べるのが面倒なので、知っている花だけをピックアップします。
 先ず、ワスレナグサ。前回の銀輪花散歩でも取り上げた花でしたが、またしてもであります。ワスレナグサだけあって、忘れる前にやって来るのですな。それもこんなに大群になって。この花の前で忘れ物する奴がいたら、それはもう救いようがないのであります。

ワスレナグサ (ワスレナグサ)

いにしへは わすれぐさをば うゑたるに
         いまひとううる わすれなぐさを (偐家持)

 万葉人は「忘れることがない」ので忘れようと「忘れ草」を植え、今の人は「忘れてしまう」だろうから忘れないようにと「忘れな草」を植える。忘れ草を植える人と忘れな草を植える人とどちらが人間として誠実であるか(笑)。

ワスレナグサ (2) (同上)

 次は、花壇には定番のビオラ(パンジー)です。

花園に ビオラ見むとて 来しわれぞ
       つばらつばらに 日の暮るるまで (偐赤人)

ビオラ (ビオラ<パンジー>)

ビオラ (2) (同上)

 そして、マーガレットをミニサイズにしたようなノースポール。
 もうこのような名前になると歌にも詠むこといと難きことと相成りまする。

野菊にし あれば歌など 詠むべきに
        ノースポールは それもかたかり (偐家持)

ノースポール (2) (ノースポール)

ノースポール (同上)

花園に 咲きたる花の 名は問はじ
       今日咲く花は みな美しき (偐家持)

ネモフィラ (2) (ネモフィラ)

 そして、ネモフィラ。オオイヌノフグリを何倍にも大きくしたような花であるが、風にそよぐ様は「見れども飽かず」であります。

ネモフィラ (同上)

 締めの花はセキチク(石竹)と致します。この花は撫子の仲間で、唐撫子という別名がある。ナデシコは「撫子」とも「石竹花」とも漢字表記するので、石竹はナデシコなのである。
 撫子は大伴家持、というのが小生のイメージであるから、締めの花とした次第。
 万葉に撫子の歌は20数首あるが、多くは大伴家持及び家持関係者の歌である。撫子を女性に喩えた最初の人が大伴家持かも。であれば、大伴家持は「大和撫子」の産みの親ということにもなる。

石竹(セキチク)・唐撫子 (セキチク<石竹>・唐撫子)

なでしこの その花にもが 朝な ( ) な 手に取り持ちて 恋ひぬ日 ( ) けむ
                          (大伴家持 万葉集巻
3-408






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最終更新日  2014.04.28 18:05:30
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