承前 )
4月14日の銀輪散歩の続編です。
清閑寺の山門を潜って先ず目に入るのが、この小督の供養塔である。小督というのは、高倉天皇に寵愛された小督の局のこと。高倉天皇の中宮として自身の娘・徳子(建礼門院徳子)を差し出していた清盛にとっては、高倉天皇が小督に溺れるのは困ったこと。清盛の命により、二人の仲は引き裂かれ、小督は此処、清閑寺で無理矢理に出家させられてしまう。
前ページで紹介した高倉天皇陵がこの地にあるのは、「小督の居る清閑寺に葬ってくれ」との天皇の遺言によるものであったという次第。
<参考> 小督
・Wikipedia 清閑寺
・Wikipedia
供養塔の後ろにある桜の木は「小督の桜」と呼ばれているらしい。
(清閑寺説明板) (小督の局説明板)
※写真が小さくて読み辛いときは、クリックして大きいサイズに変
換の上、お読み下さい。
藤原定家も小督を見舞っていると言うから、偐定家を名乗ることもある偐家持としては、この寺に参るのも故なしとしないと言うべきか。
小督の桜の前の木札の歌碑は与謝野鉄幹の父・礼厳の歌。妻を亡くして彼は此処・清閑寺に隠居したとのこと。
年を経て 世にすてられし 身の幸は 人なき山の 花を見るかな
(与謝野礼厳)
清閑寺の境内は小ぢんまりとしたものであるが、色んな花も咲いて、人影もなく、その名の通り閑静、閑寂、いつまでもグズグズととどまっていたいような気分にもなる、まことによい雰囲気の寺である。
本堂の裏に回ると小生の背よりも高いカラタチの木が花を咲かせていました。
(これもスミレの一種だろうか。)
※ビッグジョンさんからキランソウ(別名ジゴクノカマノフタ)
だと教えていただきました。
山門へと通じる石段の脇に咲いていた小さな紫色の花。これもスミレなんだろうか。初めて目にする気がする。
この後、訪ねる将軍塚でも同じ花を見掛けた。下の写真がそれです。
ムラサキケマンとクサノオウも咲いて目を楽しませてくれました。
(草ノ王)
白い房になっている花を近付いてよく見ると、アセビの花のような釣鐘型をしている。多分初めて目にする植物。名前は勿論、知らない。ちょっと気になる花。まあ、木になっている花には違いありませぬが。
清閑寺を出て、東山ドライブウェイの坂道をひたすら上る。
ウワミズザクラという名は、かなり以前に友人の小万知さんから教えて戴いたことは記憶にあって、ウ・ワ・ズ・ミ・ザクラという言葉が一時思い浮かんだが、違う気もして、結局、この時は思い出せず、ええ~と、ええ~と、と言うばかり。帰宅して過去のブログ記事を検索し、ウワミズザクラと分かりました。
<参考> 花逍遥・何の花?
2012.5.15.
上の記事で、カキドウシの名もこの記事で教えて戴いていたことが分りましたが、教えて戴いても、すぐに忘れてしまう・・ビッグジョンさんもそんなことをブログに書いていらっしゃいましたが、まことに、まことに同様にて困ったことです(笑)。
ミツバツツジが花の滝となって流れ落ちてもいる。
ウワミズザクラもミツバツツジも自転車の足を休める口実を兼ねていたのだが、暫く見惚れる美しさ。写真を撮っていると、後ろから来た自転車の青年に追い抜かれてしまった。
この枝垂れ桜は、東山ドライブウェイから将軍塚へと上る坂道との分岐にある。
敷島の大和心は、本居宣長流には「朝日に匂ふ山桜花」であるが、
東山の 銀輪族の 心とは 疲れくたびれ 枝垂れ桜花 (銀輪家持)
である。
枝垂れくたびれ桜から更に上った処に展望台がある。
此処は無料の展望台。
そこから少し奥に入った処に将軍塚がある。
将軍塚は無料で見ることができるものと思っていたが、最近に移築され、広大な木製大舞台を持った青龍殿の一角になっているようで、500円の拝観料を支払わないと其処には行けない仕掛けになっている。
是非もなし。
<参考> 天台宗青蓮院門跡
将軍塚青龍殿ホームページ
TOP
将軍塚
青龍殿
大舞台
青不動
桓武天皇は、長岡京からの遷都を考えていた時に、和気清麻呂を伴って東山のこの地に立ち、平安京への遷都を決めたとのこと。遷都に伴い、平安京の守護とするため、将軍像を作らせ、これに甲冑を着せて埋めさせたという。それで、将軍塚と呼ばれるようになったとのこと。
山科の坂上田村麻呂公園には彼の墓と伝承される塚があるが、清水寺縁起によると、彼は甲冑を着け立ったままの姿で埋葬されたと伝えられているが、これは、この将軍塚のそれに倣ったものかも知れない。
<参考> 銀輪散歩・坂上田村麻呂(上)
2013.3.13.
500円を払っただけのことはあり、眺めは先ほどの無料展望台からのそれよりも格段によいように思われる(笑)。
桜、桃などが咲き匂い、うらうらに春日は照れり。庭の散策も楽しい。
足元にはタンポポやスミレの花も咲いている。
そんな中で、スミレのツーショット。いい写真が撮れました。
春うらら さやかに風の 吹きも来て 添ひてたぐひて すみれはふたり
(偐家持)
カエデもさやさやと若葉をそよがせているのでありました。
カエデの花はこんな花でありましたか。
将軍塚にお別れし、上って来た坂道を一気に走り下る。分岐の枝垂れ桜の処で東山ドライブウェイに入り、来た道の右ではなく左に走る。下り切ると地下鉄東西線の走る東海道になり、蹴上まではずっと下り坂。自転車は下りに限る(笑)。
南禅寺山門にご挨拶し、丸太町通りへ。
丸太町通りを西へ。京都御苑に入って、走り難い玉砂利の道を少しばかり走る。
仙洞御所の手前で自転車を停めて草地に腰を下ろして休憩。
ムラサキサギゴケが群生。トキワハゼとも言うこの植物。ムラサキサギゴケというのも小万知さんに教わった名である。
この花、ちょっと見はカキドウシと似ていなくもないので紛らわしいが比べれば花の形が全然違うし、葉の違いは一目瞭然である。
カキドウシは「垣通し」という意味で、垣根を通りこして侵入してくる厄介者というニュアンスのある名前だと思うが、このムラサキサギゴケも結構な繁殖力にて、垣根を越えて侵入してくる花ということでは同類かと。近頃はびこっているオレオレサギほどに悪質ではないから、はびこっても、まあ人畜無害というものである。
世の庭に ムラサキサギゴケ はびこるも
はびこるなかれ オレオレのサギ (鷺麻呂)
ブロ友の「ふろう閑人」さんや「あすかのそら」さんがブログに掲載されていた、変わり果てた梨木神社にも立ち寄ってみるかと思いましたが、ムラサキサギゴケさんと遊んでいるうちに気が変わり、烏丸通りへ出て、京都駅方向に。帰途につくこととしました。以上で完結です。
<参考> 銀輪万葉・京都府、滋賀県篇
飛鳥川銀輪散歩(下) 2024.11.11 コメント(4)
飛鳥川銀輪散歩(上) 2024.11.10 コメント(2)
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