闇夜
ならば 宜
も来まさじ 梅の花 咲ける
月夜
に
出
でまさじとは
(紀女郎 万葉集巻8-1452
)
(闇夜ならば、なるほどお越しにならないでしょうが、梅の花が咲くこんな月夜においでにならないとはなんということでしょう。)
この歌は、紀女郎
(名は小鹿<をしか>)
が大伴家持に贈った歌であるが、家持さんからの返しの歌がない。
大伴家持の歌では次のものがある。
今造る
久邇
の
都は
山川
の
清
けき
見れば
うべ
知らす
らし
(大伴 家持 万葉集 巻6-1037
)
(新しく造る久邇の都は、山や川の清らかさを見ると、なるほどここを都として君臨されるのだと思われることだ。)
また、「うべなふ
(諾ふ)
」という語もあり、これは手元の国語辞典にも「うべなう」として掲載されている。意味は「もっともだと思って承知する、服従する」とある。
梅や馬を古語では「むめ」「むま」と発音した。「む」と「う」は容易に入れ替わる音であるから、「うべ」と「むべ」は同語である。
万葉集の歌をとり上げるまでもなく、「むべ」なら、小倉百人一首にもこんな歌がある。
ふくからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ
(文屋康秀 古今集249、小倉百人一首22)
(<山おろしの風が>吹くとすぐに草や木がしおれてしまうので、なるほど山の風を「あらし」と呼び、また山と風を合わせた字で「嵐<あらし>」と訓むのであろう。)
これらの歌に見える「うべ」「むべ」の語源が「ムベの実」であるのかどうかは存じ上げぬが、前振りの「むべなるかな」から「ムベ」につながれば用が足りるのが当記事。
ムベは、キンポウゲ目アケビ科ムベ属の植物。
アケビの親戚のような存在である。
ムベの花のマイ写真はないので、ウイキペディアに掲載の写真を借用して置きます。
(ムベの花)<参考> ムベ
・Wikipedia
Stauntonia_hexaphylla_Mube_flower01.jpg (1600×1200) (wikimedia.org)
アケビの花が薄紫乃至桃色なのに対して、ムベのそれは白い小さな花である。
(アケビの花・これは雄花)<参考> アケビ
・Wikipedia
アケビは、キンポウゲ目アケビ科アケビ属の植物。
漢字では、木通、通草、山女、丁翁などと書く。
学名は、Akebia quinata。
英名は、Chocolate vine。
(同上・これは雌花)
このアケビの花は山道で見つけたものではなく、馴染みの喫茶店・ペリカンの家の近くの恩智川畔のもの。
毎年、花の時期になると花は目にしているのであるが、この木については、何故か実を見かけたことがない。秋、実のなる時期に前を通りかかることがあると、注意して見てはいるのであるが、実を見つけたということがないのである。
(同上)
アケビは「開け実」が語源らしいが、子どもの頃、山道でこれを見かけても採って食べたという記憶がない。或いは一度食べてみたらまずかったということであったのかも知れないが、見た目にも何やら気持ちが悪く、食べず嫌いで今まで来ているというのがヤカモチのアケビの実についての認識である。
昔、高岡市の二上山に登った時、山頂近くの万葉植物園入口前から下る道を麓へと下っていると、何人かの女性(男性も混じっていたかもしれないが記憶がない)たちがアケビの蔓を採取して居られるのに出くわした。声を掛けて話しかけると、どういう流れでそうなったのか記憶しないのであるが、採取したアケビの蔓を一塊下さったことがあった。
コチラは旅行者。いただいたものをホテルに持ち帰って、部屋に置いてみたが、その後それをどうしたか覚えていない。処置に困って捨てたのではないかと思うが、捨てては悪いと家に持ち帰ったかもしれない。まあ、持ち帰ったとしても、その後捨てているだろうから、どちらでも同じようなものであります(笑)。
過去の記録を調べてみると、1999年10月2日のことのようであるから、高岡の万葉まつりに出かけた折のことなんだろうと思う。20年以上も前のことである。
(同上・中央が雄花、それを囲んでいる大きい花が雌花)
アケビには雄花と雌花があり、雌花は雄花より一回り大きい。
同一株の雄花と雌花では受粉しても受精しないという植物もあるようですから、アケビがそれなら、この木に実がならないということの説明にもなるが、その辺のところは、現時点でのヤカモチには不明である。
今日はアケビの花でした。
アクビをしているのはどなたです?
<参考>
花関連の過去記事
花(4)
花(3)
・2017~2020.3.
花(2)
・2012~2016
花(1)
・2007~2011
墓参・壱師の花の咲く道を 2024.10.04 コメント(6)
墓参・チョウセンアサガオなど 2024.09.07 コメント(6)
PR
キーワードサーチ
カレンダー
コメント新着