“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2021.04.04
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さわ田 @銀座 ~気さくな大将の研究し尽くされた鮨

Dr.Beachから予約方法の教示うけ2月からトライしてきました。
そして、ようやく予約が取れました。



 12時の予約、遅刻厳禁ということで、早く到着しすぎました。
となりのとなりCafeで時間つぶしします。


しかし、そのCafeは私には場違いのようでした。
こう見えて、カフェのプロデュースのお仕事も多いので、勉強にはなりましたが・・

 さて、12時ということで、店内に促されます。
コロナ渦ということで5席満席。私はど真ん中の席に誘導されました。


初めてなので、こういう時は場の空気にあわせましょう。

 テーブルにはお手拭きと膝かけがあります。


膝掛けは桜の柄の手ぬぐいで、とても粋です。
薄くついたガリ、おしぼりと用意されて、スタートします。

 まずは厚く切りつけた鮃です。
まだ温かいシャリの酸と山葵の香りがツーンとします。
鮃を噛みしめると、その酸とツーンとした香りが維持されながら、鮃のうまさが広がります。
これだけをして「酸っぱい」と言う声がありましたが、カン数を出す故の流れの一環だと思いました。

 二つ目は墨烏賊。
酸は、コリッとした食感とともに口の中で馴染み、噛みしめるとともに甘さが広がります。
とても余韻のある甘さ。


 続いては赤貝。分厚く、でかい。
口に近づけるととても良い赤貝らしい香りがします。
ざくざくとテクスチャが良く、香りもいっぱい広がります。
 あまりに続く場の沈黙からか、大将が赤貝の話を始めます。
コロナ渦になり、買う人がいないから、ついつい仕入しまうそうです。

あまりにもでかいので、一週間かけて脱水をしたそうです。
 なお、閖上以外の赤貝は水槽で水を吸わせて流通することが多く、赤貝の脱水する作業は「大切な仕事」になっています。
すぐ使える閖上の赤貝でも脱水しますから。

 四つ目の握りは、昆布〆の白鱚です。
ねっとりとした食感で、白鱚らしいうまさがあります。

 五つ目は青柳です。
青柳は分厚いです。シャリシャリした食感。
うまい。

 六つ目は、炙った藁の香りの鰆で、絞った新臭橙とともに提供されます。
この組み合わせがとても良いです。

 七つ目は「凄い蛸」です。
真っ黒に煮た蛸。足をそのまま5㎝くらいに切って真ん中に包丁を入れて、割れ目にシャリを入れて握るオリジナリティあるスタイル。
蛸は柔らかく、蕩けます。
うまい。

 八つ目は唐津の赤雲丹。
段々、魚の流通が早くなっていると大将。
雲丹は途中から濃い雲丹のインパクがきて、唐津の赤雲丹らしく余韻が持続します。
すばらしい。
そして、おそらく雲丹からシャリの温度が上がったと思います。

 九つ目は赤身の漬け。
赤身なのに脂が相当あるようで、しっとりしていてなめらかなテクスチャです。

 十番目は、中トロ。
 なめらかで軽やかな酸。香りもよく余韻もしっかりあります。

 十一番目は霜降りです。
蕩けます。山葵は倍にしているそうです。
でも、鮃で感じたシャリが鮪の香りや酸を引き出し、たいへん鮪のおいしさを感じます。
そして、脂が口にまとわりつきます。
なかなかこれだけ脂ののった鮪はないでしょう。
 大将が本日の鮪は下田であがった曳き網漁の158キロで1週間ねかせた説明します。
下田の鮪は、深場の脂ののったあぶらむつや金目鯛などを餌として食していて、脂がのっているとのことです。もちろん、天然鮪の脂ですから、しつこいわけではにのですが、唇に脂が残るわけです。

 実は猫舌な私は雲丹の終わった後、お茶の差し替えは不要だと言いましたら、大将が魚の脂を熱いお茶で流すというのが江戸前の流儀ですと説明されましたが、この鮪を食べてその意味を実感しました。

 十二番目は蛇腹。
やはり脂のりが凄い。
しかし、キレの良い脂で甘さを感じます。

 十三番目は春子。包丁を中心に一つ。
中におぼろを射込んでいます。
脱水をしっかりしているけど、やわらかいです。
ふわふわな春子とは違います。

 十四番目は煮蛤。

 十五番目は大星。
小柱というと軍艦で海苔の香りを添えますが、握りで食感の良さと香りをうまく出しております。うまい。

 十六番目は三河湾の車海老。
100g以上ありますね。でかい!とにかくでかい。
2~3年生とのこと。
握った長さが20センチくらいあるので、握ったあと切ります。
大きさ倍だが仕入れ値は三倍だそうです。
大将の心意気ですね。

 十七番目は淡路志摩の岩屋港であがった明石の真鯛。
昨日朝〆たそうですが、明石の真鯛らしく身が怒っているとのことで薄く切り付けで二枚付け。
うまい。

 十八番目は宍道湖の白魚。
八王子の桜の葉で蒸しています。
香りがいいです。
昆布とおぼろが射込んであります。

 二十番目はシマアジです。
軽やかに脂あり、うまい。

 十九番目はみる貝。
テクスチャよく、ほのかに甘い。

 二十一番目は初鰹。
藁でしっかり炙って香りをつけています。
生姜でお願いしました。
これはおいしい。

 二十二番目はやり烏賊の印籠詰め。
藁の香りの臭い消しにと。
干瓢などが入っていた。

 いよいよ、終盤戦です。
二十三番目は蛇腹の炙りです。
上に炭火をのせた手網を上に置き炙ります。

 口直しのビーンズトマト。
脂と酸をとります。

 二十四番目は山盛りの雲丹。
回転寿司で人気のこぼれ雲丹をイメージしていると説明(笑)
口の中に押し込むと、ふわふわと蕩けます。

 二十五番目は煮穴子。
塩山葵とツメ。

玉子焼き。
ふわふわ。

フルーツほおずき。

 最後に大将がいろいろな話をしていただきました。

おしぼりを二層の洗濯機で洗っている。
二層の洗濯機でないと魚の脂汚れは落ちない。
おしぼりは大切なものなので、業者をつかわない。

そんな話がとても記憶に残りました。
とても気さくで楽しい大将のファンになりました。

 これだけの材料でカン数で税込29,000円は相当なコストパフォーマンスですね。
そのことを店主に伝えると、人を使っていないから(人件費)ですよと。
奥様との呼吸ぴったり。すばらしいですね。

あまりに勉強になり、今まで何で来なかったんだろうと思いました。

さわ田
〒104-0061 東京都中央区銀座5丁目9−19
電話 03-3571-4711





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Last updated  2021.12.18 07:45:52
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