風光る 脳腫瘍闘病記

シェアメイト



チェルシーが「愛、行っちゃうの?」とミッシェルにひっつきながら泣いている。「大丈夫よ♪クリスマスは一緒に過ごすからまた会えるわ」私はクリスマスに招待される事になっていたのだ。

シェブロンまではミッシェルが車で送ってくれてた。もちろん子供達も一緒だ。ゴールドコーストからの橋を渡った所にシェブロンがある。

「あっ、ミッシェル、ここよ、ここ」私はぼろい2階建てのアパートを指さした。

「じゃあ、ありがとう、楽しかったよ。またね♪」「チェルシーもステファニーもバイバイね」私たちは笑顔でサヨナラをした。

私は重いスーツケースとうさじろうを抱えて2階まで上った。

「ここかぁ・・・」

「ビーーーーーーーー」チャイムを鳴らしてみる。すると部屋の奥から「は~い」と声がした。「ちょっと待っててね、今、鍵開けるから」

「ガチャ、ッシャ、カチャ」←いろんな音がしている。出てきたのは二十歳前半の小柄な女性だった。

「初めまして愛です。よろしくお願いします」私はペコリと頭を下げた。

「そんな気使わなくていいよ。私はMヨロシクね。もう一人、友達がいるんだけど今出かけてるから後で紹介するね」

さっそく部屋に案内された。部屋と言ってもリビングだから玄関から入ってすぐ右側にセミダブルのベットが置いてある。向かって正面がキッチンだ。

「こんなんだけどホント大丈夫?」「うん、全然平気。週、50ドルだもん」

「あっ、これ家の鍵ね」「それと家にいる時は必ず鍵かけといてね」と玄関のドアを指さした。

「3カ所もあるの?」ドア開けるのに時間がかかった訳だ。

「でも、ぼろいアパートなのに外にプール付いてるね」アパートの敷地内には15mほどのプールが設置されていた。

「ここの住人ならいつでも使えるから今度一緒に泳ごうね」

夜になってYちゃんが帰ってきた。Mちゃんより背が高くてとても日に焼けていた。「今日からよろしくね~」その日はワインで乾杯した。

「愛ちゃん、仕事は?」

「それがまだ見つかって無いんだよね」

「お金いくらあるの?」

「あと20万ちょいかな?」

「え~~~~~~~~~~!?」二人とも驚いていた。

「私なんか70万はあるよ。大丈夫なの?」

「レジメとか配りまくってるんだけど連絡とかなくてさぁ・・・」

「早く見つかるといいね」深夜になって隣の住人が遊びにきた。フィリピン人とルームシェアをしている日本人で、彼女は羨ましいことに2つ仕事を掛け持ちしていた。

さらに下の階の住人が遊びにきた。信じられない事にその人は男ばかり8人で一緒に生活をしていたのだ。

「一人頭のレントいくらだよ~かなり安いぞ」

国籍もアメリカ、ニュージーランド、カナダ、イギリス、オーストラリアとさまざまで生活スタイルもバラバラ。

夜は部屋の中では狭すぎて眠れず玄関の前に寝袋を敷いてみんな寝ていた。

「日本じゃ考えられないな・・こんな生活後ろ指さされるよなぁ・・」私はこうゆう生き方もアリなんだと思って少し心が楽になった。

「さぁ~て、明日から仕事探し頑張るぞ~!1年生き延びてやる~」と心に強く決心をした。

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