風光る 脳腫瘍闘病記

放射線VS整形



私の順番がまわって来て診察室に入った。入り口が狭く車イスで入るのにかなり苦労した。

先生は「あなたの病気についてどの様に説明受けてますか?」と尋ねてきた。私は主治医に言われた事をそのまま伝えた。

主治医の話では頭部には放射線を当てない事になっていたが放射線科の先生はこう言った。

「頭?もちろん、当てます。」「抗がん剤も投与した方がいいです」

さらに「腫瘍が取りきれて無い事は確かです」

私は次第に先生の言葉が聞こえなくなっていった。先生の口だけがパクパク動いている。それどころか周りの音も一切、聞こえなくなった。

「腫瘍が取りきれてない事は確かです」私は耳を疑った。話が違う。主治医は「全部取りきった」と言っていたのに・・

「ナニヲ、イッテルンダロウ?コノヒトハ?」

「良性なのに抗がん剤ですか?」私は尋ねた。

「はい。癌じゃないけど、良性とはいいがたいんで・・」

「じゃぁ、副作用で髪の毛とかは?」
「もちろん、抜けます」

「とりあえず、また明日、診察に来てください」

私は診察室を出たがしばらくはその場所から動けなかった。すると部屋の中から話し声が聞こえた。電話で誰かと話してるらしい。

「本人は良性なのに抗がん剤ですか?」って認識なんですけど、ちゃんと説明はしてるんですか?

明らかに私の事を話している。相手はどうやら私の主治医らしい。

「ちゃんと説明するべきです」と放射線科の先生は電話越しで怒鳴っていた。

そこからはどうやって病室まで帰ったかも分からない。先生は私に何かを隠してる?

「腫瘍は取りきれて無い事は確かです」この言葉が頭から離れなかった。


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