風光る 脳腫瘍闘病記

髪は女の命



「S先生と放射線科の先生とじゃ、話が微妙に食い違ってるんだけど?」

オカちゃんは「放射線科はモノの見方がどこよりも厳しいからね。気にしない方がいいよ」

「抗がん剤は?先生はどう思う?やった方がいいと思う?」
オカちゃんは頷いた。

放射線と抗がん剤を併用する事で放射線の威力を何割か増しに出来るのだという。

S先生は最初は抗がん剤はしなくていいと言っていたが、放射線科の先生と話あった結果、6:4でやった方がいいかも・・という結論に至っていた。

とりあえず私は放射線科に行ってどう治療していくか相談しあった。

私にとって一番の気かがりが副作用で髪の毛が抜ける事だった。先生は頭部に放射線を当てる気マンマンだったが私は

「先生、それだけはカンベンして下さい」と頼んだ。先生は
「髪は女の命だと言うけれど、そんなに嫌?すっごい嫌?」

「はい。歩けないだけでもショックなのに髪の毛まで抜けるのは辛いかも」
「そっか~、そんなに嫌か・・・」しばらくして

「分かった。頭部への照射は止めましょう」と意外に早く納得してくれた。

問題は抗がん剤である。先生は「軽めのヤツだったら髪の毛もそんなに抜けないと思うけど・・」と言ったが先生の「そんなに」と私の「そんなに」は、かなり違いがあるかもしれない。と思うと二つ返事で「はい」とは言えなかった。

でも早く答えを出さなければいけなかった。こうしている間にも肉眼では確認出来ない、見えない腫瘍が増殖し始めてるかもしれない・・・。

私は迷って迷って、迷った挙句、抗がん剤を放射線と平行して投与する事に決めた。



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