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とてつもなく巨大な鋼鉄の扉の前に、ちょこんと小さな鳥が二羽。
この物語からしてそれは太っちょポッポのトットさんと鳩レースのスーパースターのジョンピーに間違いはない。
「おいジョンピー、あの解錠ハンマーを叩いてみろ。」
そう言ってトットさんは人間の高さなら届くであろう、重々しい扉のハンマーを指さした。
言うまでもトットさんはあまりにもデブで飛べないから、羽が届かないのだ。
「こら、マスP!そんなこと強調しなくていい!!」
そう言ってトットさんはマスPを睨んだ。
ドン、ドン
ジョンピーがハンマーを扉に打ち付けると、間もなく門番ドロイドが穴から目だけを差し出して言った。
「なんの用だ?」
「あの、僕たちマルークさんの使いでジャバ・ザ・ハット様にお会いしに来ました。」
ジョンピーの言葉に門番ドロイドは怒鳴った。
「どこの誰かもわからない者にジャバ様はお会いにならん。とっとと失せろ!」
「マルークさんからジャバ様にとても役に立つ贈り物を預かって来ました。」
「とても役に立つ贈り物ってなんだ?」
トットさんがジョンピーを見上げて尋ねたが、ジョンピーも知らないとみえ肩をすくめるだけだった。
門番ドロイドの目玉は扉の奥に引っ込んだ。
「入れてくれる気はないみたいだな。こんな使いはやめてとっとと帰ろうぜ。」
トットさんが言って帰りかけたそのとき、
ズズン、バリバリ、ドドドドド
と重々しい轟音が響き宮殿の扉が開き始めた。
トットさんは振り向き、期待しない結果を嘆くように宙を見上げ、ジョンピーを見上げた。
ジョンピーは軽くうなずくとドアの向こうに消えた。
トットさんは首を振り振り、重たい足取りで後を追った。
重たいのは体重のせいでもある。
「こら、マスP!そんなこと強調しなくていい!!」
そう言ってトットさんはマスPをまたもや睨んだ。
このハットの宮殿はマルークの故郷、 砂の惑星タートルインの砂漠の真ん中にあった。
もっともタートルイン全体が砂漠ではあるが。
ジャバ・ザ・ハットは巨大なナメクジにカエルの顔をつけ、飾りのように胸にはやした両腕を持つ醜悪な容姿のハット族の長であった。
ハットとは仲間や兄弟たちをも裏切り、ずる賢く、どんな手を使ってでも人を騙し、欺いて富を築き上げた方が尊敬される種族で、おおよそ宇宙でも極めつけの卑しい者たちだった。
トットさんとジョンピーは二つのしっぽのような物を頭から生やしたトワイレック族であるたビブ・フォーチュナに案内されてジャバの待つ謁見室に案内された。
謁見室と言ってもそこは、胡散臭い連中がたむろし、バンド演奏が聴きながら、酒を飲み交わし、女たちを侍らす退廃的な場だった。
ジャバはその玉座に収まり、居眠りをしていた。
その傍には美しい人間の女性が鎖に繋がれ、哀れな表情をしていたが、どことなく激しい闘志を秘めた眼差しをトットさんたちに向けた。
トットさんが脇の壁を見ると、そこには冷凍保存されたバン・ソロのレリーフかこれ見よがしに飾られていた。
その固まった表情は明らかに苦悶のあまり歪んでいた。
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