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トットさんとジョンピーを乗せた宇宙船は静かに扉を閉じると浮き上がり、やがて宇宙に飛び立ち、ハイパースペースルートに飛び込んだ。
35万後年先の地球に向けて。
と、その時、宇宙船の赤いランプが点滅し。警報が鳴り響いた。
「マスピー!今度は俺をどんな目に遭わせるつもりだ!!」
悲痛な叫びの末にトットさんはまたもや暗闇の中にいた。
しかし、今度は暗闇の中に、
2つ、また2つ、少し遅れて2つ、6つの光が現れた。
「おーい千代坊、見ろよこれなんだ?まさかハトじゃないよなあ~?」
「おい連馬鹿言うな。こんなデブのハトなんかいるもんか!」
「そうだよなあ。ブヨブヨのでかい蹴鞠みたいだなあ。」
「おれこんなの見たことがあるぞ。」
「えっ?雷兄さんどこで見たんだ?」
「俺が播磨国を通ったときだ。そこの奴ら確かデブリンバトって呼んでたな。」
その時、いつもの様にトットさんの怒鳴り声が闇に響いた。
「何度言ったら分かるんだ~!!俺はデブリンバトじゃねえ。ドバトのトットさんだ。」
トットさんは怒りついでに矢継ぎ早に疑問を投げかけた。
「播磨国ってどこだ?東京じゃないのか?母ちゃん何処だ?ソーセージあるか?」
「ちょっとトットさん、播磨国って昔の兵庫県の呼び名だよ。」
物知り博士のジョンピーはそう言ってトットさんをたしなめた。
「昔の名前?何で兵庫県って言わないんだ?こいつらおかしいんじゃないのか?」
喚いている二人を見つめる三対の目はお互いを見つめ合った。
この光る目は猫の目だ。
ちょっと待て。
三人の猫。
名前は雷、連、千代。
三人の猫。しかもこの名前どこかで聞いた名前。
遠い過去を振り返ると一つの物語が思い浮かぶ。
『ニャン騒、シャーとミー八犬伝』に出演した「三猫珍道中」の面々だ。
室町時代晩期、つまり六百年前から現代もまだ彼らは旅をしているのか?
そんなわけはない!!
という事は、ここは正しく六百年前の日本。武蔵の国という事になる。
ということは・・・
「えーっ!!!」
トットさんとジョンピーは叫んだ。
「ということは僕たち、ワームホールでハイパースペースジャンプして過去にタイムスリップしちゃったの?」
「マス P
またもやトットさんの喚き声が闇夜にこだます。
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