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「ええ?カナイドまで連れてけだと?」
トットさんは不満顔で吠えた。ハトのくせに吠えた。
「こらマスP!ハトのくせにとはとはなんだ?」
とハトのくせにマスPにも吠えた。
「まったくお前ってやつは・・・・」
「まあいいじゃないか。お主、ここにいても何もすることはないじゃろ?」
益比仙人はなだめたが、トットさんの睨みを浴びた。
「それはともかくこのデブリンバトはどうして武蔵の国にいるんだ?」
雷は不思議そうにデブリンバトを見つめた。
「それはね・・・」
ノンキ―という名のこのデブリンバトはこんなことを言った。
デブリンバトは将来呑気で、いつも能天気なのだが、時折真逆の短気で怒りっぽいデブリンバトが生まれる。
それは普通のデブリンバトから抜け落ちている怒りや、不満といった感情が凝り固まった存在なのだ。
ところが、そんな感情の抜け落ちたデブリンバトだけになると、いつしかフニャフニャのふやけた、何も刺激のないただの塊のような状態になってしまうのだ。
だからその負の感情の塊のようなデブリンバトが少しずつ子孫を増やして中和して行かないといけなくなるのだ。
そのデブリンバトのタンキ―がカナイド村からいなくなってしまったのだ。
そこでデブリンバトが話し合って、カナイド村の外へ探しに行くことになった。
そうしてノンキ―が選ばれて探しに出かけたのだが、村から出たことのないノンキ―は右も左も、西も東もわからないままさまよって、なんと武蔵の国までやって来てしまったのだった。
「ノンキ―?君どこを探すつもりだったの?」
連が訊くと、さあ?と首を傾げるだけだった。
「お前、ほんと典型的な呑気なデブリンバトだなあ?」
さすがのトットさんも呆れた。
「こらマス P !さすがのトットさんとはなんだ!」
さすがのマス P もうろたえた。
「まったくお前ってやつは・・・・」
「でも播磨って兵庫県だろ?そんな遠くまで旅するなんてうんざりだなあ。」
ジョンピーのように空を颯爽と飛べないデブのトットさんは眉をしかめた。
「こらマス P !・・・・。もういい!!」
そんな話をしているとレースバトのスーパースタージョンピーがカナイドから戻って来た。
「おお、ジョンピー、カナイド村はどうだった?」
トットさんが尋ねると驚くべきことを報告した。
「カナイド村に行ったら僕たちが乗っていた宇宙船があってね、グーとタラさんからメッセージが入っていたんだ。」
ジョンピーの話はこうだ。
宇宙船がワームホールに入ってまもなく行方がわからなくなった。調べたところビリノン星で消えたワームホールの入り口がそのワームホールの途中に繋がって、どうやらそこに迷い込んでしまったようだという事だった。
そこでグーとタラは地球へ二人の無事を確かめに行ったが見つからなかった。
グーとタラは600年後の地球を探したのだから見つかるはずもない。
だがメッセージにはワームホールへの戻り方も書かれていたので、カナイドに行き宇宙船でワームホールに戻れば600年後の地球に戻ることが出来るはずだ。
「トットさん、こりゃどうしてもノンキ―をカナイドまで送って行くしかないね?」
千代坊はニヤニヤしながらトットさんに言った。
トットさんは渋い顔をしながらも頷いた。
「じゃ話はきまりじゃ。わしも力になるから。」
益比の言葉に今度は三猫が渋い顔をした。
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