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甲府街道沿いにあるなげきの森という薄気味悪い森に嘆鬼という妖怪が出ると聞き寄ってみることにした三猫と渋々くっついて行ったトットさんは、森の中の古木で休んでいると噂に聞く『ううん、ムムム、たんきー、カナイド、帰る~。』といううめき声と共に近くの小山がもぞもぞ動くのに出くわした。
出たー!!妖怪だあ!!!!
トットさんは慌てて飛び退いたが、いつも冷静なジョンピーは空に舞い上がえり正体を探った。
いつも頼りにならないトットさんと、いつも明晰なジョンピー。
同じハトでもこんなに違うものかとマスPは呆れた。
「なんかとっても大きな、そう鯨みたいな体だよ。真っ黒で。」
ジョンピーは上空から嘆鬼を見下ろし叫んだ。
「そもそも『カナイド』って言っているから、これはきっとタンキ―だよ。」
「それにしてもでかいぞ。ノンキーと比べてみろよ。」
雷の言葉に千代坊は反論した。
「これはきっとあれだ。」
ノンキ―の言葉に一同の視線は彼に注がれた。
ノンキ―はいつもの呑気なノンキーらしくない口調で続けた。
「これはタンキ―だ。デブリンバトにない短気な気持ちを寄せ集めて生まれたデブリンバトはその短気さを周りのデブリンバトに発散することで正常を保ているんだ。だけどカナイドを出たタンキ―は短気を発散できず体の中に溜めてしまったんだ。普通のデブリンバトもタンキ―の短気をぶつけられることで正常に保てているんだ。トットさんが僕に怒鳴り散らすみたいな感じさ。」
「お、お、俺はデブリンバトじゃ・・・・」
急に話を振られたトットさんは短気をぶちまけようとしたが、辛うじて抑えた。
今爆発すれば彼自身デブリンバトのタンキ―族になってしまうからだ。
「じゃあ、タンキ―はこのままどんどん大きくなってしまうの?更に大きくなったらタンキ―はどうなってしまうの?」
連が疑問を口にした。
「多分耐えきれなくなって、いつか大爆発してしまうだろう。」
「爆発したらどうなるの?」
連の疑問にノンキーは恐ろしいことを口にした。
「嘆鬼をまき散らしてこの辺りみんなに短気が降り注ぎ、浴びた人たちはきっと喧嘩を始めるだろう。」
「この辺りの人?もしタンキ―が山ほど大きくなって爆発したら?」
「その時は日本の国全体に降り注ぎ戦が始まるだろうね。」
質問していた連はだまりこんでぽつりと言った。
「タンキ―はいつまで持つんだろう?」
「聞いてみよう。」
そう言って雷はノンキーの顔の前に回って尋ねた。
「おいタンキ―あとどのくらい持ちそうだ?」
タンキ―は苦しそうに答えた。
「あと1か月くらいかな?」
雷はさらに尋ねた。
「君をしぼませるにはどうしたらいいんだ?」
「みんなを、みんなを呼んできてくれ。デブリンバトの奴らを。あいつらが短気を吸収してくれる。うううう。」
そう言ってタンキ―は苦し気に短気のげっぷを吐いた。
それを浴びた雷は急に怒鳴り始め、暴れ出した。
「おい雷!しっかりしろ。」
千代坊の言葉で我に返った雷は千代坊の顔をぼんやり見つめた。
「俺どうした?」
雷はその後、暴れまくりどうにか取り押さえられたのだった。
もしタンキ―が限りなく大きくなって、大爆発したら日本中に短気がまき散らされたら、日本中で戦が巻き起こってしまうだろう。
「なんだかおかしなことになってきたのう。」
デブリンバトの呑気が染ったように益比仙人は言ったがみんなの視線に気づいてさすがに黙り込んだ。
「こうしちゃいられない。僕さきにカナイドに飛んでデブリンバトをここに来るように説得して来るよ。京都辺りで待ち合わせて、デブリンバトをここに連れて来るのを手伝ってくれればいい。」
「よしわかった。ジョンピー頼む。京都の五条大橋で落ち合おう。」
「分かった。」
トットさんの頼みに、ジョンピーはそう言って再びカナイドへ飛びたって行った。
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